病院はいつもパラダイス(小林光恵著)

2013-01-17 00:00:42 | 書評
byoin元ナースの小林光恵さんのエッセイというか体験談。

女性優位の職場は数多くあるけれど、その中でもトップクラスの激務が看護士であるだろう。肉体労働でありながら、簡単には就けない職場である。たぶん3Kどころじゃないのだろう。だいたい手抜きができない。普通の職場だと手抜きをしても、怒られないこともあるだろうし、仕事に失敗しても大目玉を食らう程度。看護士の手抜きは、逮捕に至ることもあるだろう。もちろん発覚しないこともあるだろうけど。

でも、まったくの裏話が語られるわけだ。(もちろん法律のギリギリ範囲内のことだけど)

患者との接し方や、病院内の人間関係。なんとなくわかるのは、入院してから回復に向かうことが予測される人と、逆方向に向かう人。少しやっていると、「原因と結果」というような関係が、わかっちゃうのでしょうね。

でも顔に出せない。態度にも出せない。そのうち、患者の生死について、何とも思わなくなってくるわけだ。

まあ、個人的には仮に長期入院しても、「ナースの気持ち」になることも「ドクターの気持ち」になることもないだろうから、せめて、巡回診察の時に「もうすぐステるよね」というドクター×ナース間で交わされる小声の業界用語を聞き洩らさないようにしようと思っている。