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1.金持ち父さん 貧乏父さん(ロバート・キヨサキ)
以前、読み始めたところで、あちこちで書評だらけになってしまい、読み終えなくてもなんとなく判っていたのだが、続きを読む。
「金持ちはお金のためには働かない」ということだ。言うことはよくわかるのだが、人生を通しで考えると、アグレッシブであるべき時期や、ディフェンシブであるべき時期があるのだが、その時期を見誤って、借金まみれになるという例がザラにあるというのが現実だ。そして、彼の論理はよくわかるのだが、米国と日本のシステムの違いや、ゼロ金利のため、日本の経済マーケットが機能していないのが悩みどころなのだろう。
低金利で土地を買って、値上がり収益を得よ、といわれても日本では短期譲渡収益には多大な税金が課せられる。また自分のビジネスを持て、といわれても、最低資本金制度や税金の面で有利にならないケースが多い。また超低金利やハリネズミ銀行が投資判断の尺度を曲げている。株式市場は相変わらず妙な論理が往来しているし、国債や郵貯だって、破格の規模で教科書の想定外だ。
一方で、日本だけでなく、米国でも学校ではおカネの教育はしないというのは意外であった。資本主義の構造なんかは、基本文法のようなもので、親が教えるものなのだろう。それなので、米国では投資信託が隆盛になってしまうのだろう。日本では、高校生がハマっている日経や証券会社の提供しているシミュレーション株価投資ゲームなんかが親代わりになるのだろうか。
読み終わった後、著者に少しだけ文句をつけたくなって、思わず次の著書を買ってしまうというのが戦略のようなので、その罠にははまらないことにする。
2.得する生活(橘玲)
ローンやカードや金券ショップの使い方を書いてあるのだが、9割方知っていた。私の方がケチなのかな?。それにしてもカネ儲け本は、よく売れるらしい。迷える羊が多いのだ。
借金のことだが、どこか無名の新興宗教の人の説なのだが、霊界側から見ると、地上に巨額な借金を残したまま霊界入りした「マイナス人間」は、あっち側に行くと大変な資産家になるとのことだ。バランスシートの右上の負債が帳消しになるから、バランスシートの左側の資産合計が右下の資本とイコールになる。なるほどとは思うが、唯一の問題はその宗教の教祖殿は、まだ人間界の方にいて、壺や絵画をローン付きで販売していることだ。
3.おてんばOL負けないもん!(三条雅子)
この本は、いわゆる暴露本だ。しかし法律上の不正を暴いたわけではない。大手町の都市銀行本店に勤務する女子社員が自行内の女性の封建制度を「大奥」に喩えて、表現。19~20世紀型企業ではどこでもある話だろうが、紙に書くとなぜか気持ち悪くなる話ばかりだ。因習、慣習、無批判。男子行員も女子行員もどっちも狂っている。早く閉店しろ!!といわれる前に、来年にはなくなっているはずだ。
しかし、この本は、一見、日々の愚痴の連続なのだし、作者の原意も「私的な怒りの爆発」だったのだろうが、当事者らしく軽快に書き連ねている日常の不条理を読み進むうちに、私の周りにもべトっとつきまとわり続けている、輻輳的な閉塞感に連なっていることに気がついてきた。結構、重い気分になるのだが、そういう気分にならない人も多いだろう。