ゴッホ展、20万人突破

2010-11-14 00:00:01 | 美術館・博物館・工芸品
国立新美術館で開催中のゴッホ展(~12/20日)に遅まきながら行く。11月のはじめに20万人を超えたそうだ。なぜ、10万人を超えたときにニュースにならなかったかというと、20万人が予定数だったのかもしれないし、損益分岐点だったのかもしれない。

まず、結構、混んでいる。会期末に近づくと、もっと混むだろう。

そして、大量の展示である。国立の巨大な美術館を建てて、大量の名画を展示する。まさに金満国ジャパンの本領というべきか。とても総理大臣が国債ディフォルトを心配している国とは思えない。

展示のこと。

まず、ファン・ゴッホの作品だけが展示されているわけではないことを注意しなければならない。ゴッホが影響を受けた同時代の画家の作品が展示前半部では多く並ぶ。あまりキャプションばかり読むのは好きじゃないが、ファン・ゴッホの作品にはマークがついているので、それを見ればいい。若い時は、モネのような作品を描いたのか、などと誤解しないように。

ミレーの落穂拾いの絵画の複写を持っていて、それを元にしてたくさんの落穂拾いの図を描いていたことを知る。本人はあまり公開されたくないだろうが、没後120年だ。

以前、同じような企画のゴッホ展では、彼は絵が下手で、あれこれと習作を重ねながら、やっと「ジャガイモを食べる人々」に到達したものの、陰気な雰囲気が漂う絵は、結局売れずに、ゴッホはその後、絵を売ることよりも自分の作品制作の世界に没入することになった、というような理解をしていたのだが、結構、若い時から、上手で売れそうな絵を描いているようにも思える。

この辺が、こういう展覧会の罠なのだろう。世界中から集まったコレクションに、それなりにストーリーが付く。




灰色のフェルト帽の自画像(1887年)。

彼の描く自画像は、どれも怖い。ずいぶんリアルな感じが漂う。この絵をどこから見ても、鑑賞者の目を睨んでいるように感じる。




アルルの寝室(1888年)。

これも有名な一枚。実は、会場内に、この絵を基にした寝室の実物大の模型が組み立てられている。小さな部屋でベッドが置かれていて、空間が少ない。ビジネスホテルより狭い。




アイリス(1890年)。

ひまわりシリーズは有名だが、このアイリスはいい。といっても、ひまわりシリーズの中にも、これとほぼ同じ構図がある。ゴッホって、堅いところは堅いのである。それで37歳で完成した、ということかもしれない。


そして感じたことだが、ゴーギャン。ゴッホとはかなり交流を深くしていたのだが、時間軸と作品とを重ねて考えると、もともと素人画家だったゴーギャンが大成していった過程で、ゴッホが亡くなった後、つまりゴッホが完成した後、急に巧くなったように思えるわけだ。単なる気のせいかもしれないが。