今月の初めにIT競争力の国別ランキングが発表になった(世界経済フォーラム)。日本は昨年の12位から8位に上昇した。と喜んでいる人が多いが、円高・ユーロ高の影響が大きいのだろうからそんなに喜んではいけない。米国は1位から5位、スイスは7位から9位、カナダは6位から10位と後退したのだが、為替の変動が最大の理由のように見える。(一方、順位が下のほうの国もそれなりに気になるようで、ブラジルでは39位から46位に下がったのを、この世の終わりのように悲しむ一方、チリ(35位)には負けたがメキシコ(60位)やアルゼンチン(76位)には勝ったとか報じているらしい。大差ないだろう、って言いたいところだ。)
ところがこのランキングの1位はシンガポール。先日のPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の世界学力コンクールには登場していないのだが、わざと参加しないのだろうと睨んでいる。そして、PISAが世界一と評価したフィンランドはIT競争力でも3位だ。そして、2位はどこかと言うと、「アイスランド」という小国だ。前年度10位から躍進。「みなさん、アイスランドの場所わかりますか?」というのはアイルランドと混同している人が多い。イギリスのとなりにアイスランドがあると思っている人が多い。それではアイルランドは?と聞くと、その二つの島の間に、もう一つ書き加えたりする。実際は、かなりヨーロッパ大陸から離れた孤島だ。火山の国で、温泉好き専用だ。水力発電での自給率100%というエコ国家だ。さらにふんだんに余る電力を使い、電気分解で水素を製造し、燃料電池車時代の水素供給者として資源大国化することを狙っている。それと、「ししゃも」が大量に獲れる。
ということで、最近自信満々状態で、あらたな一手を指した。茨城県の入管収容所に8ヶ月も拘留されている元チェスの世界チャンピオン、ボビー・フィッシャーのアイスランドへの入国及び外国人用のパスポート発給を決めたのである。そして、アイスランドパスポートを持った政府の係官3名が来日。プレス発表してパスポートを在日大使館において帰っていった。
本ブログで、過去に何度か取り上げているのだが、昨年7月、彼は入管法違反容疑で成田空港で拘束された。日本滞在中に、彼の持っていたパスポートが米国政府により失効されたため、パスポートを持っていない米国人ということになったわけだ。もともと、1992年に当時米国が入国禁止にしていたユーゴでチェスのトーナメントに出場し賞金を得ていたため大統領令違反に問われていたのである。しかし、その後、クリントン時代には、まあ大目に見ておこうということだったと推定できるのだが、パスポートの期間延長もおとがめなしに行っている(もしかしたら、うっかり延長したのかもしれないが)。そして、彼は、海外メディアで米国批判をはじめたのだが、その事情は複雑でよく理解できないが、ユダヤ系米国人として、「米国がユダヤ系企業を優遇しすぎている」というような批判であるらしい。そして、9・11の後、テロを「ワンダフル」といったために大統領に狙われることになったらしい。
拘束された時期が、ジェンキンス氏が日本に到着した時期と極めて近いため、「人間バーター」と一部で報道されたのだが、事態は、その後、果てしない法廷闘争に持ち込まれ、日・米の弁護士が登場して長期化しているうちに、既に8ヶ月が経過してしまった。その間には、ある日本人女性が婚姻届を提出(認められないまま)。有名チェスプレーヤーがブッシュ大統領にレター。羽生氏が小泉首相にメール。といった周辺的サポートに加え、国家的助っ人が現れたのである。それがアイスランドである。もともと、フィッシャーが世界チャンピオンになったのは、冷戦下の1972年のアイスランドの首都レイキャビクでの大会である。長い間、ソ連の選手が守っていたタイトルを29歳で獲得した彼は、一躍、米国の英雄になり、米国にチェスブームをもたらし、彼は「伝説のプレーヤー」になる。そしてアイスランドも有名になった。そしてわずが3年後。32歳で突然、謎の引退。
そして、今度は米国が脱税容疑で逮捕状を出したそうだ。犯罪人引渡条約で引き渡すように日本に圧力をかけたわけだ。問題が日本でおきているというのが微妙で、追米外交か自主外交かの「踏絵」になっているわけだ。そして、日本国内ではフィッシャーは有名人とはいえない。そして世論はない。世論を政策決定の隠れ蓑にできないわけだ。
問題を放置したまま先送りにする日本的解決方法も、竹島問題や尖閣列島問題ではうまくいかなくなっているように思えるが、フィッシャー問題は、問題点が「人間」であることからして、さらに先送り困難だ。塀の外側では「人権問題」の声が高まる一方、ついに塀の中でも一悶着が起きていた。3月3日の朝、彼に与えられた朝食のゆで卵をめぐって、トラブルが発生、どうも卵の交換を認められなかったことで一暴れしたらしく、4日間の独房入りになったそうだ。
どう考えても、この件を先送りして解決できないところに近いているのだろうが、またしても「牛肉輸入解禁」とのバーターになりそうな気もしている。輸入解禁ならアイスランド行き、輸入禁止続行なら米国行き。
チェスと将棋はよく似ているが、基本的にはチェスの方が厳しいゲームだ。王様が包囲されて詰まされる状況を将棋では「雪隠詰め」という。雪隠とはトイレの古語であり、囲まれて降参すれば、「もう一丁指しますか」ということになる。しかし、同じ状況の時、チェスでは「窒息詰め」と表現する。これでは、「もう一丁」はできない。
ところがこのランキングの1位はシンガポール。先日のPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の世界学力コンクールには登場していないのだが、わざと参加しないのだろうと睨んでいる。そして、PISAが世界一と評価したフィンランドはIT競争力でも3位だ。そして、2位はどこかと言うと、「アイスランド」という小国だ。前年度10位から躍進。「みなさん、アイスランドの場所わかりますか?」というのはアイルランドと混同している人が多い。イギリスのとなりにアイスランドがあると思っている人が多い。それではアイルランドは?と聞くと、その二つの島の間に、もう一つ書き加えたりする。実際は、かなりヨーロッパ大陸から離れた孤島だ。火山の国で、温泉好き専用だ。水力発電での自給率100%というエコ国家だ。さらにふんだんに余る電力を使い、電気分解で水素を製造し、燃料電池車時代の水素供給者として資源大国化することを狙っている。それと、「ししゃも」が大量に獲れる。
ということで、最近自信満々状態で、あらたな一手を指した。茨城県の入管収容所に8ヶ月も拘留されている元チェスの世界チャンピオン、ボビー・フィッシャーのアイスランドへの入国及び外国人用のパスポート発給を決めたのである。そして、アイスランドパスポートを持った政府の係官3名が来日。プレス発表してパスポートを在日大使館において帰っていった。
本ブログで、過去に何度か取り上げているのだが、昨年7月、彼は入管法違反容疑で成田空港で拘束された。日本滞在中に、彼の持っていたパスポートが米国政府により失効されたため、パスポートを持っていない米国人ということになったわけだ。もともと、1992年に当時米国が入国禁止にしていたユーゴでチェスのトーナメントに出場し賞金を得ていたため大統領令違反に問われていたのである。しかし、その後、クリントン時代には、まあ大目に見ておこうということだったと推定できるのだが、パスポートの期間延長もおとがめなしに行っている(もしかしたら、うっかり延長したのかもしれないが)。そして、彼は、海外メディアで米国批判をはじめたのだが、その事情は複雑でよく理解できないが、ユダヤ系米国人として、「米国がユダヤ系企業を優遇しすぎている」というような批判であるらしい。そして、9・11の後、テロを「ワンダフル」といったために大統領に狙われることになったらしい。
拘束された時期が、ジェンキンス氏が日本に到着した時期と極めて近いため、「人間バーター」と一部で報道されたのだが、事態は、その後、果てしない法廷闘争に持ち込まれ、日・米の弁護士が登場して長期化しているうちに、既に8ヶ月が経過してしまった。その間には、ある日本人女性が婚姻届を提出(認められないまま)。有名チェスプレーヤーがブッシュ大統領にレター。羽生氏が小泉首相にメール。といった周辺的サポートに加え、国家的助っ人が現れたのである。それがアイスランドである。もともと、フィッシャーが世界チャンピオンになったのは、冷戦下の1972年のアイスランドの首都レイキャビクでの大会である。長い間、ソ連の選手が守っていたタイトルを29歳で獲得した彼は、一躍、米国の英雄になり、米国にチェスブームをもたらし、彼は「伝説のプレーヤー」になる。そしてアイスランドも有名になった。そしてわずが3年後。32歳で突然、謎の引退。
そして、今度は米国が脱税容疑で逮捕状を出したそうだ。犯罪人引渡条約で引き渡すように日本に圧力をかけたわけだ。問題が日本でおきているというのが微妙で、追米外交か自主外交かの「踏絵」になっているわけだ。そして、日本国内ではフィッシャーは有名人とはいえない。そして世論はない。世論を政策決定の隠れ蓑にできないわけだ。
問題を放置したまま先送りにする日本的解決方法も、竹島問題や尖閣列島問題ではうまくいかなくなっているように思えるが、フィッシャー問題は、問題点が「人間」であることからして、さらに先送り困難だ。塀の外側では「人権問題」の声が高まる一方、ついに塀の中でも一悶着が起きていた。3月3日の朝、彼に与えられた朝食のゆで卵をめぐって、トラブルが発生、どうも卵の交換を認められなかったことで一暴れしたらしく、4日間の独房入りになったそうだ。
どう考えても、この件を先送りして解決できないところに近いているのだろうが、またしても「牛肉輸入解禁」とのバーターになりそうな気もしている。輸入解禁ならアイスランド行き、輸入禁止続行なら米国行き。
チェスと将棋はよく似ているが、基本的にはチェスの方が厳しいゲームだ。王様が包囲されて詰まされる状況を将棋では「雪隠詰め」という。雪隠とはトイレの古語であり、囲まれて降参すれば、「もう一丁指しますか」ということになる。しかし、同じ状況の時、チェスでは「窒息詰め」と表現する。これでは、「もう一丁」はできない。