言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

三浦哲郎氏逝去

2010年08月29日 22時16分47秒 | 日記・エッセイ・コラム

忍ぶ川 (新潮文庫) 忍ぶ川 (新潮文庫)
価格:¥ 540(税込)
発売日:1965-04
 三浦哲郎氏が亡くなつた。79歳である。

『忍ぶ川』は、名作である。偶然にも今日、宮本輝の『螢川』と共に書庫から持つて來た。先日新聞に、體調を崩してゐたがやうやく小説を書く氣になつてきたと書かれてゐたのを讀んだので、いつさう淋しさが募る。

井伏鱒二の御弟子であつて、短篇を書かせたら當代隨一の作家であつたと思ふ。「とんかつ」は忘れられない作品である。兄を精神的な病で失ひ、姉は確か青函聯絡船から海に飛込んだのだつたと思ふ、さういふ呪ひにも似た精神の脅迫を受けながら、書いた小説だけにどこか哀愁が漂つてゐる。芥川賞の銓衡委員を永らく務めてゐらしたが、「辭書を引かなければ讀めない小説を讀むのは嫌になつた」といふ言葉を殘して辭められた。昭和の文人には、J文學は理解できないだらう。當然のことである。私にも今の芥川賞はつまらなく思へる。

御冥福を祈る。合掌

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2 コメント

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現国の参考書知りたい… (わたるんるん)
2010-09-02 16:25:04
現国の参考書知りたい…


古典も…
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①授業を聞く。 (前田嘉則)
2010-09-03 08:16:56
①授業を聞く。
②自宅の本箱を見る。
③本屋に行く。
返信する

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