興味本位で見るべき裁判か

2005-03-09 14:07:18 | 市民A
e0fe93fd.jpgライブドア=フジサンケイの裁判やその他のシリアスな裁判などと違って、あまり社会的影響度の大きな話ではないが、結構、個人的には興味本位で見ている裁判がある。元W大学教授でマスコミに登場頻度が多かったU元教授の事件だ。

東京地裁での判決は来週23日らしいが、その頃は全国民が”にわかサッカーファン”になっているだろうし、ブログの世界は「愛・地球博」ばかりになりそうな時期なので、こんな小さな事件は埋没するだろうから、いまのうちに出しておく。

ここで、最初に私の立場を明確にしておくと、様々な報道で知りうる元教授の個人的趣味の世界に同調したいわけではまったくないし、人それぞれに設定されている「常識の範囲」がだいぶズレているのであるし、別に、白でも黒でも、個人的利害関係はまったくない。

一方、有識者により「U教授をはげます会」もあったらしく、結構、本人は元気らしい。

先に、個人的な希望を述べると、1審白、2審黒、3審白とかになって、その後、彼が手当たり次第に逆告訴の山を作って、「M浦事件」の時のように損害賠償請求を起こしてもらいたいなとも不謹慎にも思っている。

復習すると、事件が発生したのは昨年の4月12日(つまり一年前)。U元教授は横浜駅の近くにいたのだが、挙動がおかしいと鉄道警察が尾行をはじめたわけだ。そして彼が品川駅港南口のエスカレーターで、鏡を取り出して女性のスカートを覗くという犯行に及んだ、として逮捕されたわけだ。実は、この港南口のエスカレーターだが新幹線の品川駅停車のための駅の大改装の時、完成したものだ。以前は階段だったので、犯行はまず困難だった。そして、現場を確認してみると、エスカレーターは建物の外側にあるため、上りと下りは別々におおいがついていて、密閉的だ。ということは、犯行を確認することはかなり困難で、第三者が証人になるのは難しそうだ。しかし、横浜から品川へきて、このエスカレーターを一旦下りて、また上るというのはいかにも不自然だ。ブログ用の画像撮影でもしていたのだろうか?そして、このエスカレーターを上ったところが高輪口まで続く広大な駅舎の広場で、その一番先に、鉄道警察署がある。もしかして、手ぶらで帰るわけにいかずと、効をあせったことはないだろうか。

そして報道では、元教授は一旦、自供したものの、その後、一転して否認。そして検察側の求刑は懲役4ヶ月。東京で逮捕されたので、東京都条例(迷惑防止条例)による。

ここから先も、単なる推測であるが、突如、元教授が強気に出たのは、「証拠がなく」「証人がいない」ということなのだろう。まず、被害者が特定できない(当初の記事では女子高生と書いてあるものもあるので特定されているのかもしれないが)。さらに、この手の事件は、犯行を実行しようと頭の中に思っただけでは、つかまえられない。またポケットの中の鏡を掴んだ状態でも白だろう。どこまで実行すればクロなのかがはっきりしない。さらに、鉄道公安員が複数であればかなり証人能力があるだろうが、一人だと、なんともいえない。捕まえるタイミングがどうだったかである。さらに、一部報道では、一緒に押収された携帯電話にはスカートの中の画像が残されていたともある。実は条例をよく見ると、覗いただけだと懲役6ヶ月または50万円以下の罰金だが、写真を撮影すると1年以内または100万円以下と刑が倍になるのだが、起訴されなかったことを考えると、ガセネタだったのか、あるいは証拠不十分。撮影状況が特定されないのか。

そうなると逮捕直後の自供の信憑性という分野に入っていくのだろうが、「自供したら表ざたにしない」と言われたと元教授は主張しているが、逆にこれは元教授側からは証明しにくい。まあ総合的に考えると少し証拠が不足しているようにも思える。自宅からでてきた趣味の世界のDVDやセーラー服は、どうみても本件の証拠には見えない。

そして、事件がこのままクロで終わると面白くないのは、もし白になると、彼を解雇した大学や、マスコミあたりが損害賠償や名誉毀損の裁判の嵐に巻き込まれるのだろうから、そちらの方がおもしろいわけだ。ようするにまだ黒が確定しない容疑者を解雇する権利があるかどうかで、この件には専門的なブログが何ヶ所かで触れているので興味の向きは参照して欲しい。

無責任極まりない意見だが、元教授が被告である裁判と、逆に彼が「私は被害者だ」と訴訟の山を築き上げるのと両方見てみたいわけで、一粒で2倍おいしいキャラメルのような話を期待しているわけ。しかし、実際は、クロ・クロ・クロの3連発になるような気もしないではない。

軽い裁判ネタ

2005-03-09 14:06:42 | 市民A
軽い裁判ネタを一つ追加してみる。住友信託がUFJを相手に、提携契約書の一方的破棄に伴う損害賠償額として1000億円を請求。要するに、考えられる最高額を提示して、裁判所にさじを渡したわけだ。

私見だが、住友信託側の株主代表訴訟をふせぐ訴訟だろう。「やるべきことはやった」という証明だろう。こうして、今までは主流だった裁判所による調停というような手法は、はやらなくなるだろう。株主に対して、妥協した理由が合理的かどうか証明しなければいけないからだ。

それで、この金額どうなるかということだが、数字の大部分は「逸失利益の何年か分」であることがわかる。あくまでもたとえばだが、提携していたら毎年300億円はもうかったはずだから、3年分の利益と慰謝料100億円を払え、ということだろうか。

私が非常に興味をもっているのは、最初の契約のときに、解約の手続きや、損害賠償額を決めていなかったのだろうかということで、普通の契約にはつきものなんだが・・・。そして、このようなペナルティの額を記載していない場合、「逸失利益」が認められるかどうかで、たぶん認められないのではないかと考えている。おそらく、実損失10億円、慰謝料10億円の合計20億円くらいが認定されて、とりあえず高裁までもっていって、終わりにするのではないだろうか。それなら株主はあきらめるしかない。

ところで、この事件や、U教授事件やライブドア=フジサンケイのバトルなど、頭の痛い裁判が次々に東京地裁に集まっている。どれも大急ぎだ。さらに裁判官に過酷なのは、U教授でもニッポン放送でもそうだが、事件に関係の無い第三者の弁護士や法律家や新事実などが、次々とブログで解説されている。自分の担当した事件を公開するのは、違法行為だが、関係ない事件だったら好き勝手に分析してしまう。裁判官のくせとか諸外国での判例とか、とにかく判決が出る前に、細かく綿密だ。まして、いずれの裁判も、白とも黒ともどちらでもいいような気がするので、裁判官は針の莚である。そのうち、ボンクラ裁判でもやろうものなら、裁判所と法務省が「裁判官の育成を怠った不作為の罪」とかその他逆告訴されそうな状況である。

しかし、考えてみると、治安は悪化し犯罪者が増え、一方警察官も増員し、法科大学院を作って、弁護士を量産しようというのだから裁判所が忙しくなるのは当然だ。東京地裁は24時間営業をしなければならないのではないだろうか。