樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

役立たず

2006年10月20日 | 樹木
宇治には「宇治市植物公園」とは別に、「天ヶ瀬森林公園」という場所があります。普通の山に歩道や休憩所を設置しただけの公園ですが、自然のままの樹木を観察したい私には格好のフィールドです。眼下には天ヶ瀬ダムも見えます。

      
    (森林公園から見下ろす天ヶ瀬ダム。このダム湖の名前は鳳凰湖。)

以前は、天ヶ瀬ダムの下でヤマセミを見て、この公園で樹を見る「鳥と樹を見る会」を3年ほどお世話したこともあります。先日、木の実を観察するために、久しぶりに上まで登ってきました。
目当ての一つは、ゴンズイ。ご存じない方が多いでしょうが、秋に赤い実をいっぱいつける結構きれいな樹です。

      
        (赤い袋から黒い実がのぞいています。)

この妙な名前は、魚に由来します。私は釣りをしないのでよく知りませんが、ゴンズイという魚は食べられないので、人間には何の役にもたたない魚とされているそうです。この樹も、材質がもろくて使い道がないので、そう呼ぶようになったと牧野富太郎博士は書いています。
また、春先に枝を切ると樹液があふれ出るので、四国や九州ではショウベンノキと呼ぶそうです(この名を正式名とする別の樹もあります)。役立たずとか小便とか、人間に勝手な名前をつけられた不憫なヤツです。

      

そんな訳で、いつもは注目されることもなく山の隅でひっそりと立っていますが、この時期だけは人間を見返すように派手な色の実で存在を主張しています。
コメント (8)
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