『はじまりは国芳』?

2013-01-06 00:00:13 | 美術館・博物館・工芸品
横浜美術館で開催中の『はじまりは国芳』展(~1/4)をのぞきに行く。国芳は国芳であり、北斎や写楽と同様に誰にも真似すらできない迫力のある絵師である。

ただし、・・・

ちょっと気になっていてのが、展覧会のネーミング。「はじまりは」という部分だ。

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というのも、国芳は江戸を代表する浮世絵師ではあるが、むしろ江戸時代の最終局面で登場したわけだ。写楽あり広重あり北斎あって、最後に江戸幕府の崩壊感覚の中で、風刺や末期感覚の奇想的画風が売りだった。はじまり、というよりも、とどめというような位置にいるように思っていた。

で、展覧会に行ってわかったのだが、国芳だけの展覧会ではなく、国芳からはじまる弟子たちの様々な作品を展示していたわけだ。だから国芳比率は40%くらいかな。つまり幕末から明治に入り、国芳を知らない弟子の弟子の世代で日本画だけではなく洋画家にまで、彼の作風が受け継がれていることがわかるようになっている。

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ただ、国芳に近づくものはいない、と断言してもいいのではないかと感想をもった。

国芳は1861年、64歳で亡くなったのだが、できうれば、あと10年の命を得て、日本が明治維新を経て180度の方向転換を始めた世界を彼の感性で描いてもらいたかったなあと、つくづく思う。日本のピカソになっただろう(というよりピカソが「スペインのクニヨシ」になるのかな)。