児島虎次郎展(倉敷市立美術館)

2016-02-21 00:00:39 | 美術館・博物館・工芸品
児島虎次郎といえば、大原美術館の開館当初に実業家の大原孫三郎の依頼で欧州各地で絵画を収集した人ということになっているが、フランスで画家の修業を積んでいて、19世紀と20世紀をつなぐ多くの多くの画家の中の一人でもある。

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ただ、個性と言う点で、内外の画家と比べると劣るところがあるのかもしれないが、早い話が「器用貧乏」だったのだろう。絵画の収集の方も、美術館用にさまざまな流派の画家を選んでいたし、自ら描く絵画にしても、さまざまな技法を器用に自分の手にしているのだが、その多彩さが逆に個性を消しているとも言える。

今回は、倉敷市内の公立学校に寄贈され、保管、展示されている児島虎二郎の作品を集めて展覧会が市立美術館で行われている。春休みには少し早いが、学校に飾るにはもったいないような気がする。市立学校だけでもなく、私立の幼稚園などにも彼の絵が寄贈されたようだ。

そして、展覧会で勉強してみると、彼が欧州でたくさんの絵画を収集(購入)できたのは、理由があった。

画家のアトリエに押しかけて、画家から直接購入していたようだ。産地直送。中間マージンの排除だ。こうなるとモネやルノアールのアトリエに行けると言うことは彼がそこそこの画家だったからだろう。そして、画家の立場で言うと画商を通さない個人間売買なら、税務署に所得をつかまれないというメリットがあったのだろうか。