樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

水の害と木の害

2012年08月16日 | 木と防災
おととい(14日)は、母の初盆のために帰省するつもりでした。前日にお供えやお土産を買いそろえ、車も借りて朝7時に出発する予定でした。
ところが、5時に起きて外を見ると、家の前の道路が川になっています。夜中に激しい雷雨があったものの、それほどの雨量とは思ってもいません。6時過ぎに家の前で撮影したのが下の動画です。



わが家はガレージに少し水が流入する程度でしたが、身の危険を感じた近所の若いご夫婦は小さい子どもさんを抱いてわが家にしばらく避難されました。
無理すれば帰省できましたが、町内の防災委員でもあるので初盆は諦め、後処理に備えました。水が少し収まってから町内(37世帯)を見回ると、床下浸水2軒、ガレージへの土砂流入6軒、土砂崩れ1カ所という状況。自宅の後片付けは妻に任せ、町内の男手を集めて特に酷かったお宅の土砂や瓦礫の処理に当りました。



当日の状況を書き出すときりがないので、当ブログのテーマである樹木に引き寄せてご報告します。比較的高台にあるわが町内が水害に遭ったのは、もちろん局所的な短時間の豪雨が原因ですが、その雨を流すべき小川や側溝が流木や木の葉で塞がれて道路に溢れ出たからです。
わが町内は、行方不明者が出た志津川地区とは低い山を隔てた位置にありますが、その山の林地にあった倒木や枝、木片、木の葉、竹などが一気に流出したようです。
「宇治で水害」と言えば普通は宇治川の氾濫を想定しますが、今回は(志津川も含めて)それ以前の支流や小川、用水路、側溝での氾濫です。そういう小さい流れがない町内は被害がなく、全くの平常モード。後片付けに追われる我々を尻目に、のんびりと蝉採りをしている親子もいます。
落ち着いてから近隣を巡回すると、下の写真のように流木が散乱している光景があちこちで見られました。





動画の濁流も、小川の橋に大量の流木がひっかかったために溢れた水です。
また、下のように側溝の蓋の穴も木の葉が塞いでいます。家の前の道路の側溝はすべてこういう状態でした。穴が塞がれたために水が側溝に流れ込まず、道路を流れるのです。
橋げたに流木がひっかかって水が溢れることはテレビの災害報道で知っていましたが、今回の経験で水害のもう一つの要因は木にあることを痛感しました。



わが町内は被害が比較的軽微なため当日中に片付きましたが、濁流の下流に位置する町内は軒並み床下・床上浸水のうえ流入土砂も多いので、昨日は応援に行きました。本日も自治会のボランティア募集に応じて、さらに下流の町内のサポートに出かけます。
ありがたいことに、早くも若者たちがボランティアとして駆けつけてくれています。そういう人の存在がいかに被災地の力になるか、身を以って体験しました。物理的な力もさることながら、「支えられている」という精神的な力になることの方が大きいです。
また、私宛に電話やメール、携帯メールを通じていろいろな方からお見舞いをいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

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10 コメント

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Unknown (guitarbird)
2012-08-16 08:28:54
おはようございます
ニュースを見た時はfagusさんの家からどれくらいの場所で被害があったのだろうと思いましたが、小さな被害はほんとにご近所で起こっていたのですね。
マスコミを通した情報ではその「地域」全体が被害を受けたように感じられますが、同じ町でも微地形によりまったくなんでもない家もあるというのはマスコミでは分からないことです。
また流出した木が橋げたなどに引っかかることにより水が流れ出ることも情報としては聞いていましたが、今回の記事で水が引いた後でも残っている木を見てそのことを実感しました。
これもやはりマスコミでは知りえないことであり、そういう点でこの記事を上げられたのは個人の記録以上の意味があるのではないかと思いました。
いろいろとお疲れさまでした。
肩や腰を痛めないようにお気をつけください。
また被害に遭われた地域の早くの復興を願っております。
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Unknown (ichi)
2012-08-16 09:42:36
おはようございます。すごかったですね。fagus06さんのお家がどうなっているか心配しておりましたが、ちょっと安心しました。
私も普段から感じていたのですが、山がものすごく荒れています。杉などの植林が多い上に、それが放置され、至る所に倒木がありました。炭山への道もそうですが、ゴルフ場の下が特に被害が大きいような気がします。
昔、平尾台の開発の時に、堂の川氾濫の危険性について府と交渉したことがあります。「調整池を作り、100年に一度あるかないかの1時間100mmの雨にも大丈夫・・・」と府は説明していましたが、あれから25年しか経っていません。いろいろ思うところ大ですね。
ボランティアご苦労様です。お身体お気を付けください。
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Unknown (scops)
2012-08-16 22:17:42
いやあ、大変でしたね。お見舞い申し上げます。
ああ、あの道がこんなになっているんだと、実感できました。想定外ですよね、上に川もないし。

ボランティア、ご苦労様です。
お母さまの初盆は行けなかったけど、地域のために頑張っているfagus06さんをほめてらっしゃいますよ、きっと。
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guitarbirdさんへ (fagus06)
2012-08-17 04:03:23
ありがとうございます。
近隣を巡回すると、被害のある町内とない町内がまだら状態になっていました。宇治川が氾濫すれば水害は広域になるはずですが、そうではないですね。
見回るたびに、わが町内よりも酷い被害があることを知って驚いています。
使えなくなった畳や家具、電気製品などがあちこちで山積みになっています。
また、道路に残った土が乾燥して、車が通るたびに土埃が舞い上がるので、通行量の多い道路はマスクが必要な状態です。
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ichiさんへ (fagus06)
2012-08-17 04:17:49
気にかけていただいて、ありがとうございます。
ichiさんの工房がある炭山はもっと被害が大きいようですね。しかも、食中毒まで発生して、まさに踏んだり蹴ったり。酷い話です。
そちらのブログも拝読しましたが、想像以上の被害ですね。やっとアクセスできるようになったのですね。
こちらの地域では、おとといから小さな重機がたくさん入って、土砂の整理をしています。炭山も車が入れるようになれば、重機が入って片付けられると思います。
また、ボランティアも入ると思います。まずは電気の復旧が必要ですね。
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scopsさんへ (fagus06)
2012-08-17 04:44:50
お見舞いありがとうございます。
今の家に引っ越したとき「水害だけはない土地だ」と安心していましたが、甘かったです。
裏山にある数ヵ所の谷から雨水が流れて道路に溢れ、そのほとんどが町内の道路を通って下へ流れました。
土砂片づけしている写真は、その道路がT字路になっている場所で、そこに濁流が滞留して床下浸水になったようです。
動画の濁流はそれとは別の、お寺の参道から流れてくる水です。つまり、わが家の前で二つの濁流が合流している状態です。
それでも、わが町内の被害は軽い方でした。
昨日ボランティアで入ったお宅は、庭一面に土砂が流入し、床下にも水が入って、畳を上げないとどうしょうもない状態。
とりあえず土砂の搬出をしました。水分を含んだ重い土を一輪車に乗せて運ぶのですが、こんな重労働は学生時代のアルバイト以来。午前中だけのお手伝いでしたが、すでに背中や腰に来ています(笑)。
私は鈍感なのであまり感じませんが、鼻が敏感な妻は「臭い」とぼやいています。周辺の空気が泥臭いのです。
ボランティアの後の泥まみれの衣類も2回洗わないと臭いが落ちないと言っております。
復旧作業は大変ですが、「お互いに協力しよう」という雰囲気がみなぎっていて、けっこう盛り上がっています。いろいろ感動的な話もあって、それなりに楽しんでやっています。
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Unknown (ちどり)
2012-08-17 19:08:25
このたびの水害、大変だったのですね。お見舞い申し上げます。
最近は雨が降っただけであちこちに大きな被害が出るなんて、恐ろしいですね。やっぱり地球はおかしくなってる!なんて思ってしまいます。

ボランティア活動もご苦労様です。無理なさらずに頑張ってください。1日も早い復興をお祈りしております。
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芥留杭 (ヒカルゲンジ)
2012-08-17 20:57:26
今朝宇治橋の芥留杭に大きな流木がたくさん引っかかっているのを見ました。天ケ瀬ダムまでの宇治川は本流で崖崩れなどは聞いていなかったのでどこから流れてきたのか疑問でしたがこの記事を見て理解できました。ここまで流す水のエネルギーに改めて驚くとともに、放置林の影響がこのようなところにも出ているのですね。
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ちどりさんへ (fagus06)
2012-08-18 07:51:25
ありがとうございます。
報道によると、10時間で300ミリの降雨だったそうです。これまでは数字で言われても実感がなかったですが、あれだけ降るとこういうことになるんだということが経験できました。
局所的に、短時間に、大量の雨が降ると、山の麓でも水害に遭うんですね。
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ヒカルゲンジさんへ (fagus06)
2012-08-18 08:00:08
宇治橋はそういう状況でしたか。
多分、志津川から流れてきた流木でしょう。
上の動画で、道の真ん中に杭のようなものが建っているのが映っていますが、あれはお寺の参道にあった「禁煙」の看板で、下は30cm四方のコンクリートで固めた重いものです。それが流されて移動しています。
近所の人も一様に驚いていました。水の力はすごいです。
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