3C時代の次だったのに・・

2005-05-27 09:47:18 | マーケティング
2bcbb5d4.jpg一昨日は、「三低」について書いてみたのだが、この「三X」といって三つならべるのは、古来より日本ではよくある表現だ。「松竹梅」は、日本の熟語だが中国では松竹梅蘭と四つにする。日本では「四」は不吉な数だから、七五三の一つである三になる。

さて、戦後の日本の消費ステージには、最初に「三種の神器」が登場した。洗濯機、炊飯器、冷蔵庫だ。この3種はいずれも、家事を「便利」にするという性格である。いわば、「生活の向上」というレベルだ。

次に登場したのは、「3C」である。クーラー、カラーテレビ、クルマ(カー)だ。よく考えると、生活に「快適」を持ち込む製品であることがわかる。「便利」から「快適」に昇格したわけだ。

次が問題で、私のこどもの頃、小学校の校長が教えてくれた話があった。次は「3P時代」だというものだ。で、3Pとは何だというと、プール、別荘(ペンション)、飛行機(プレイン)ということだ。なるほど、日本人がアメリカ人になれば、そうなったかもしれないが、その時代は来なかったし、今後もないだろう。で、その3Pをよく考えてみると、「欲望製品」であることがわかる。「便利」「快適」から「欲望」に発展するはずだった。まあ、実際、越後湯沢なんか別荘だらけになったのだがあっという間に崩壊した。

それでは、一人当たりGDPでは米国とあまり変わらないのに、なぜ、「欲望製品」の時代が来なかったのかということだが、私見でいえば、日米では、「欲望」の種類が違うのかなって思っているのである。おカネがあったら、飛行機買いますか?庭に穴を掘りますか?

それでは、日本人は、「欲望」という字を知らないスクエア人間ばかりなのかといえば、違うのだろうと思う。これも例にならって3種類並べるとすると、日本人の欲望は、
1.貯蓄、住居方面
2.旅行・レジャー方面
3.コミュニケーション系
ではないだろうか。「薄型大型テレビ(住居)」「デジカメ(旅行)」「DVD録画(趣味)」「新世代携帯(コミュニケーション」などを「新三種の神器」と呼ぶなら、まさに消費者は日本的には、「欲望」段階に来ているとこじつけることができるのだろう。

ところで、未来予想は難しいという例だが、これもこどもの頃の科学系の書籍に書かれていたのだが、ベーリング海峡を埋め立てる計画が書いてあった。アラスカとロシアの間をせき止めると、冷たい海水は太平洋に流れこまず、シベリアは緑の牧草に変わるという話だ。しかし、冷戦中なのでその計画は宙に浮いているとのことだった。ただし、結果として日本は熱帯になるだろうし、北極の冷たい水はまとめて大西洋に流れ込むことになり、グレートブリテインは氷河に包まれるだろう。冷戦でよかったのかもしれない。

第二パナマ運河というのもあった。パナマの山岳地帯を水爆を10発くらい使って吹き飛ばして、運河にしようということだったが、パナマがアメリカから独立してしまったので、しばらくは無理だろう。

遺伝子を改造して、新種の植物を作る話だけは実現した。逆に、今考えられている将来の予想も、途方もないものも多いのだろう。

日本海海戦から100年

2005-05-27 09:45:49 | 市民A
e247cc65.jpg日露戦争に決定的勝利をもたらした日本海海戦から100年経ち、5月27日は横須賀の三笠公園内の戦艦三笠艦上で記念式典が行われる。中心人物はもちろんミスター不沈空母の中曽根元首相だ。しかし、マスコミも含め、ほとんどの人は何も言わない。妙に騒いでロシアまで日本いじめの環に加わられても困ると思ったのかどうか知らないが。

さて、短いブログとはいえ、歴史を語るのは気が重い。歴史には、「実際に起きたことを解明する」部分と、「なぜ、そういうことが起きたのか、理由の意味付け」という二つの要素があるのだが、特に「歴史に理由付けしていく」作業は、難しく、かつ答えがあるのかどうかも不明だ。「歴史は必然か偶然か」というあたりまで抽象化してみれば、必然でもあり、偶然でもある。というようなことなのだろうと思っている。

そして言い訳ではないが、5月27日は日露戦争の始まりでもなければ終わりでもないし、日露戦争全体の意味付けをブログで書くのは無理すぎるということで、今回は、日本海海戦の周辺の話に限定してみる。日露戦争の総括にふさわしいのは、9月5日のポーツマス条約締結100周年なのだろう。そして日露戦争は日本やロシアで戦争をしたのではなく、朝鮮半島や中国の陸上や海上で戦闘が行われたのである。戦争の常として、「もう少しの利権がほしい」というちょっとした欲望と「先手を打たなければ大敗北になるのではないか」という猜疑心が入り組んでいるのである。


さて、日本海海戦は、世界の海戦史の中でも結果が一方的になった例として有名であるが、案外、一方的になった例は多いらしい。というのも限定的な海域での戦闘になると、お互いの艦隊はそれぞれ有機的に一体として機能するのだが、どちらかがまず一隻減ると、有機体の機能が低下することになり、さらに一隻沈むと、彼我の勢力差がどんどん拡大していき、全滅に向かっていくことになるらしい。10対10が10対9になると、そのまま10-5とか10-4になり最後は10-0になるわけだ。そして足の速い軽装船だけが逃げ出すことができる。

日本海海戦は日本が予想外にロシアに勝ったといわれているのだが、調べてみると元々は日本側が有利とまではいかなくても戦力は拮抗していたことがわかる。戦艦は三笠をはじめ英国の造船所に発注したもので、最新。かたやロシア側は、喜望峰周りで7ヶ月もの航海を続け、補給(特に重要なのは燃料の石炭)を続けながらやっとの思いで目的地ウラジオストックにあと一息というところまで来たところであった。

また、一般に「待ち伏せ」は最大の攻撃効果を与えると言われ、日本に近づくにしたがい、ロシア側の緊張は続いていたと考えられる。

さらに、よく書かれていることだが、ロシア艦隊ロジェストウェンスキー中将の選択した航路が、対馬沖、津軽海峡、宗谷海峡のうち対馬沖の最短コースを選択したのも、避けられない事情があったと考えられる。まず、宗谷海峡は千島を日本が領土としたこと(樺太・北千島交換)から、どこを通っても狭水道になり、機雷による被害が避けられないし、荒天になった場合は石炭補給船からの洋上補給が困難になることが懸念されたそうだ。次に津軽海峡だが、ここも機雷被害の可能性と海峡内で挟み撃ちにあう危険が高く、選択することはできなかっただろうと言われる。さらに、当時の記録では、マラッカ海峡通過時に、戦力を見極められていて、ロシア側の作戦自体、防諜戦ではかなり劣っていたことがわかる。さらに最終的に上海で石炭を購入した際に、航路情報は日本側に漏れていたということだ。

実際、それでロシア側が津軽海峡を突破していたら、戦局が変わっただろうかと考えると、やはり1ヶ月以内にはどこかで(おそらくウラジオストック港外で)戦闘が行われたのではないかとも思う。

海戦の場合、待ち伏せ側が有利という状況の一つが、東郷長官の採用した作戦にある。当時は「丁字作戦」と言われ、その後は「T字」と英文字になったのだが、直線状に艦隊を組んで北上するロシア艦隊に対して日本側は左前方から南下してきて、すれ違う寸前に直角ターンをして、相手の進路状に”ついたて”のように何隻もが右舷側を並べてT字型に対峙する戦法である。一般に動物は横腹が弱点であるが、戦艦は逆に両舷に大砲がついているため、横向きが強く、縦向きは無力だ、ただし、縦から横にターンする時は最大の弱点である。自分の側からの照準がつかない反面、相手側からは止っているように見えるからだ。そして事実、先頭にいた三笠は右舷側への被弾が多く、被弾した弾の重みで激しく右傾斜したそうである。

しかし、一旦、T字型が完成すると、直進する相手の艦隊を弱点である正面から1隻ずつ集中攻撃することが可能となり、さらに戦闘海域から逃れた相手の艦艇をさらに包囲して全滅させたということなのだ。(一方、別の作戦が用意されていたが、荒天のため、次善の作戦になったという説もある)

海戦は一挙に多くの死者を出すことが多いが、ロシア側の死者は4,545人と言われる。しかし、一方、生存して捕虜になった人数も6,106人いることも忘れてはならない。戦艦大和の最期では、失った人数は3,063名、生存者は僅か276人だ。

さて、少し海戦から離れるのだが、日露戦争の戦費調達のために、国債発行と増税が行われている。国債は14億円が発行され、国内で6億円、海外で8億円が集まっている。海外とは英米両国が中心で、日英同盟を結んだ英国では、国債説明会が行われている。先日、ロンドンとニューヨークで100年ぶりの日本国債説明会が行われたと報じられたが、その100年前の話だ。良く考えると、英国は、日英同盟を結んで、国債というおカネを貸して、そのおカネで自国の造船所で軍艦を作っているわけだ。まあ、そんなものだろう。そしてもう一つの増税の方は、所得税が1.7倍になったそうだ。そしてそのまま上がった税率は下がることなく、次の戦争やその次の戦争への資金源になっていったわけだ。これもそういうものだろう。

その後、ロシアは足腰が崩れ共産革命に向かっていき、日本はロシアの持っていた中国での利権を引継ぐ予定だったが、あまりうまくいかず、さらにロシアからの防衛ラインと言っていた朝鮮半島中立化戦略を占領政策に切り替えてしまったのだが、詳しい記載は難しいので行わない。


さて、日本海海戦の話はここまでなのだが、最近の首相の靖国問題に関する言動はなぜか胸騒ぎをおこすのである。以前書いたブログなのだが、妙なことだけは考えないでほしいと思っている。あなただけの国というわけではないからだ。