沖縄(2)あくまでも、味は薄口

2009-05-05 00:00:21 | たび
沖縄からのお土産と言えば、冷凍牛肉とアイスクリームという時代があった。関税率が異なっていた。もちろん、空港の土産店でも今はまったくない。そのかわりではないが、世界共通免税店の"DFS Galleria"があった。確かに安い。旅行費用は安くても、どんどんおカネがなくなる。

話を牛肉に戻すと、なんとなく、沖縄と言えばステーキというイメージがあったのだが、現地でパンフレットなど見ていると、わかってきたのは、ステーキや焼肉には二通りあって、「輸入牛肉」と「石垣牛」ということで、価格が3倍である。また、ステーキと焼肉では、ステーキの方が2倍高いということ。

ishigakigyuということで、妥協的に、焼肉店に行って、石垣牛を食べてみるか、ということになる。国際通りの端の方の店に入り、メニューを見ていると、「石垣牛」だけでなく、「アグー豚」もいいのではないかと思い始めた。さらに、「最近見ないので名前を思い出せない女性ゴルファー」に似た女性店員に勧められて、「石垣牛」と「アグー豚」に「紅豚(べにぶた)」と「パパイアキムチ」を注文。

でもね、・・

石垣牛もアグー豚も、「味が高級過ぎ」だった。本土で食べる牛肉も豚肉も、やや甘みがあるのが高級とされるのだが、石垣牛もアグー豚も、基本は無色透明の味に、ほんの僅かな固有種の香りが残るという感じである。

かえって、一段階安い「紅豚」が、口に合った。「紅の豚」の作者も、きっと同感だったのだろうか。

ishigakigyu後で、公設市場にも行ったのだが、沖縄はあくまでも「豚文化」である。牛肉はきわめて少ない。ただ、最近、本土の女性にコラーゲンたっぷりと流行中の、「チラガー」つまり豚の顔面、を日常的に食べる習慣はなかったそうだ。亡くなった方の三十三回忌に、「これで海の彼方にある冥界に行くことになるお祭り」という意味で霊前に供えたそうだ。今は、市場でたくさん売られている。あっちにもこっちにも、豚の顔でいっぱいだ。

焼肉店で気付いたことの一つが、ゴーヤの焼き方。生焼だと苦いが、完全に芯まで焼くと苦味はまったくなくなる。

そして、スープに刻みネギじゃなくで、「アーサ」という細く糸状の緑色の海藻を浮かべる。これが、刻みネギとは比べようもなく美味。この後、何度もこの「アーサ」を口にしたのだが、一気に血圧が下がって、寿命が1時間延びる感じだ。

ishigakigyu口直しにうっかり「タンカン」という柑橘類を買う。うっかりというのは、表通りで1個50円で2個買ったのだが、通りの裏に回れば、ビニール袋に6~7個入って100円。ここの物価はよくわからないが、観光客は、それらしくおカネを使うべきなのだろう。まあ面倒な話は省略。

このタンカン、極めて極めて外観が悪い。皮が汚いのだが、それも黒ずんでいる。何か病気みたいだが、どこでもこの姿で売られている。空港の土産店では、少しは肌のきれいな大きい球を20個箱詰めにして4500円で売られていたが、やはり容姿で見劣りする。ただ、皮の実離れはよく、薄皮も非常に薄く、味は淡白な中にくせのないすっきりとした甘さ。すっかり好きになった。苗木の本土持ち込みは禁止だが、果実の持ち込みは自由。少し買って帰って、種を蒔いてみたものの、たぶん失敗。

width="320" height="240" border="0" alt="ishigakigyu" hspace="5" class="pict" align="left">この見かけの悪いミカンを商売にするためには、「最初の一口」なのだろうが、個人的には、ずっと長く、沖縄の宝物の一つにしておいてほしいという気持ちが強い。沖縄にしかない物がなくなったら、沖縄じゃなくなる。単に日本で最も貧しいが長寿の県になってしまうから。