東山魁夷せとうち美術館へ

2014-02-02 00:00:52 | 美術館・博物館・工芸品
四国シリーズ最終回は、東山魁夷せとうち美術館へ。全国何か所かにある東山魁夷画伯の美術館の一つ。元々沙弥島という島だったのだが、コンビナート建設の都合で埋め立てられて陸続きとなった。ということで、歩いていくような場所ではなくきわめて人工的な立地である。遺産であるリトグラフ他の版画約300点を中心に収蔵しているそうだ。

kaii1


実は、画伯の絵を一般の美術館の中でみると、多くの絵画(日本画コーナーの場合が多いが)の中に一点目立つように架けられていることが多く。「日本画の王様」のような扱いになっていて、ちょっと好きになれなかったのだが、この美術館では、画伯の作品以外はないのだから、そういう環境で見ると、まったく見え方が違うのだから美術館鑑賞というのも心理的に怖いものがある。

で、初期のころは写実を中心として、それをありえないほど美しく描くということを中心としていたようだが、熟成されてきて最初から、「世界には決して存在しない美」を描き出したような感じがある。といっても題材を探して日本国内にとどまらず欧州各地に足を延ばす。

kaii2


凡人である私の目には、そんな極北の地で凍えながら書かなくても、どうせ夢の世界のような絵を描くのだからと思ってしまうのだが、それではきょうの一枚の絵は描けても、一生を画家として生き抜くことはできないということだろう。

現代アニメの背景画にも大いに影響を与えているというか、そのままじゃないのかと思ってしまう。

画伯の名作と世間で言われるのは、ほとんどが緑や青といった寒色系の作品だが、晩年である1990年代には、黄色や赤を多用した作品を多く残していることを知る。現役のころから有名だったせいで、寒色系の作風のイメージが漂っているのだろうが、あと10年ほど経てば一生を通したバランスの良い評価が生まれてくるのではないだろうかと感じた。

当日の鑑賞者の中には、美術関係者風の方もいらっしゃったのだが、美術館に行くときには、それっぽい仕事着や指や爪に絵の具の汚れでもつけていくと感じがでるかもしれない、と思ってはみたが、職業画家って有名画家の展覧会なんかいかないのだろうと、すぐさま思いなおす。