鋼材不足の原因は?

2004-11-29 21:25:32 | MBAの意見
01848bc1.jpg鋼材不足で日産が5日間、工場を停止するそうだ。トヨタも韓国からの鋼材輸入を検討しているらしい。造船所は受注をこなすだけの鋼材が手に入らず、また鋼材価格も高騰してしまい、見積もりが出せない状態にある。なぜ鋼材がなくなったのかというと、ほとんどの理由は中国経済のヒートアップにあるのだろうが、もう一つ、きわめて小さな理由を見つけた。新たな鋼材の需要は、元牛丼チェーン店吉野屋の店頭にあった。「鉄鍋」だ。

「鉄鍋御膳380円」は、要するに”すき焼き”だ。なんとか見つけた少量の牛肉を野菜と一緒にすき焼き風に煮込んで出している。基本4大メニューの一つだ。その他に「豚丼」「角煮きのこ丼」「カレー丼」だが、今度は「角煮きのこ丼」がなくなって、オーストラリア産牛肉を使った、「牛焼肉丼」が登場する。
弊8月20日ブログ「迷走する吉野家D&C」に触れたように、メニューは”右往左往”というか”出したり引いたり”というか、いつの間になくなった「マーボ丼」を食べに行くと、しょうがなく「カレー丼」で我慢したりする。カレーなら専門店の方がいいのだが・・・。しかし、すき焼きの容器としての鉄鍋まで作ってしまって、どうするのって言いたい。

しかし、本当に残念ながら「牛丼」だけがない。ヨシギューと、かつて略されていたのだが、最近はヨシブーと呼ばれているらしい。そして、あいかわらず、輸入再開だけを期待しながらの投げやり経営のように感じてしまう。従業員のレベルが「すき家」より低い。さらに、伝票とか食券とか使わないので、店頭はいつも混乱している。お客のほうが、店内のオーダーミスに気付き、色々注意したりする。参加型店舗かって。結局、現場的にはメニューの多様化が困難なチェーンである。

すべての投資を後へ延ばして、牛肉解禁を待つということになったのだろうか。そして、半期決算で、ついに連結ベースでゼンショー(すき家)に抜かれた。ゼンショーが既存店で昨年比100%をキープしたのに対し、吉野家は30%減だそうだ(10月は38%減)。米国産牛肉が輸入禁止になった当初から一貫して、解禁待ちの姿勢を続け、新メニュー開発で後手を踏みつづけている。

二度目の倒産ではシャレにならなくなるのだが、安部社長は1回目の倒産の時はカリスマ店長だったのだが、まさか「倒産なんて、たいしたことはない”七転び八起きだ”」などと考えているのではないだろうか?株主優待無料食事券を握り締めた株主のことを忘れているのではないだろうか?と心配になる。

ともあれ、新メニュー「牛焼肉丼」を先行販売の新橋店に食べに行く。定価は420円。豪州肉をたまねぎと一緒に焼いてから丼飯の上に乗せてある。驚くことにお客さまの9割が焼肉派である。結構、吉野家の新メニューは注目されていることがわかる。

いきなり、マニュアルの悪さがあるのは、丼をテーブルに置く時に、「辛味は使いますか?」と質問されるのだが、私も含めて誰も頼まない。初めての人は、味がわからないのだから、辛味が必要かどうか答えようもないし、辛味とはなんのことだかわからない。和芥子のようなものかと思っていたが、どうもコチジャンらしい。ほとんどの人が焼肉丼注文しているのだから、あらかじめテーブルに用意しておけばいいのにと思うのだが、食べながらつけるのは不衛生なのだろう。

味の件について、ここに記載すると、後で損害賠償の請求書がくるといけないので書かないが、個人的好みの問題から言うと甘味の出るたまねぎよりも、ネギとしし唐の方がいいような気がする。そして、コンビニの焼肉弁当に打ち勝っているかどうか明言できない。そして、もっとも言いたいのは、焼肉丼売出すなら、夏に入った6月からではなかったのかって思う。

もう一つ、吉野家の未来にある不安要素は、「米国産2歳未満の牛肉」輸入再開後、昔のままの牛丼が昔のまま売れるのかどうか、誰も確信をもっていないことである。

経営の常道は「逆風の時、ガンバレ」である。9・11やSARS被害を乗切ったHIS社は、弱小同業者が淘汰されたことにより、順風になった時に快走したわけだが、吉野家の未来はまったく不透明だ。ただし、大量に製作された、鉄製の鍋だけは、いずれ溶鉱炉の中で、高級車の原料用の薄板か、一隻200億円のLNGタンカーの一部に生まれ変わるのだろうが・・・