突然のF1 BARホンダの処分。

2005-05-08 14:57:18 | スポーツ
サンマリノGP(グランプリ)での車両重量オーバー問題でFIA(国際自動車連盟)が国際訴訟裁判所(パリ)へ提訴した件で、BARホンダに対して、2試合(バルセロナ、モナコ)の出場停止処分が発表になった。もちろん、サンマリノGPのバトン選手の3位と佐藤選手の5位の入賞も取り消しになった。これに対して、バルセロナで行われるスペインGPの第5戦を5月6日に控え、BAR側はスペインの裁判所に処分取り消しの民事訴訟を起こすと言ってはみたもののとりやめた。一方、FIAは処分が甘過ぎると息巻いている。

詳しい話は当事者達だけの秘密なので、よくわからないが、サンマリノGPの後、ずっともめていたらしい。およその話を書いてみる(もちろん後で、間違いがあるかもしれない)。その前に、BARはブリティッシュ・アメリカン・タバコがスポンサーで、名門ティレルから1997年にチームを買取り、ホンダがエンジンチームを送っている。BARはブリティッシュ・アメリカン・レーシングチームの略だ。

まず、車体重量はガソリンを抜いた車体本体が、605?以上とルールがあるそうだ(ルールブックには確認していない)。もちろん軽い方が有利だが、軽くし過ぎると事故の際の危険が増す。普通の乗用車は1000?から1500?だから、ずいぶん軽いものだ。そして、サンマリノのレースのあと、通常の抜き打ち検査があり、BARのバトン選手の車体が検査されたのだが、ガソリンを15リッター残したまま検査したため、検査に合格したのだが、後で、BARは車体にサブタンクを持っていることが関係者の情報で明らかになり、15リッターのガソリンがサブタンクから発見されたらしい。密度は0.7位だから約10?になる。これを差し引くと605?を下回るということがわかったため、FIA側は1年間の出場停止にしようとしたらしい。それに対しBAR側はサブタンクがあっても通常は使わないのだから、車体重量の方に含めるべきだし、サンマリノGPではサブタンクのガソリンは使っていないので、問題はない。という見解を示していたわけだ。

要するに、グレーゾーンの判定だ。おそらく、その辺のグレーさのせいで、2試合出場停止という曖昧なジャッジメントが出たのかもしれない。そして、私見だが、本件にはおそらく、今年の第一戦でBAR側が使った作戦に対する、FIA側の不満があったのではないだろうか。第一戦は、今シーズンから始まった新ルールの一つである、1エンジンを2試合以上使わなければならない、とする条項があったのだが、レースの形勢不利と見るや、BARは2台ともリタイアさせてしまったのだ。第一戦を走り切らない車はルール適用外、として第一戦での結果をリセットして、第二戦に新エンジンを投入してしまった。ルールのスキマを見つけたようなやり方は、かなりダーティなイメージを与えたはずだ。

そして、また今回もグレーゾーンを狙ったやり方だったため、FIAもついに怒ったのだろうと想像する。

一方BAR側も弁護士が登場し、スペインの裁判所に訴えようとしたらしい。FIAは法律家の専門組織ではないので、規定が若干甘くなっていたのかもしれない。だからといってグレーゾーンを攻めるというBARの態度はスポーツパースン精神としてはちょっとおかしいかもしれない。これでは各チームともツアーに弁護士の同行が必要となる。無論、弁護士資格を持ったドライバーを雇えば安くつくのだが、今度は報酬交渉で高くつくかもしれない。

しかし、実際にサブタンクに燃料を入れておくのは、有利なのだろうか?それともあまり関係はないのだろうか。いくら考えてもよくわからない。

しかし、相互の不信感を言い立てれば言い立てるほど、FIA・BAR・ホンダ、そしてF1そのものに対するイメージはどんどん悪化するだろうという意見もある。

一方、今年は不成績のホンダが、F1撤退する口実に使ったりしなければいいのだが、すでに来年用の小型エンジンは完成済みとの情報もあるので、大丈夫とは思うのだが・・・

なかなか額面通りには考えにくいのが、この世界の特徴であり、コースの中のレースよりコース外がヒートアップするのは、某国のプロ野球みたいだ。

そして、サブタンクの存在を告発したのが、BARを退社した元社員だったということも普遍的な話だ。