崩壊感覚

2010-11-17 00:00:49 | 市民A
池袋のラブホテルで女子大生が絞め殺されてから40日以上が経過した。死人に口なしということで、真相が解明されるのかどうかはよくわからないが、まあ、カネのトラブルということかもしれない。人類史上、最も早くからあるビジネスだが、トラブルはつきものだ。

ところで、池袋は比較的猥雑な街で、かなり以前からそういう場所は多かったような気がするが、それでも事件のあった東口は、西口ほどではなかったはず。こういう形で東京の繁華街が徐々に不健全方向に崩壊しつつあるのではないかと思わなくもない(不健全化というのも日本の歴史上、一つの文化体系ではあるが)。

で、そういう仮説をもって、しばらく、あちこちを歩いてみると、池袋の東口は、特にそういう感じが強いわけでもないように思う。しかし、西口は、もう崩壊しているように感じた。

六本木。歩道のあちこちに大木が立っている。色が黒くて体重が130キロくらいの外国人が立ち止っているわけだ。何か話しかけられているようだが、何語かよくわからない。夕方からピカピカ光る服を着た日本(?)女性(?)が加わる。きわめて歩きにくい。

そして、新宿には怖いので近づかないことにして、銀座に行ってみる。最近、あまり行かなかったのだが、たまたま七丁目のクラブに行って、やや長居をしてしまう。もともと、銀座というのも、変に高級ぶっていて、一見では入りにくいのだが、馴染みの店がどんどんクローズになっていき、選択肢が狭まっている。交際費を垂れ流していた日本航空が破綻したことも銀座不振の一因だ。しかし、つぶれた店の後には何が入っているのか、実はさっぱりわからなかった。

が、事情がわかってきたわけだ。

11時ごろ店を出て新橋方面に歩きだすと、次から次へとダークスーツの若い男が近づいてくるわけだ。

「キャバクラ行きませんか」。

断り続けているだけなのだが、すごいのもいる。

「お願いです。キャバクラに来てくれないと、ボク困るんです」

別に、その男がいかに困ろうとも、私はまったく困らないわけなのだが、どうも高級クラブが撤退した場所に、キャバクラが進出しているようなのだ。

そして、月が変わって、今月の頭に、銀座のお店からメールが届く。いつか、うっかり名刺を渡してしまったのだろうか。

おおたさま、

昨夜は、お疲れのところご来店賜りありがとう御座いました。
近く一声お掛け下さいね! PS 今月よりスタッフ不足の為、料金50%Offにて営業致します!


50%Offが赤文字になっている。月末に行った時に既に半額になっていたのか、これから半額になるのかよくわからない。「スタッフ不足のため」と書かれているが、ホステスをクビにしたのだろう。

5年後、10年後はどうなっているのだろうか?


ところで、銀座ホステスが一騒ぎ中である。

銀座ホステスが労働審判=「罰金名目で給料天引き」-東京地裁

さまざまな罰金名目で給料から不当に天引きされたなどとして、東京・銀座の高級クラブの元ホステスら3人が11日、店側を相手に未払い賃金や慰謝料など計約438万円の支払いを求める労働審判を東京地裁に申し立てた。女性側の代理人弁護士は「『銀座ルール』と称される違法な慣習が、労働審判で争われるのは異例」としている。

申立書によると、3人はクラブがオープンした昨年11月ごろ入店。採用時の条件は日給4万6000~3万円だったが、客の「つけ」を肩代わりさせられたほか、いろいろな理由で給料から天引きされたとしている。

罰金には店側の指定日に着物を着用しなかった「着物ペナルティー」などがあったほか、「厚生費」名目で3万円以上が毎月差し引かれ、実質的に無給状態のホステスもいたという。

女性側の弁護士は「店が決めた罰則は労働基準法に違反している」と主張。店側の弁護士は「適正な報酬について交渉中だったが一方的に打ち切られ遺憾だ」としている。(2010/11/11-20:24)


銀座ルール バブル崩壊時に不動産業者などのツケを肩代わりしていて、払えなくなったホステス達が、まとめて吉原送りになった、という噂があったが、実話だったのだろうか、あるいは都市伝説の一つだったのだろうか。