湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

8/23 避難所・地域における急性期と治療支援&保健活動を切り出す(16)他

2015-08-24 03:56:34 | 地震津波災害ボランティア

2015/08/23 記
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(前回のつづき)

乳幼児の避難のことで、知人からブログの感想をいただいた。買い物の途中、偶然出会ったのだが、時々読んで下さっていたのだ。

言葉が難しいとのご指摘のあと、「赤ん坊は大人用の血圧計が使えないのよ」とのお話。そういえばこの話は聞いたことがなかった。腕の細さを考えてみれば、そうだ。小児科がなければ、バイタルすら満足に取ることが出来ないのだ。広域災害の恐ろしさを改めて感じた。

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家族3人が負傷、体調の悪い母を抱えた主婦が、発災後3日の間に、状況が次々と激しく変わって行ったことに疲れていた。一番困ったのは、母を残して席を離れることが気になることだった。巡回している保健師さんに、「声を上げたり、挙手で合図してください。ひとりで抱え込まないように」と教えてもらったが、現実には誰を呼んだらいいのかわからなかった。

また、混乱している避難所の中では、他者に依頼すると、依頼が立ち消えになるという事態も発生した。依頼した相手の跡をたどることも不可能に近かった。このことは後日、本部を置きメモを残すことや、管理者はめだつリボンをつけることが決まったが、協力が特に必要な発災後3日間は、孤立した家族の負担は大きかった。

また女性の場合は特に、トイレの問題が大きかった。トイレの数が少ないために常に行列ができ、長時間席を空けられない事情も加わって、つい尿を我慢するために、後日、膀胱炎発症者や尿道炎が問題になった。性器の形状から、ひとには語れない尿漏れや、月のものの始末も、プライバシーのない避難所生活では大きな問題となった。運営会議に女性の声が反映している避難所は少なく、段ボール遮蔽も隣をたち歩く人を感じて、気休め程度にしか感じなかった。また持ち物に「鏡」がなく、勿論ケア化粧品もなかった。避難所では水が不足し、シャンプーは使用禁止、石鹸も使用がためらわれた。

一方、高齢者を抱える家族にも、小さな異変が起きていた。床に寝かせた姿勢で食事をする方法に熟知していない介護が起こした危険な食事法だった。高齢者を仰向けに寝かせたまま、スプーンで食事を食べさせていたのだった。

これは誤嚥(ごえん)を起こし、極端な場合気道を食物が封じてしまうのだ。これは水の場合、なおさら発生頻度が高まった。高齢者の上半身を起こして食べさせるのだ。乳児の場合、これは看護師さんなどから指導を受け、ミルクを飲み終えたあと、軽く背中を叩き、飲み込んだ空気を出させるようにするが、これは逆流したミルクが気管に入ることも防止していた。体力のある高齢者は、むせることで誤嚥を避けるが、体力を失った高齢者は、気道の詰まりを吐き出せなかったり、喉元に残る食物かすをそのままに、気がつかなかったりし、口腔内の特に「入れ歯」に雑菌が繁殖し、その唾液を気管に誤嚥することで「誤嚥性肺炎」を起こし、死に至ることも往々にして起こるのだった。

(参考)
●「Tomorrow 肺炎急増の謎~避難所を襲った次なる危機~」(宮城県 気仙沼市)

私事だが、認知症を発症していた父も、老健の運営の不手際で、特養に移ってとどめをさされるように、移動数ヶ月のうちに、誤嚥性肺炎で死んだ。枯れ木が折れるようだった。施設では、父はときどき他人の入れ歯をしていた。ベッドサイドの水のみは、食物の逆流で濁っていた。再三注意を喚起したのだが、手遅れとなった。高齢者の死因の上位を占める病いなのだ。

NHKのドキュメントの中でも、この病の危険性を告発していた。口腔内清浄の大切さは、県の歯科医師会では常識であったのに、医師会ではそのことを知らなかったという。医師会間の情報共有が出来ていなかった。避難所生活の高齢者が入れ歯掃除と食事後の口腔ケアをしていなかったことで、「誤嚥性肺炎」を次々と発症して,亡くなっていたのだった。

こういう医療と保健の目で避難所を見る事、最低限避難所運営会議に医療専門職が関わる必要がある。実態としてはこの現場医療専門職の人数が圧倒的に足らなく、特に発災後3日の急性期と呼ばれる期間、つまり地元で危機に立ち向かわざるを得ない期間は特に、医療専門職周辺支援者のボランティアが必要なのだ。素人にも関わりが出来る形で仕事を切り出して行くことの重要さ。平常時にも仕事がある形で、ケア・ボランティア養成を進めていく必要がある。安全避難と救急法は大事だが、避難後のケアの重要性を更に考えて欲しいと願う。

次回は、情報不足から、まとめきれなかった断片を取り上げ、「急性期」の話に区切りをつける予定。

(つづく)

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明日は特定健診で胃のレントゲン検査を受ける。だから夜は食事絶ち。絶食は糖尿病にはいいのかもしれないが、口寂しい。

病院から直行で後期夏期講習へ。職リハ大会も、早大の自閉症カンファレンスも、講習準備があって参加できなかった。いつも8月末は何かの大会があるが、今年は何とも寂しい。9月に入ったら阪神訪問で、懇話会ゲスト講師依頼を拝み倒してくる。1月の障がい者関係講師は宮城県にする。阪神の都市型災害と障がい者は、テーマが絞りきれないというか、20年目として講師対象者がなかなか見つからないのだ。阪神は高齢者関係から捜す。

夜間傾聴:ひとり

(校正1回目済み)

 

コメント
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