樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

『野鳥と木の実ハンドブック』

2007年08月01日 | 木と鳥・動物
自然観察の好きな方は図鑑をたくさん持っておられると思います。さっき私の本棚を調べたら、野鳥関係は洋書も含めて19冊、樹木関係は11冊ありました。コレクション志向のない私でさえこの数ですから、もっと熱心な人や野草、キノコ、昆虫、魚など幅広く観察している人の本棚は図鑑だらけでしょう。
その本棚にまた1冊加わりました。『野鳥と木の実ハンドブック』。以前ご紹介した『樹皮ハンドブック』と同じシリーズです。
著者は、野鳥の写真で有名な叶内拓哉(かのうちたくや)さん。読んでみると、樹木のことにも異常に詳しい。「スゴイな~」と思って「あとがき」を読んだら、野鳥写真家になる前に9年間も植木屋さんで働いておられたとか…。
今まで「鳥を呼ぶための庭造り」みたいな本は何冊かあって私も持っていますが、自然の野山の木の実と野鳥の関係をまとめた図鑑はなかったはずです。

          
         (表紙はナナカマドの実を食べるアトリ)

バードウォッチャーに嬉しいのは、木の実を食べる鳥の写真が多いこと。ヤマハギの実を食べるオオマシコ、オオバヤシャブシの実を食べるベニヒワなどが掲載されています。
ツリーウォッチャーにありがたいのは、木の実の色の変化がカラーゲージで示してあること。しかも、どの色になったら鳥が食べるかまで分かります。
叶内さんの観察力も尋常ではないです。ヌルデの実を食べる鳥として、「珍しい鳥ではヤマドリ、アカヒゲ、トラツグミなど私の観察では25種類を超える」と書いてあります。鳥のことに詳しくない人のために書き添えますと、アカヒゲは南西諸島にしか生息しない珍しい鳥で、私も見たことがありません。また、「ウメモドキは鳥が好む木の実の代表のように言われているが、実際にはあまり食べられていない」。豊富な観察経験がないと、こんなことは書けません。
私も一応バード&ツリーウォッチャーなので木の実を食べる鳥には関心がありますが、そこまで詳しくは見ていません。叶内さんはさらにご自身でも多くの木の実を実際に食べて、その味を書いておられます。いやー、頭が下ります。
コメント (6)
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