沖縄(4)薄口に慣れる

2009-05-07 00:00:55 | たび
沖縄の食べ物が薄口で、口に合わない、という人が多い。口には合うが、島らっきょうは匂いがきつ過ぎるという人もいる。わたしもそうだ。翌日まで口臭が残る(いくら匂いがきつくても、ピロリ菌には効かない)。




島らっきょうは食べなかったが、沖縄独特の食材をずいぶん食べることになる。

まず、へちま。まさか、へちまを食べるとは思わなかった。実が小さなうちに、煮込むのだろう。へちまの味というのは、食べたことはなかったが、「食べたらこういう味だろう」というイメージと同じ。変に味付けしたりはしていない。厚揚げと一緒に炒め物に。厚揚げの中身は沖縄流の固い豆腐。



そのうちに気付いてきたのだが、現代沖縄では「味の素」を大量に投入するという残念な食文化があるようだ。亜熱帯なので、発酵食品が少ない。鰹節くらいだ。よく、料理の基本は「さしすせそ(砂糖、塩、酢、醤油、味噌)と言われるが、沖縄では、「さ」と「し」が中心のようである。だから、味の素が大量使用されるのかもしれない。

そして素材は「もずく」。沖縄のもずくは、本土のもずくの太さが2倍はある。海岸で養殖している。これは、食べ応えがあるし、何しろ栄養たっぷりである。



天ぷら。どうも、日本では「天ぷら」ということばは、様々な意味に使われる。関東の常識だと「普通の天ぷら」である。魚や野菜に衣をつけて、油で揚げる。

また西日本だと、関東でいう「さつま揚げ」のことを天ぷらという。衣なしだ。

沖縄とは何の関係もないが、京都三条の河原で釜ゆでにされたといわれる盗賊石川五右衛門について、ある川柳がある。

五右衛門の妻天麩羅を見て涙。

もしかしたら、五右衛門は油で揚げられたのか、と思ったりしているうちに、外国人の書いたそういう文書があるようだ。五右衛門と母親、さらに子分たち、合わせて20人が殺されるのだが、うち約10名が釜茹でで、残りは切られたようだ。

油がなくなったのだろうか。



沖縄の天ぷらの特徴は、衣が厚く、塩とか砂糖で味付けられている。「おやつ」らしい。今回食べられたのは、3種盛りである。

もずく、ウェンツィの葉、紫イモ。特にもずくは絶品。

おやつが天ぷらというのは奇妙だが、一日二食だったのではないだろうか。そして肉体労働のカロリー補充のため、天ぷらを食べる。日本でも江戸時代は二食制で昼休みなし。肉体労働者や旅人は、お茶と団子。茶店の由来らしい。

さらに、沖縄ゼンザイ。

これは、甘み抑え目のぜんざいだが、豆が異なる。小豆じゃなくてもう少し大きな豆。味は本土とそう変わらない。

本来は、おやつだが、昼食のデザートにしてしまう。おやつはあちこちの観光スポットでのソフトクリーム。紫イモやタンカンのソフト。そして塩ソフト。沖縄でずいぶん太った。永住したら長生きできないかも。



ということで、さらに沖縄を食べ続けて、最後に那覇空港で「そば」。東京方面で食べたことは何度かあるが、ラーメンに比べて、「薄口で迫力のない味」と感じていたが、沖縄料理をかなり食べてから「そば」を食べると、ちょうどいい感じだ。鰹だしにわずかに味の素のにおいはするのだが、ぼそぼそした素朴な麺。

おまけにセットで付いていたのは、焼きおにぎりみたいだが、おにぎりの外側が蒲鉾状の薄皮に包まれている。琉球王朝的食文化、侮れずである。


自宅で、もずくの天ぷらに挑戦するも、失敗。フライパンの上で衣ともずくが分離し、もずくは油に嫌われ、あちこちに飛び散り、すべて、可燃ゴミと化す。