三菱ドック踏切、発見!

2022-01-12 00:00:18 | 美術館・博物館・工芸品
長く横浜市に住んでいて、時々はみなとみらい地区をはじめとして横浜駅から桜木町駅のあたりを歩くこともあるのだが、初めて踏切を見た。

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みなとみらい地区の神奈川大学周辺から市営地下鉄の高島町駅に行く用事があり、案内板に近道が表示されていて、その通りに歩いてみると、かわいい踏切があった。ミニチュアのような造りで、歴史的建造物で保存しているのかなと思ったが、近づいてみると、本物のようにも見える。展示物だとするとリアルすぎる。単線ではあるが線路のレールも錆びていない。しかし、ここの頭上には横浜駅から桜木町、関内を経て根岸方面、そして大船につながるJR根岸線が走っている。

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もちろん自動車は通り抜けできない。さらに近付くと『三菱ドック踏切』と書かれていて、めまいがする。というのも、広大なみなとみらい地区だが、元は三菱重工の造船所だった場所だ。略して「三菱ドック」と呼ばれていた。そして1980年代に閉鎖されている。明治時代以後使われていたドライドックは歴史的建造物として観光地になっている。

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つまり、この踏切だけが残ったのだろうか、あるいは私がこの踏切を渡ると工場閉鎖以前にタイムワープするのだろうか。バブル前だ。土地やゴルフ会員権を買ってバブル崩壊寸前に売り逃げればいいはずだ。そして、踏切に入ると40年前の私になり、踏切を渡り切ると40年後の私に戻った。時間旅行終わり。

後日、調べると、この踏切の先に造船所の正門があったそうだ。多くの工場勤務者が毎日この踏切を渡ったのだろう。そして、実際に踏切は現在使われていた。

南側は桜木町駅で、根岸線に合流している。北側は横浜駅の近くで地下に潜ったり地上に出たりしながら東海道線よりも海側を走り、鶴見のあたりで合流している。つまり貨物線なのだ。

ほとんどの貨物は根岸にある製油所からタンク車に積み込まれた石油製品で、武蔵野線を経由して高崎や宇都宮方面に輸送されていて、時には踏切をふさぐ形で止ってしまうこともあるらしい。その結果、神奈川大学の関係者は遅刻になってしまうだろう(遠回りだが歩道橋使う道がある)。石油の時代が終わると、踏切だけが観光スポットとして残るのだろう。