湘南オンラインフレネ日誌

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8/1 ☆7/15「映画『輝く未来へ Stepup』を観て、勝田俊一さんと語ろう」レポート☆より

2010-08-04 11:00:27 | 引きこもり
7/15 の「映画『輝く未来へ Stepup』を観て、勝田俊一さんと語ろう」懇談会レポートを関係者に配りました。映像を観ていないとわかりにくいと思いますが、ご覧下さい。


2010/08/01 文責:「わーく」編集部
飛田
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勝田俊一さんがプレゼントして下さったCD「ATARIMAEクロストーク はたらく ちから」を今頃になって拝見し、「しまったなあ、これは会場で上映しておけばよかった」と、遅ればせに勝田さんの仕掛けに気付きました。いただいたCDの数が数枚だったので、主催者の私が開封してしまうのはどうかと、妙な気をまわしたのが仇となりました。

ここには、就労インタビューのエッセンスが込められていて、働くということが単純に賃金を得ることなのではないのだという就労体験が、現場実感を込めて語られています。

その語りが意味するものは、働くことが「ひととつながる方法」であったり、「ひととつながる出会い・体験」であったりしています。働くことを通じて社会に自分が意味づけられたり、知り合いが出来て支えあう、つまり「ともに生きる」ということがそこで始まっています。「今、自分がいる」、「自分の居場所と役割」が見える、語りはそういう喜びの告白なのです。この作品には、言葉の表現が難しくても働く喜びを身体で感じているというような方々も、そ画像の背後に広がっています。働ける方の喜びの告白というより、その背後の方の実感も代弁しているように聞こえます。「働くこと」というように、一般化した語りも聞こえてくるからです。

なんともまあ、ATARIMAE プロジェクトの見事なプロパガンダ映像だなあと思いつつ、今回の勝田さんの就労支援懇談会は、これを上映していたら、結論の先取りのようではありますが、テーマがもっとすっきりしていただろうと思うのです。

DVDに登場する方々は明確に自分を語れる方たちです。就労に困難を抱えている方たちが、社会の中で「当たり前に働く」ということを支え、契機を提供する活動の大切さを語りの裏側で伝えていると私は受け取りました。就労支援活動の基本的なことです。

今回の就労支援懇談会は、子どもの頃からの、いわゆる公的支援からこぼれ落ちてしまった、「地域に潜在し制度の狭間にある方たちの就労支援」にテーマが置かれていました。それは、いわゆる軽度発達障がいと呼ばれる方々であったり、精神障がいの方々、社会的引きこもりや就労挫折等の方々の就労支援の連携活動に手がかりを探る、連続企画の口火となるつもりの会なのでした。

私は引きこもり青年たちと出会います。そこでは「挫折」「生き下手」というような、まるで棍棒というか、または、もつれた糸にからまったような若者と話します。彼らにとって就労は、生きるためやむをえず行う「苦行」なのです。同じ「就労」と言っても、今回登場した知的障がいの方たちとは、ずいぶん風景が違うなと思います。実際私は、ハローワークへの付き添いや、専門学校の窓口に、何やら彼の保護者顔をして連れ添いますが、彼らは、気持ちを懸命にかき立てつつも、かすれかすれ、やっとの思いでぎごちなく面談のゲートを越えるのです。

この挑戦が、就業によって彼らの劇的な転換点になることは、現実には稀です。しかし一年もすると出会ったときの顔が、知的障がいなどの方の就労経験告白のときと同じような自信と喜びの顔に表情が変化しています。対人関係に弱点がある方ですから、再びいじめられて苦労していることもあります。しかしながら、彼らはよほどのことが無い限り、今の立場を手放そうとはしません。就業の痛みの中にも生きていく手ごたえを見つけているからです。

ここに共通している「働くこと」の価値を、なかなか形が作れない「制度の狭間の方々の多様なニーズを抱えた就労支援」を形作っていく、「エンジンのような企画」を作りたいと思うのです。

「輝く未来へ StepUp」(企画:教育庁 製作:都教委 2008)は、企業就労レポートですが、「傷がいがあっても、ここまですごいことがやれるのだ」という成功事例が次々に語られています。しかし面白いのは、特別支援校やジョブコーチ、企業の担当者等の裏方の力が背後に透けて見える、いわば表舞台の映像でした。それと同時に「働くって何なの」ということが喚起される映像でもありました。

しかし、ハローワークでバイトを探して、上司や客の無理難題に転職を重ねて疲れている方には、作品そのものは違和感のある映像です。「だからって何なんだよ」というところです。私たちがまさぐっている協同の支援活動には、現状の違うさまざまな人がいますから、その人たちが連携することを考えるには原点的なところをまさぐる必要があります。それぞれの領域の方がそれぞれの世界で適所さがしをしてきた従来の就労支援活動からすれば、社会的挫折組と知的障がい組との課題は接点のないものに見えていても当然と思います。

今回は企業就労している方々から、就労が社会参加であることを語ってもらうことを通して、就労の支援者の裏方のなしてきたこと、何を実現させていこうとしているのか、それを懇談の中で引き出したかったのでした。

つまり、ダイレクトにテーマを訴える会ではないという、わかりにくさがありました。もし賛同が得られるなら、次回は「地域起業の立場からの懇談」を重ねたいと思います。異質なように見える各領域の就労支援の活動が就労企画のネットワーキングによって媒介される、そんなもうひとつの就労をまさぐっていきたいと思います。

就労がジグソーパズルのピースをはめるような静的な能力認識の活動から、動的な及ぼし合いを推進する協業のチーム的な活動へと、就労基本単位を変える就労の転換が出来ないものかと考え、これが協業という接着剤によって、領域を超えた共通の検討課題になりうるのではないかと思うのです。それは一から十まで完成した出来あがった構想を実現するのではなく、当事者と試みを作り支援していく体制を実現していくようなメタ就労の「たまり場作り」を浮かび上がらせてくれるような、起業構想の芽の実験の場を想像出来るような地域の試みです。

就労を軸とした地域のたまり場が、一方では就労困難者の合流セイフティネットとなりながら、新たな起業や、チーム就労を生み出していく、そんな絵が描けないか、そう思うのです。店舗開設型の活動では、店舗に抱えられた方のための活動として(従来の施設は想定された有限の当事者のためのものでした。)搾り出されたものでした。入れ物と運営資金調達の壁がそこにあって、篤志家の資金が初動資金として存在しなければ、始まらないことでした。しかし、職種によってはこの資金の壁を低く出来る。そういう試みが実際にいくつかあります。鍵は地域の社会的ニーズに乗るという社会的企業の手法を前提にするということ。私たちが通勤し私的生活・家族を営んでいる場、つまり地域の消費社会のニーズに乗るということです。これには行政や、求める側の有志の参加も必要です。そうした大風呂敷の地域構想を練る企画に育てられないでしょうか。

当事者は集団の中で自分の持ち場を意識し支え、自分の技量を変容させていきます。この変容を支える社会システム(出番作りと居場所の底支え)の端緒を生み出していくのです。

今回の企画は、企業就労という切り口から、働くという事の意味の源流を探る意味をもっていました。次はそれぞれの領域の活動の合流の可能性を探ってみたいと思います。地域起業です。勝田さんの提供してくださったDVDは、私の手元にあります。ストレートパンチのような内容ですが、ご要望があればお届けします。

夏期講習もあって、ずいぶん遅ればせのレポートになりましたが、せっかくあちこちでセンターの芽が出来てきた状況です。有効な活用法もその構想検討企画の先に見えてくると思います。資金と構想と人材、その構想の側から人材への道を見通したい。是非「何、空想をこね回しているんだ」といわず、検討してください。
以 上

----- ここまで ------

勝田俊一さん:障がい者就業・生活支援センター サンシティ所長
       (平塚のセンター活動と同時に、県下の就労支援活動に
       活躍されています。)

----- この懇談会は、「スペアちがさき」「NPOサポートちがさき・地域就労支援PJ」「『わーく』編集部」の共催で行われました。

(校正1回目済み)

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