しまなみ海道は未完成だった

2005-03-05 14:15:58 | 市民A
8a986462.jpg昨日も触れたが、名所といわれ、結構ガッカリするのは全国の有名な橋である。長崎めがね橋、高知はりまや橋、そして東京の日本橋がそうだ。しかしちょっと意味の違うスケールでの日本三大ガッカリと言われるのが、本四架橋といわれるものだ。何しろ3本ある。ガッカリを独り占め。ただしガッカリの理由は、将来的な経済的負担問題である。といってもキャッシュフロー的に言えば、建設費はすでに支払われていて、本四公団が借りた金額が返せず、最終的には郵便貯金が目減りするか、税金で負担するかのどちらかになると予想されるからだ。

なぜ三本あるかという一番合理的な説明は、向かい合った各県が我田引水をした結果であるというのが一番わかりやすい。兵庫・徳島(明石=鳴門間)、岡山・香川(児島=坂出間)、広島・愛媛(尾道=今治間)だ。山口県も橋が欲しかっただろうが、残念ながら対岸には県がなかった。実は、前の二本はすでに通ったことがあったのだが、3本目を通る機会を得た。というか通らなければいけなかった。何しろ船便は大幅に減便されたているので、福山駅からバスに乗る。いわゆる「しまなみ海道」だ。少し前に触れたが、今JR西日本がキャンペーンに使っているテーマ曲が「いい日旅立ち」なのだが、山口百恵に代わって、鬼束ちひろが歌っているが、作詞の谷村新司は、「雪解け間近の・・」を「遥かなしまなみ・・」と書き換えてしまったそうだ。西日本向けだ。そう簡単に自分から作詞を書き換えるとも思いにくいが、真相は不明だ。

しまなみ海道にかかる道は単純に「西瀬戸自動車道」と思っていたのだが、現地で知ったのだが、事情は複雑だった。鳴門の橋は明石との間に淡路島があるため、その両側に一個ずつ橋が必要になる。また児島ルートでは、一気に長い橋が必要になるわけだ。ところがこの尾道・今治ルートはその間に島が6つある。本州側から順に、向島・因島・生口島・大三島・伯方島・大島だ。そのため、両サイドの尾道と今治を結ぶと、橋が7本必要となる。そして、すべての橋は完成し、片側2車線(合計4車線)の道路は完成したわけだ。とりわけ来島海峡は大型船の通航も多く、海の難所でもあり、橋も巨大である。

ところが、この西瀬戸自動車道が曲者なのだ。なにしろ3本ある。また問題の3本だ。しかし今度の3本は並列の3本ではなく、直列の3本だ。どうしてこうなったかというと、途中の生口島と大島ではまだ自動車専用道路ができていなく、普通の海岸道路を走ることになる。ということで、全体のうち、2ヶ所が分断されている。さらに言うと、両側の尾道と今治では高速道路にはつながっていない。もう一つさらに言うと、人口の多い、広島市と松山市はどちらもこの橋より数十キロ西側に向かい合っていて、今でも行き交いする場合は船を使っている。橋を使おうとすると「コの字」型に動かねばならず、高くかつ遅い。こういうところからしてイマイチだ。

で、未完成の状況だが、要するに島というのは、おおむね円形で真中が山になっているわけだ。それを繋ごうとすると島の真中の山の上に橋を架けなければならない。さらにインターが山の上なので、住民が生活している海岸線までのアプローチも必要となる。そういう大工事のため、まだ2つの島では工事が終わっていない訳だ。しかし、実際には、島の周回道路にはほとんど信号が無いので、バスはどんどん走っていく。

さらに、考え込むのは、この西瀬戸自動車道路は、片側1車線なのである。というか正確に言うと、将来の4車線道路のうち2車線だけが完成していて、それを対面交通で上下に使っているわけだ。つまり、このしまなみ海道は本州側の普通の道から6本の4車線の橋と3本の2車線の道路と2島の一般道で出来上がっていて、それでも通行車両はほとんどいないのに、未来のオール4車線道路に向って、着実に工事代金という郵便局の貸付金が膨らんでいっている現在進行形物件だったということだ。そして、どれくらい道路が空いているかというと、よく話題になる高齢者の高速道路逆走事件があってもたぶん何事もなく目的地に到着しそうな具合だ。

最後にもう一つ、ムカッとした話がある。実は福山、尾道といった広島県の駅から愛媛の今治駅行きのバスに乗ったのだが、愛媛県の島で下車したわけだ。そして所用をすませ、今治に向おうと、さっきのバス停から乗ろうとしたら、バスの運転手から乗車を断られた。愛媛県内の営業行為になり、広島のバスがお客を乗せると愛媛の業者から訴えられるというのだ。しょうがないので、もっと手前の「広島県所属の島からの料金を払うから」と下手に出たがムダだった。1時間に1本の愛媛のバスを待つこと40分。すっかり冷凍マグロになってしまい、いっぺんに愛媛県が嫌いになった。