コメの価格はいくらになるか

2008-04-29 21:50:21 | 市民A
今、実際には日本国内の米価は下がっている。実際のところ、昨年が豊作だったわけではない。それなのに約7%程度値下がりしている。結局、政府が買い込んだり、全農の持っている在庫を無理やり飼料にさせたり、作付け調整したり、PKO(price keep operation)をしている。

しかし、なぜ、価格が下がったのか本当のところはよくわからない。元々、日本の農業統計というのは、まったくいい加減で、統計上でも、税務申告上でも不明なことが多い。不透明な統計を使って色々な政策が立てられる。

一方、輸入米にはあいかわらず高額関税が課せられているので、価格下落の主因は、国内の需要供給バランスか、流通合理化による価格競争の激化かによると考えられる。

需給問題で言えば、実際には米の生産量は増加しているのではないだろうか。特に、ブランド米の産直販売がかなりの拡大をみせているのではないだろうか。ネットでもかなり簡単に購入できる。なにしろ、自宅までクロネコさんが運んでくれるわけだ。産直なので問屋マージンがない。一方、需要の方は少子高齢化やメタボ対策で小食化が進むのだから、国内だけみていれば価格上昇余地はないはず。

が、・・

ここで、標準的なコメの価格だが、まず国際価格はキロ100円程度である。これが急騰しはじめている。近いうちに150円になるだろう。しかし、日本はこれに300円程度の関税をかけている。では、国内米はといえば、キロ300円から400円くらいだ。ブランド米が400円程度で、超ブランド米が500円くらい。あまりに国際価格とかけ離れているのだから、海外価格が上がっても関係ないような気がするが、たぶんその考えは、甘い。

中国の存在である。

昨年も日本からブランド米のテスト販売を行っていて、人気が沸騰している。飛行機で日本にきて、コメを大量にバッグにつめて帰る中国人がかなりいる。さらに、戦後、日本は急速に洋食化が進み、米離れが起きたが、今後、中国が洋食文化に染まるとは、とても思えない。さっさと短期間で食文化を変えた日本は、世界の例外だろう。ただし、中国は、コメの高級化に向かうだろう。それも国内で作るのではなく、日本から札束で買い付けるのだろう。つまり、日本の高級米が中国に流れ、バランス上、中国の普及米が日本に流入し、洗剤で洗ってから炊くことになる。

では、その量と価格は?といっても統計も不明だし、ミクロ経済学は、限界的(プラスマイナス数%)な変化を分析するには有効だが、大幅(2倍とか半分とか)な変化には対応困難だ。ただ、おそらくはコメの価格弾性値は0.25位ではないだろうか。価格が50%上昇しても、数量は25%減くらい。あるいは、もっと減らないかもしれない。灯油価格だって2倍近く上がっても需要は2割減だ。

そして、需要問題だが、中国の沿海部には4億5000万人の人口があるといわれる。そのうち日本の生活レベルと同じような人はどれくらいいるか。私は、日本と同じくらい(つまり1億人以上)の数字ではないかと思う。いいかえると、中国12億人の所得が上から1億番目の人と、1億2000万人の日本の1億番目の人の所得が同じくらいではないだろうか。

そう考えると、日本が二つあることになる、ブランド米の数量が同じだとすると、半分が中国に輸出されることになる。日本国内の供給量は50%減になる。仮に価格と数量の均衡点が価格弾力性0.25以下で決まるとすると、その時の価格はプラス100%(つまり2倍)以上ということになる。

つまり、キロ当たり800円以上ということになる。

ただ、あくまでもミクロ経済学は数百パーセントというようなものには不適当な感じがあるし、輸出が本格的になった場合、輸入関税は引き下げなければならないだろうから、輸入米が400円/キロ程度になり、ブランド米が800円/キロ、超ブランド米が1000円/キロということになる。そこから先のシナリオはまったく不明だ。

たぶん、庭のある人は、芝生を剥がして、芋畑にしているだろう。

庭のない人は、・・・芋畑の小作人になっているかもしれない。

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