本物の価値

2004-11-28 21:27:18 | The 城
b3d6b6ea.jpg11月21日に、姫路城に行ったのだが、どういう偶然か愛読ブログの「PURAMUざつがく」様の同日付けで「名古屋城の天守閣は焼失しなければ姫路城より上だ」という記載があったのだ。もちろん岡山方面から東京へ帰る途中に寄ろうと思ったのは即興なので、横浜の自宅へ帰宅してPCを開いて偶然の一致にびっくり。
予備知識はほとんどなかったので、今日、姫路城のことを書くことの多くは、後付け知識。

まず、駅からの大通りの正面に見える姫路城まで遠いような近いような?バスに乗ると100円だった。地方都市でバスに乗ると、近いところで100円くらいで、少し乗ると200円くらいになることが多い。福岡、千葉などがそうだった。横浜にはそういうのはなく容赦なく1停留所でも210円。東京都内も200円一律。100円には功罪あるのだろう。

そして、姫路城には多くの観光客がいて、話す言葉からアジア系の観光客も大勢きている。靖国問題には反対しているが、姫路城観光はいいのだろうか。もともとの築城の目的が、元祖征韓論の豊臣家の大阪城攻略用だからかな(考えすぎか)。以前、和歌山城に行った時は、急な坂道が続き、猛烈に疲労したのだが、それほどではなかった。天守閣を登る脚力だけは必要だが。

そして、確かに美しい城である。調べると、江戸時代当初に名城と呼ばれたのは、名古屋城と姫路城で江戸城と大阪城は別格だったらしいが、そのうち江戸城、大阪城、名古屋城の三つが名城と呼ばれることになった。名古屋城の方が姫路城より格上であったのだろう。もちろん現存する12城の中では姫路城は威容はトップだろう。

余裕時間の問題で、千姫が居住していたとされる西の丸を省略したのは、うかつだったのだが、さらに残念だったのは、千姫の大阪城脱出をはばもうとして、戦場で切り刻まれた侍女の刑部女をまつる社が天守閣最上階に存在することを後で知ったのだが、手元のリーフレットには築城以前の地主神である長壁神社がまつられているとされていて、調べようがない。たしかに小さな社と賽銭箱があったのだが・・・

全国のほとんどの都道府県におりたことはあるのだが、特に今まで城を狙っていたわけではないが、それでも観光地としていくつかを訪れたことはある。が、やはり鉄筋コンクリート造りでエレベーター付きのところよりも木造の「本物」がいい。実は、姫路城は一応本物だが、昭和三十年代後半に全面改修したようだ。全部分解して補修したそうで、二本の通し柱の内、一本は、根元の方を切り取って使っているそうだ。内部の階段が少し現代風なので、ここは直したのかなと感じた。

現存する12城のうち、行ったことがあるのは高知城だけなのだが、本当に感動する。観光地としての人気は桂浜の坂本竜馬記念館に負けるが、何しろ1603年製だから歴史のリアリティがある。階段もはしごのような形状で、観光用としては登る人と降りる人が交錯して不便だが、そういうところもいい。(極めて急傾斜のはしごだからスカートで行くと少し困る。困ってもはしごにつかまらないと落っこちてしまう。元某大学のエコノミストも手鏡は不要なのだが、うかうか上を向いていると、足をすべらして失脚してしまう。)
高知の人にも人気が無いし、観光客にも人気がないのだが、体力がある人には、うれしくなる城だ。
(話は、寄り道するが、坂本竜馬記念館に行くと、彼が地元高知県では、「幕末の英雄」という評価の他に、「脱藩者」というネガティブな評価を受けていることが感じられる。脱藩ルート図が掲示されていたりして、故郷を見捨てた男という批判の空気がうっすらと漂う。)

さて、調べたところ現存12城は以下のとおりだ。松本・丸岡・犬山・彦根・姫路・伊予松山・丸亀・備中松山・宇和島・松江・弘前・高知。
実は、以前住んでいた、千葉市には天守閣がある。確か昭和42年に完成したはずだ。最大の特徴は、それがオリジナルであって復元ではないことだ。もともと天守閣など存在しないのに当時の市長の宮内三郎氏が町の中心に自分の銅像と一緒に建ててしまった。何もないところに城を建てるわけだから石垣造りからはじめたので大工事となった。城の近くには千葉市御用達の地元石材店があるのだが、天守閣が完成した頃には、社長の自宅の内装も天守閣風になったらしい。

HPを見ると、千葉城(郷土博物館)の入場料はわずか60円だ。かたや姫路城は600円と10倍だ。ニセモノが格安な構造は、ルイヴィトンと同じだ。三位一体も原則的にはいいのだが、地方自治体任せにすることで、貴重な税金の使い道に、今ひとつ不安が残るのだ。