マリエント(八戸市水産科学館)

2010-11-28 00:00:45 | 美術館・博物館・工芸品
八戸の水族館、マリエントへ行く。別に水産関係者ではないのだが、水族館大好き人間なのだ。



八戸といえば、なにより漁港で有名で、全国二位の扱い量らしい(地元のビデオでは)。特に、イカについていえば、日本最大というよりも世界最大ということらしい。国内産のイカ(特にスルメイカ)に加え、海外からの冷凍輸入品の大部分は八戸に運ばれて、地元の加工業者の手で各種イカ加工食品になるそうだ。

ということで、イカについての解説が多数表示されているのだが、実は、この水族館にイカはいない。サメとかオオカミウオとか結構怖い顔をした魚がいる(サメとオオカミウオのかおの怖さは、まったく異質な怖さであるが)。



ビデオをよく見ているとわかったのだが、本来、イカの生態を解明し、イカを孵化したり遊泳させたりして、水産業の役に立たせようということだったようだが、どうやらイカの飼育があまりに難しく成功しなかったようだ。そのために、ちょっと具合の悪いことになっているような感じだ。


ところで、その飼育というか養殖と言うか、難しいイカだが北海道大学では研究が進んでいるらしい。そこのビデオが見られた。特に変わっているのがその生殖というか産卵活動。

魚とか動物とか鳥類とか、あるいは昆虫類もそうだが、だいたい二種類に分かれる。つまり人間型のように雄と雌とが普段考えられないようなポーズで雄が精子を雌の体内に放出する(放出させられるということもできるが)パターン。もう一つは、雌が産んだ卵に雄が大量の精子を撒き散らす方法。雄の満足度はどちらが上かよくわからないが、撒き散らし型は、不確実かつ不効率だろうか。

ところがイカはまったく変わった方法をとるらしい。雄と雌のペアリングが決まった後、雄は精子が詰まった精嚢を雌のイカにそのままプレゼントするそうだ。そして雌はその精嚢をつかんで(何しろ手足はたくさんあるから)、自分の好みの産卵ポイントに行って産卵しながら精子をかけるそうだ。ちょっと雄がかわいそうな気もしないでもない。

ただ、昔の記憶だが、イカの足のうち2本は生殖に使う為だったのではないかとも思うのだが、まあ気にしないことにする。イカも色々な種類があるから。



ところで、水族館としてこのマリエントを考えると、結構、行きにくいわけだ。新幹線の八戸駅から八戸線に乗り換え、「鮫」という怖い名前の駅で降りて、ウミネコで有名な蕪島神社の近くを通り、海岸沿いに20分程度歩く。なかなか厳しい感じが漂うのだが、その半面、賑わっていたのが、付属レストランである。

ここまで苦労してやってきて、結局イカに会えなかったと嘆いてもしかたない、と豪勢な食事を注文するからかもしれないが2500円の「おまかせ刺身定食」を注文したら、驚くばかりの竜宮城料理だった。

あまりの美味に思わずレストランに長居をしてしまい、1時間に1本しかない八戸線に乗り遅れそうになり、小走り→速足→激走→汗だくという、晩秋らしくない結果になったわけだ。