2015/08/18 記
--------------
(前回の続きから)
急性期の「避難所」と「福祉避難所」の特徴比較をすると、「避難所」では、あらゆる状態の方が交差点のように通過して行く。大きくは、「いのちの危機」から救助された方がとりあえず身を寄せた場所であること。分散避難している家族を探して、噂や家族の約束事に従って、生存情報に聞き耳を立てながら、他の避難所へと移動する。移動の危険がとりあえず去ると、慢性疾患を抱えた高齢者や、乳児の乳の確保などの事情から、避難所内の混雑や、食料・衣料などの物資配給の差、室温差を基準に、より家族の安定を確保できる避難所捜しが始まる。インシュリンが必要な糖尿病患者とか、ニトログリセリンが必要な心臓疾患、透析治療が必要な方や、安定剤が必要な精神疾患の方などが、医師・看護師と接点の取れる病院・救護所に近い避難所を求めて移動が頻繁に起こる。このため、避難所利用者の実態が管理者にもつかみづらい状態が続く。
これに対して、「福祉避難所」は様相が違う。手帳を持っている方とその家族は、避難時の危険がとりあえず去った時点で、事前に確認していた指定福祉避難所に移動する。この移動そのものが非常に困難を伴うので、全壊していなければ、自宅や同じ困難を持つ近隣の方の御宅に身を寄せる。その上で、より近くの障がい者施設や特別支援校など、従来利用していた障がい理解のある方との接点を求めて移動する。福祉避難所の多くは、これらの施設が福祉避難所に利用されるが、主に通学・通所されてきた方が利用する。
成人障がい者、特に医療保護が必要な方は、避難時点でハンデを抱えるために、病院収容が遅れ、居場所探しに困難する。重症・高齢等の在宅障がい者、視覚障がい者、集団利用が困難な発達障がい者、精神障がい者等、受け皿のカスタマイズが必要な方たちは、指定福祉避難所が後手を打つように設けられ、学校校舎教室の一時利用や、他地域への搬送等が行われたりした。また、居場所に困難を抱えるのが、聴覚障がいの方たちだ。一般の避難所と福祉避難所との間で、分散しがちだが、障がい理解と手話理解のある方どうしが、避難所内で結束していく方法をとっている。勿論、聴覚障がい施設がある場合は、そのスペースが避難所に利用される。
つまり、急性期の福祉避難所は、利用者の集合立ち上がりが遅く、まずは「安全移動」・「医療支援確保」・「避難所状態のカスタマイズ」が課題となり、「安全移動」・「物資・食料提供」の部分しか第三者ボランティアや地域自治体指定の隣人協力者の関わる部分が少ない。ボランティアの登場は、慢性期に入ってからと言ってよい。
一方、高齢者の場合は、在宅介護の割合が高く、高齢者施設の収容可能者数に収まらない場合もあり、一般避難所の配置のやりくりの中で生活が始まって行った。実はこのやりくりが高齢者の重症化、死亡者増大という様々な試練を味わうことになる。
取り残された在宅待機・自家用車生活者の孤立をどう解決していくのかという課題を行政・支援者は迅速な解決を求められる。
またこれは、移送(transfer)の際、顕著に現れるが、高齢者の場合は、状況自己打開の当事者としてたち現ることにはならない被救護者であり続けることだ。それだけに適切な措置が重要であることを意識していきたい。
(つづく)
-----------
後期夏期講習の準備を始めた。途中、病院に特定検診の予約申込みを済ませていると、知り合いの介護タクシーのAさんと出会った。発災時の介護タクシーの働きについて取材したいと申し込み、来月下旬に会うことになった。違う視角が得られるか?
市役所の市民自治推進課・市社協で用事を済ます。西浜高校ボンティア塾の申込みを終える。「避難所内FM(マイクロFM)の放送を作ってみよう」だ。避難所とはどのようなところか、避難所内放送の意義を押さえ、番組の放送シュミレーションを行う。
夜間傾聴>開店休業
(校正1回目済み)