ビデオ流出をクーデターと言った人と祖父のこと

2010-11-11 00:00:27 | 市民A
運命の十年という本を読んだ。産経新聞が平成13年(2001年)に『運命の十年』という企画で識者による連載エッセイを載せたものを本にまとめたもの。日本が第二次大戦に向かっていった直前の十年間がテーマだ。



最近、何冊かそのあたりの本を読んでいて、既に現代史ではなく近代史となった事実は、書物によって少しずつ記述が異なるのであるが、実は御厨貢氏が「二つの日記から」として書いたエッセイの中に、鳩山一郎氏のことが書かれていた。(もう一人の日記は古川ロッパ氏)

二世議員であり戦前の内閣で大臣を経験していた鳩山一郎は、昭和14年に、戦時色に染まる政界の中で要職からはずされていき、ついに引退することになる。そして籠ったのが軽井沢の別荘。そう、昨年、韓国から来日した金元死刑囚を隔離したり、鳩山家の当主が小沢一郎をパーティに呼んで立候補を決意させたりした鳩山家の軽井沢の別荘である。ここで一郎はガーデニングの世界に没入し、終わる保証のない嵐の時代をしのいだわけだ。

そして、昭和29年に首相に就任。

一方、孫の方だが、ビデオ流出事件をクーデターと言ったそうだ。実際には、ビデオが流出した段階では、まだ秘密扱いになっていなかったのではないかという問題や、本来、どこに秘密性があるのかといった根本的問題が明確になっていないため、ビデオ問題はおいておくが、由紀夫氏の予感というのは、昭和7年5月15日の「5.15事件」につながっているのではないだろうか。

犬養毅首相が暗殺されたわけだが、実際には、世論の声に押されて罪は大幅に軽いものになった。その時の処罰のあいまいさが昭和11年の「2.26事件」につながっていったのだろうと思えるわけだ。

案外、鳩山由紀夫氏の直感というのは、時代をついているのではないかと思えなくもないのであるのだから、祖父を見習って政界から引退し、今後は政治評論家に転職してもいいのではないかと思う。コトバ(宇宙語)が通じない可能性もあるが。