樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

火を防ぐ赤い樹

2006年08月31日 | 木と防災
時間にゆとりがある朝は、いつもの散歩コースを少し遠回りして、興聖寺という禅寺の境内を通り抜けます。
その境内と墓地の間にサンゴジュの長い生垣があり、そろそろ赤い実が成る頃だと思って訪れたら、少し盛りを過ぎていました。

      

ツヤのある革質の葉とこの赤い実が特徴で、普通の家の生垣にもよく使われているので、みなさんもけっこう目にしているはずです。名前の由来は、実も実の枝も赤くて珊瑚のようだから。
スイカズラ科ガマズミ属の樹で、赤い実は共通していますが、ガマズミと同じ仲間とは思えないほど葉や幹はゴツゴツしています。
昔から「火防せの樹」と呼ばれて、防火用の生垣に使われてきました。材を燃やすと切り口から泡を吹くところから、学名の種名は「アワブキ」と言いますが、それほど水分を含んでいるから燃えにくいのでしょう。葉も、火を受けても炎が出ないそうです。実は火のように赤いのに、防火の働きをするというのが面白いですね。

      

このお寺では、境内から少し離れた墓地をサンゴジュの生垣でL字型に囲っています。塔頭が燃えても檀家のお墓だけは火災から守ろうという意思の表われなのでしょうか。さすが禅寺、なかなかの配慮です。
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2 コメント

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この樹はよく見ます (scops)
2006-08-31 23:10:44
火防せの意味があったんですか!

消防団に参加している身としては見逃がせませんね。

明日はちょうど防災の日、タイムリーな話題でした。
防災の日は (fagus06)
2006-09-01 01:38:31
意識していませんでした。たまたまタイムリーな話題になりました。

消防団、いつもご苦労様です。

サンゴジュのほかにも、「火防せのイチョウ」とか「水吹きイチョウ」と呼ばれる防火の樹が京都市内にあります。いずれまた記事にします。

また、アオギリにも防火効果があるそうです。

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