墨戯展

2010-11-07 00:00:02 | 美術館・博物館・工芸品
銀座七丁目の長谷川画廊で開かれている「原子朗墨戯展」(~11月7日)を覗く。



以前、大変お世話になった大先生で、本職は近代日本文学で、宮沢賢治研究が有名。そのおかげでずいぶん賢治の作品を読んだことがある。最近は立原道造論も手掛けているようだ。道造の人生はずいぶんと短いので、本職の裏技としては手頃なのかもしれない。もう一つ追加すると、長崎で被爆されている。

一方、書の方は、趣味で入ったのだろうが、だんだんと深みに進んでいるようである。題材をどこに選ぶかというと、中国に行って古書を入手してきては、その中から気に入った詩文等を抜粋するようだ。



50代の頃の書は比較的墨色も薄く、勢いで書く言わば日本流だったのだが、だんだんと墨は濃くなり、一文字ずつをはっきりと表現するように変わっているようである。

少し前に、細川家の永青美術館で、中国と日本の名筆を見比べた時に感じたのは、中国流は、一文字ずつ、あまり大きさや濃さを変えずに書いていくのに対し、日本流は文字の大小も使って、紙の上に空間を作っている。その点、原流は中国式に近いかもしれない。

しかし、年齢的には86歳。やはり高齢者とは、たまに会うものじゃないなあ、と強く思ったわけだ(理由は、省略)。