樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

天に昇る橋

2007年08月20日 | 伝説の樹
8月3日に新しい国定公園が誕生しました。丹後天橋立大江山国定公園、私の故郷です。56番目の国定公園で、新規指定は17年ぶりだそうです。
下の写真は日本三景の一つ、天橋立(あまのはしだて)。これまでは福井県の沿岸部とひとまとめにして「若狭国定公園」でしたが、周辺のブナ林や鬼伝説のある大江山を新たに加えて独立の国定公園になりました。

      
          (丹後半島側の展望台から撮影した天橋立)

小学生の頃は遠足や海水浴、写生大会などでしょっちゅう天橋立に行きました。地理学的には砂州(さす)という現象で、大江山を水源とする川が砂を運び、宮津湾の海流がそれを堆積させてこんなに細長い砂地が生まれました。写真の手前が内海、向こう側が外海です。
3.6kmの砂州には約5,000本のクロマツが林立していて、いわゆる「白砂青松」の風景を形作っています。イザナギノミコトが天に通うためにハシゴを造ったが、寝ている間に倒れて天橋立になった、という言い伝えが残っています。
松は神様が天から降りてくる樹とされているので、そんな伝説が生まれたのでしょう。能舞台の背景に松が描かれているのもそのためで、能は神様を喜ばせるための芸能なんだそうです。

           
        (砂州の松林は自転車と歩行者のみが通行可能)

他の松原も同様でしょうが、天橋立のマツも松枯れ病や台風に何度も遭遇しています。10年ほど前は砂が波に侵食されるので、埋め戻し工事をやっていました。また、マツ以外の樹木が侵入するのを防ぐために、雑木を伐採したこともあるようです。
東京で過ごした学生時代、出身地を「京都府北部の海に面した…」と説明すると、「京都府って海に面してたっけ?」とよく言われました。みなさんは京都府が海に面していたことご存知でした?
景色は美しいし、魚は旨いし、温泉もあるし、いい所ですよ丹後は。ぜひ一度、新しい国定公園に来てください。
コメント (2)
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