沖縄(5)観光産業

2009-05-08 00:00:23 | たび
沖縄に観光旅行に行くと、観光地にしか行かない。そして、島中に観光地があって、かなり徹底して観光重視の県になっている。それなら、航空券を安くするような政策を取ればいいのだろうが、本当に沖縄県民が本土と観光交流を進めようと考えているのかどうかは、よくわからない。いずれにしても島民のアイデンティティは必要であり、それがなくなって本土と同じ文化になってしまうと、観光地ですらなくなる。




よく、成人の日に若者が暴徒と化して、警察と対決しているが、1年に一度のお祭りになってしまった。それなら、もっと派手な「沖縄大国際まつり」にしてしまえばいいんじゃないだろうか。以前行った15年前の沖縄より、今ははるかに市民が羊になってしまった。

さて、那覇の代表的な通りである「国際通り」だが、ここはほぼすべてが観光客用のストリートで、土産物店6割、飲食店3割、その他1割である。この通りの物価は高いと言われているが、それでも東京並みだろう。東京の観光客専門通りである銀座通りとは比べ物にならない。この国際通りのほぼ中央から直角に曲がると、牧志公設市場がある。市場通りである。

市場通りの物価は国際通りの8掛け程度。ただし土産物は島内どこでも同じ値段。沖縄式である。助け合いの精神。モノレールを作ると、バス会社に補助金を払うような仕組みである。この市場通りを中に進んでいくと、地元の人たちが買い物をするエリアがあるが、ここの物価は国際通りの半掛け。つまり東京価格の半値である。ここに県別GDPの低い秘密があるのだろう(年金受給高齢者は沖縄に定住するといい)。

公設市場の一階では、豚肉の店と魚介類の店があり、素材を購入して二階の食堂街へ上がると、500円払うとその材料で調理してもらえる。




ヤシ蟹や海蛇など、ここでないと食べられない食材ばかりであるが、残念ながら、胃袋の容積には限界がある。北国や日本海側の魚市場とは色彩感覚がまったく異なる。都会人の目の保養。外国の市場に行くと言葉が通じないが、日本語で値引き交渉OK。

豚肉の店の写真を撮りたかったが、観光客用にずらっとチラガー(豚の顔面)が並んでいるので、ちょっと遠慮。コラーゲンが多いので最近は本土の年配女性に人気食材らしいが、沖縄では三十三回忌の神聖な供え物ということらしい。ばちがあたりそうだが、豚にも器量よしや、並み以下がいるようだ。ちょっと哀しい。




庶民の話としては、沖縄海洋公園などには、古い沖縄の住居が復元されていた。いわゆる地頭(地主)の家は、さすがに大きく、日本風の座敷があるが、一般庶民の家は、竹などの植物性である。そして、一部屋で戸板もない。プライバシー、ゼロ。台風の時は全財産が水没するだろう。



しかし、驚くことに、この1LDK住宅は昭和初期のものだそうだ。その後、日本は戦争の時代に突入。沖縄の歴史は変わる。



沖縄の古典芸能はショーとして、ホテルの演芸場など、あちこちで演じられていて、獅子舞を鑑賞するうちはいいのだが、一緒に踊れ、となると、困ってしまう。観光客らしく、少し下手に踊らなければならないわけだ。