樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

死ぬかと思った

2006年10月25日 | 樹木
先日訪れた「天ヶ瀬森林公園」でナワシログミの花を見つけました。姿も可憐で、いい匂いを漂わせていますが、私にはグミにまつわる忌まわしい思い出があります。

      
      (釣鐘型の可愛い花。褐色の斑点があります。)

私の故郷は京都府北部の丹後。生家の裏には田んぼや畑、柿の木やブドウの木もありました。畑の横にはグミの木が1本ありました。
ある日、母親に裏庭から野菜を取ってくるように言われたので、包丁を持って畑に行き、ついでにグミの実を食べようとしました。グミの木は1メートルくらいのところから二股に分かれていたのですが、何かの拍子にその股に首を挟まれたのです。もがいても首が外れません。
「お母ちゃ~ん」と叫ぶのですが、顔は地面を向いたままですから、声が届きません。木の股に首を挟んだまま、包丁を振り回して「助けて~」と叫ぶ少年・・・。『八ツ墓村』のようなシーンを演じたのです。結局、隣のおばちゃんが見つけて助けてくれました。

      
  (グミの特徴は葉の裏が白いこと。こんなに葉裏が白い樹は他にないです。)

あれから、かれこれ50年。ツリーウォッチングでグミを見るたびに、あの忌まわしい過去を思い出します。
グミは果物屋さんにはあまり売っていないので、食べたことがない人が多いかも知れません。酸味が強くて、ほんのり甘い、田舎の味です。
私が首を挟まれたグミは多分ビックリグミですが、野山に自生してよく見られるのはナワシログミかアキグミ。苗代を作る初夏に実が赤くなるのがナワシログミ、秋に赤くなるのがアキグミです。
写真のように葉の縁が反っていて、裏が白い樹を見たら、首を挟まれないように注意してくださいね。
コメント (6)
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