コンドルが飛んでくる

2004-11-16 21:47:26 | MBAの意見
コクド、堤帝国が崩壊しつつある。西武鉄道株の名義人偽装に端を発し、株価下落、株式買戻し、監理ポスト、そして西武鉄道の上場廃止に向っている。コクド自体が非上場企業なので、上場廃止くらい痛くも痒くもないのだろうが、それではコクドに融資している銀行(MZH)がたまらない。担保不足となるだけでなく、キャッシュフローがもたない。バランスシート上は、不動産の評価替えで自己資本をふやすことが可能かもしれないが、ホテルの底地とか森林ではキャッシュにはならない。もちろんカネを貸したほうもいい加減だ。ずっと貸したままにしたかったはずだが、そうは言えなくなった。しかし、某銀行はこんなのばかりだという説もある。
ところで球団を法外な値段で売りに出しているが、もっと下がるだろうと皆が思っているうちは売れないだろう。そしてホテル、レジャー施設で赤字のものは売却すると言い始めた。しかし、西武系の施設は何度も使っているが、「ほとんどが赤字」なのではないだろうか?まずプリンスホテルだが、赤坂プリンスはすばらしいホテルでいつも賑わっている。赤字か黒字かはわからないが、計算とおりだろう。品川もこんでいるようだ。しかし、郊外にある幕張、新横浜などはすばらしい建物の高層ホテルだが、ほとんど部屋の灯りは見えない。それにレストランが今ひとつだし、内装に合板やプラスティックが目立ち過ぎる。何か、あと一歩足りない感じがする。半年ほど前、広島プリンスホテルに泊まったのだが、ここも交通不便な場所で、外人団体旅行専用の感がある。ロビーに椅子が足りず、ちょっと困ったことも起きた。ここも西武建設が近くの造船所の株を買ってクルーザー事業に進出しようとして、途中で投げ出した痕跡がある。もう一つ追加すると、瀬戸内海は海上交通量や漁船が多くクルーザーは危険だ。軽井沢や箱根など各地のゴルフ場も、コース数が多過ぎる感があり、冬場は使えないし、何か大計画の途中のようだ。

「秩父ミューズパーク」という大変すばらしいレジャー施設があり、ゴルフ、テニス、水泳の他、ミニカートレースまでできる。ロッジも完備しているのだが、そこのソファーベッドが単にスポンジのかたまりのような安物だ。食事がまずくて高いので、みんな外から買って持ち込むのでレストランはガラガラになる。もう一つというところで、ダメになっている。クレーコートのテニスコートもちょっと服が汚れてしまう。秩父駅からの専用バスが少ないのは、利用者が少ないからだろうが、バスが少ないから利用者が少ないということもできる。自滅の構造だ。

もう一つ悪口を言うと電車のほうも、残念ながら関東で最低を争っている。駅がボロい。駅前が小さく、開発する気がないように思える。おそらく、堤氏は電車に乗ることはないのだろう。特に他社線には乗らないだろうから、差がわからないのだろう。以前は社長車を常に2台一緒に走らせ、途中で故障しても、直ちに乗り換えられるようにしていたが、今もそんなこと続けているのだろうか?
秩父から長野まで電車を延伸するのが堤氏の夢だったらしいが、もはやそういう必要はまったくないのだから、今の電車やバスをグレードアップして付加価値を上げないともうからない。

実際には、1兆円借りていても、都内のホテルの土地資産を計算し直せば担保割れにはならないだろうが、実際には金利以上のキャッシュを生んでいない施設が多いだろう。ホテルや鉄道事業というのは大きなストックを持ちながら小さな利益を積み重ねる商売なのだから。
また鉄道事業は日銭が入る上に定期券という割引債のような前金制度があるのだが、昨今きわめて売れていないそうだ。まず、サラリーマン社員に対し、会社は定期券代だけを渡すだけで現物をわたさなくなった(事務合理化)。もらった方は、面倒だから買わないこともあるだろう。また消費者金融など借りている人は、そちらへの返済が先だ。また契約社員やパートの場合、買うはずがない。

西武系の施設で、もう少しで良くなるだろうと思えるものはいくつもあるが、そういう場所はどんどん外資が買っていくだろう。プリンスホテルについては、ホテル所有までのストック経営をコクドが行って、運営のところの委託先をさがせばいいのだが、それでは金持ちの外国人ハゲタカは満足しないのだろう。