樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

イヌツゲとイヌワシ

2007年08月13日 | 木と言葉
下の写真は、「日本野鳥の会京都支部」の事務所の近くにある植木。偶然ですが、鳥の形に剪定してあります。
こういう刈り込みに使われるのは、多くの場合イヌツゲです。葉っぱが小さいのが特徴で、清少納言も『枕草子』に「葉のいみじく細かに小さきがおかしきなり」と書いています。葉が小さいうえに成長が遅く、刈り込んでも長い間形が乱れないので利用されるのでしょう。

      

櫛などに使うツゲとは別種で、イヌツゲはモチノキ科で葉が互生、ツゲはツゲ科で葉が対生です。樹木の中にはこうした「イヌ」のつく種類が多いです。「劣った」とか「役に立たない」という意味が込められていて、イヌブナ、イヌエンジュ、イヌザンショ、イヌマキ、イヌグス、イヌガヤなどイヌのつかない木の亜流みたいな扱いを受けています。
ところが、鳥の世界では逆。「イヌ」のつく鳥はイヌワシしかいませんが、この鳥は日本の鳥類の中で最も強いとされていて、ワシタカ類のファンの間では最高位にランクされています。
「ワシ」という名前の鳥はいなくて、日本にいるのはオジロワシ、オオワシ、カンムリワシなどですが、それらの中でもイヌワシは別格扱いです。だから楽天が新球団のチーム名(英名:ゴールデンイーグル)にしたのでしょう。同じイヌという言葉が樹と鳥では意味が逆転しているのがおもしろいです。
しかし、上の写真の刈り込みは何の鳥をかたどっているのでしょう。クチバシが長いのでシギ? サギ?
コメント (3)
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