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実は、欧州でも音楽は宮廷音楽時代に大きく発展を始めた。バロックがそうだし、モーツアルトの映画を見てもよくわかる。一方、同時にコンサートという形で広くホール音楽が発展していき、宮廷の没落とともに、音楽は大衆化していったわけだ(簡単すぎる言い方だが)。
ところが、日本では宮廷音楽である雅楽が、現在でも宮廷音楽のままであるというのは、江戸時代の宮廷の窮状が大いに関係しているのだと思われる。バロック音楽と雅楽を比べて、いずれが勝るとかいうようなものではない。使われる楽器は、笙、箏、龍笛、神楽笛、和琴、琵琶、太鼓と種類は多い。ただし、基本は管楽器ということで、弦楽器は少ない。ブラスバンドというと怒られてしまうかもしれない。
雅楽展の間、三の丸尚蔵館に入ると、かなり音質のいい雅楽を大音量で聴くことができる。建物の中で佇み、手入れのいい装束や絵画、楽器などの鮮やかな色彩を漠然と眺めていると、ジャパニーズ・ゴージャスの気分になる。西洋芸術は20世紀初頭の「憂鬱と混迷と困難」な時代をくぐりぬけた結果、「迷走と不条理と虚無」へ向ったともいえるが、雅楽は、Ancient Asiaの力強さをまったくとして失っていないだろう。
しかし、現在、雅楽は宮内庁の楽部という部門の方が演奏されている。公務員ということだ。また、洋楽も兼務されているということだ。そして、雅楽は年間数回の宮殿内の儀式と園遊会をもって継承されているのである。外部へ公開されるのは、春と秋の公演会の時と地方公演2回、国立劇場1回ということだ。
ところで、もしかと思うのは、皇太子妃雅子さまも、こういう宮廷内の「しきたり的行事」とか、そのための従属的な仕事を受け持つ楽師たちのことを気遣って、あれこれ深く考え過ぎてしまうのかもしれない。しかし、だからといって、雅楽を廃止してしまおうとか考えるのは、向きが違うのだろう。逆に、もっと広く打って出ていいのではないだろうか。女子十二楽坊の例もある。それに楽師は公務員であり、憲法で基本的人権は確保されているのだから、気にすることはないのである。失業保険も年金もあるはずだ。
追記:最後の行に書いた、公務員の失業保険、勘違いです。着地失敗!
公務員には失業保険(正確には雇用保険)がない。という指摘を受けたので驚いたのですが、日本の常識だったようです。それでは、出向先の第三セクターが破綻したり、少子化で不要となった学校教員の問題とか、市町村合併で合理化すべき場合などは、困ると思ったら、それらは「これからの課題」のようです。
さらに、雇用保険法と公務員法ではちょっと不整合があるみたいで、ここにも大きな穴があるようです。もちろん、雇用保険があるからといっても、たいした額ではないのですけどね。
一国家二制度というのは、隣国の話かと思っていたら、日本にもあったわけですね。「国民」と一言でいうけれど、分解すると、国=公務員、民=民間人ということだったわけですね。「人民」とでもいうべきかな??