寒くなつてきた。昨日は今秋初めてストーブに火を入れた。
何の望みを抱いてゐるわけでもない。手帳には決まりきつた予定しか入つてゐない。
来年に何かをかけてゐるのでもない。
それなのに今日、カレンダーを買つた。
未来に何かを期待してゐるのだらう。努力もなしに。
日曜日、古本屋に本を売つた。段ボール三箱である。大事な全集を売つたが、「値が付きません」と一言。どうでもいいやうに思へる本が30冊ほど、2000円で売れた。
本を選ぶのにかなりの時間を要した。その値段は妥当かどうかは分からないが、見合はない作業である。
書架の本のうちの大半は読まれないままどこかに行くのであらう。そんなことを考へる。大事な本であるが、本の運命はその人と共にある。だから、古本を買ふとはその本の延命といふことである。作者と読者と、そして読者からまた別の読者へ。作者との語らひが複数になるといふことか。
さういふ経験はまだしたことはないが。
古書重し疲労ばかりの野分あと
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