石の宝殿の伝承がない理由
石切り場の工人たちの多くは、蘇我氏の命令であったとしても、単に中央からの命令として、黙々と作業を続けるだけで「何を何のためにつくっていること」など考えなかったのでしょう。
「石の宝殿」は、永遠に語り継がれる謎(ロマン)
時は過ぎます。
伝承がないだけに、よけいに人々は石の宝殿に「不思議さ」を感じたのではないでしょうか。
後の人は「こんなでっかい石塊は、人が作ることは不可能である。きっと神様がつくられたものであろう」と考えたのかもしれません。
記録によれば、平安時代にはこの「石の宝殿(大石)」は神となり、社殿「生石神社」が作られたようです。
歴史学者・真壁ご夫妻は、この不思議な石の宝殿を学問的に研究されています。
『石の宝殿‐古代史の謎を解く』(神戸新聞総合出版センター)で詳細を述べておられます。
詳しくは、その著書をお読みください。
でも、まだ「誰が・何のため」につくられたのかには、確実なことはわかっていません。
「石の宝殿」は、おそらく永遠の謎(ロマン)として語り続けられることでしょう。(no4773)
*写真:石の宝殿「西遊旅譚(司馬江漢)」より