湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

6/16 生活見守り支援の対象は誰か~主婦と高齢者の支援~

2012-06-18 05:01:31 | 引きこもり
2012/06/16 記
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仕事の帰り、サポセンに寄った。用件を済ませ、リーフレット「改訂版・今後のボランティアのふたつの道について(Ver.02)」の追加を置いてきた。前回のVer.01の5部は残らず無くなっていた。このリーフレットの内容は、生活見守り支援の時期、私たちが産業復興と環境整備という支援から内容を拡張する提案が書かれている。特に非被災地の市民の心に届く、支援という絆をどう再構築していくかというざっくりとした提案を行なったものだ。関係者向けの文書として、ぜひ検討してもらいたいと思っていた。サポセンのチラシ置場からは、よほどひとの関心がある物では無い限り、全く減らない状態だったから、たかが5部とはいえ、正直言って嬉しかった。

問題は被災地の医療機関情報からもわかるとおり、被災という異常体験と今後への見通しの不安という異常事態が長期化しながらも、私たち素人の支援者には手出しが出来ないような状況をどう解きほぐしていくかということだった。少し前の記事であり、新聞社のDB検索にかけなければでてこない記事だか、以下の資料をご覧いただきたい。

表は岩手県の調査で、気仙地方の部分のみ引用したものだ。被災前の統計と被災後の統計を比較のために並べたものだ。要介護3~5の方の数が減っている。陸前高田市の場合を見てほしい。また大船渡市の要介護2の方が明らかに増えている。これは県内の沿岸部では同じような傾向を見せる。介護度の高い方は在宅介護の比率が減り、施設・病院入所が出てくる。この施設が被災した場合でも不便な土地にあることが多く、沿岸部と丘陵地の場所が明暗を分けた。大船渡市の要介護2の方の激増は、避難所生活のストレスの結果が出ているようだ。全般に、被災した在宅の障がい程度の高い方が亡くなった。高齢者に忍び寄る心身へのストレスの状況を表している。

●「東海新報2012/06/13 >県医師会運営の高田診療所 開設10カ月、住民に定着 「心の健康」支援も」

最近、いくつかの調査が公開された。福島県の場合、字(あざ)程度の地縁をそのまま仮設に移行させた形よりも、放射能被爆を避けるための一斉避難の関係で、避難所、仮設がばらばらになった。隣人が顔見知りではないことによる孤立化ストレスが大きかったようだ。また家族と仕事、財産を失った働き盛りの男性が抱える八方塞がりの40代の男性は、表面的には快活に元気を装っても、本音のところで心の病が忍び寄っている。子どもも然りである。

●「焦点 全国に分散避難、福島県浪江町民 集落崩壊、孤立深刻」
●「仮設40代男性6割うつ傾向 東北大グループ、岩沼で調査」
●「抑うつ状態の子供増加 福大調査」

ひとはすべて集団管理の器におさまるものではない。通院・買い物等の外出が体調の悪化と老化から、困難になった。仮設から出られなくなった方が仮設集会場のサロンに出かける気力が失せたり、元気なお節介に気が重くなった方が、孤立しがちになる。

私は阪神淡路・有珠山噴火・3.11東日本と災害の経過を体験してきた。仕事から切り離された男性の弱さや、元気な中高年女性の結束した行動の様相はよく似ていた。注意すべきなのは、中高年女性の元気だった。家庭のそれぞれの事情で在宅介護している方の様子は、皆、よく知っている。しかしその困り感を家族は語らず、またよほどのことがないかぎり、介護を手伝いはしない。徘徊する高齢者、排泄物を持て遊ぶ認知症高齢者には、その家族の苦労を労っても、手伝ってはくれない。若手が都市部に移住している家族の主婦は過剰な荷物を負っている。老々介護にもなってくる。訪問支援者の人員がいくらあっても足らない事態でも、主婦集団は「年寄りの様子はよくわかっているし、大丈夫だ」と言ってしまう。結果的な煙幕になる。

長期戦に入るにつれ、主婦の疲労は極に達する。サロン・食事会は、在宅介護を受けている高齢者のものというより、こうした奮闘する主婦の心のクッションになるのであって、仮設の入口でぽつねんと杖をついている高齢者のためのものではない。ふだん広い田舎の家に住んでいた方が、狭い仮設の一室にいて、施設の空きを待っている状態にどう係わればいいのか。主婦の心身の疲労や雑務の軽減につながる間接支援を組むのも、ひとつの方法だ。しかし、避難所生活が高齢者の身体を痛めつけたように、孤立もまたひとを蝕んでいく。

医学的に無理と診断された方ではないが、足が萎えて歩けなくなったり、家族の喪失からぼんやりと日を過ごしている方に、誘導や無理の無い範囲で外出支援ができないかと思う。これは時間と手がかかるので、介護ヘルパーさんや、保健師さんたちの仕事の周辺サポートという形で、一歩在宅高齢者の方々に近づいた支援ができるはずだ。大きくは地域保健や社会福祉の領域に入る支援だが、ここには、家族・仕事・財産を失いアルコール中毒から死に至る方や、通院困難から傷病をこじらせ死に至る方、独居の虚脱感から認知症や自殺願望に至る方を含んでいる。その早期発見や、気分転換による防止など、厚みを持ったセイフティーネットを構成する活動を育てていくこと。これを被災地訪問・滞在型ボランティアの参加と、限定的ではあるが役に立つ支援様式を確立する。そこをはじめなければと思っている。

陸前高田に介護サービスのワタミが入ってくるのも、そこに高齢者ビジネス、ソーシャル・ビジネスを予測してのことだ。しかしボランティアとビジネスとはスタンスが違うのは、介護認定制度の枠内でサービスを行なうか否かというところだろう。

今、私が考えていることは、ボランティアの方で、ビジネスに関心はない。ビジネスを否定はしない。公的支援を得やすいから、その範囲でサービスを届けられるからだ。しかし矛盾は賃労働にある。ここが微妙だ。

私はこの活動をどう非被災地とつないでいくかを考えている。東北で得た経験は、必ず他府県でも役に立つ。しかし、それ以上におおい町民と被災者との対話ほどではないが、救援期を過ぎた被災地支援とはという問いの中で、いかに民間交流を拡げるかを考えている。被災地産商品を買うことでは支援の届かない年金生活者や自営ではない賃金労働者とその家族にも支援を届けられるような支援は出来ないか、マイクロバスを贈るのではなく、個別支援に向いた専用自家用車を台数多く提供できるようなシステムを考えている。(懲りない奴なのである。)

今回は、市会・県会議員2名の事務所にお邪魔して、近況を話をした。私に協力して出来合いの益は全く無い。だから一方的に語って終わったが、繰り返し、被災地に行かなくては事が進まないジレンマが言葉の歯切れを悪くした。私の語る支援は、訪問員・保健師さんたちとネットワークを組んで行なう活動なので、ここをどう開くかを考えている。一ボランティアの提言が生きるには、被災地地元の共感者がいる。その絆を生むためにも、被災地から関係者を招待し交流する必要がある。河野さんではないが「ごまめの歯ぎしり」である。

夜間傾聴:橋本3君(仮名・珍しく本人)
     **子(仮名・毛はえ薬をくれるそうな)


(校正2回目済み)

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