ATS-S,ATS-P,ATC

2005-05-02 15:18:26 | 市民A
二日前に書いた「遠因二点」の末尾の方に、”もっと乗客ものんびりしよう”という主旨で、「東急線なんか2日に一度遅れている」と実感を書いたのだったが、少し引っかかりがあった。新聞を読んでいると事情が判ってきて、さらに調べてみると、大きく深い穴があった。

報道を見ていると、JR福知山線(通称宝塚線)は旧式のATSで、新型ATSに交換すべく計画があったが間に合わなかったという。さらに新幹線にも使われている”列車間距離に応じて速度が低下する”ATCは、京浜東北、山手線、東急線、東京メトロ、都営地下鉄で導入しているとのことだ。東急線がよく遅れるのにも理由があったわけだ。

そして、旧型ATSはATS-Sと言われ、基本的には、運転手に停止信号を送り、数秒間放置すると自動的に止まるのだが、手動ですぐに解除できるようになっている。運転士には、列車相互間の距離が不明(あるいは見えないかもしれない)なので、無視するのが一般的だ。全国のJRは大部分がこれだ。一方、私鉄の大部分は新型のATS-Pになっていて、スピードオーバーには自動的にブレーキがかかることになり、安全サイドに寄った考え方になっている。さらに、ATCは列車間の位置と速度により、後続車の速度を落とそうという設計で新幹線には当初から設置されている。

そして、なぜ、JR(主にATS-S)と私鉄(主にATS-P)で異なっているかという点だが、1967年に私鉄各社に対して運輸省が通達を出しているのだ。つまりこの時にダブルスタンダードになった。そして、1987年に国鉄は分割民営化するのだが、この時に民間企業となるJRにも私鉄基準であるATS-Pを強要したのだろうと思われるだろうが、事実は逆で、私鉄通達の方を取り下げてしまったのである。もちろん私鉄側は既に取り付けてあるものをとりはずすこともないため、今やルールのないダブルORトリプルスタンダードになっているのだ。

そして70年台にJRがATS-P方式にならなかったのは、例の「ATSのアラームのつど列車を停止させた”順法闘争”」と関係があるのだろうか?そこまでは、今はわからない。穴は深すぎる。