不動産投信ファンドは金のガチョウか?

2004-08-26 15:36:29 | MBAの意見
e91ab358.jpg少し前、8月23日の日経新聞夕刊の一面記事として「不動産投信ファンド急増」というのがあった。

残高5000億円となっているそうである。しかし、個人向け国債の発行額が1回で1兆7000億円を超えるというのに比べれば、既存の40本合計で5000億円などいかほどなのだろう。

記事はまったく興味本位の書き方で、高配当につられた個人が買っているような書き方であるが、まったく「勝手にしてくれ」というところである。
また記事自体、ファンド形式の不動産投信ファンドと株式形式の不動産投資信託証券(J-REIT)を段落もつけずに両者混在の記事にしていて、商品知識のない人が読むと誤解するだろう。

「勝手にしてくれ」というのは、もともと、資産を持っている人にとっては、自分で金融商品を見つけ、リスクを背負って投資するのは、まさに自己責任以外のなにものでもなく、日経1面に登場してから新商品に気付くような人は、投資などやめた方がいいからである。

また、不動産投資信託そのものよりも、ファンドの方がリスクが少ないかの書き方になっているが、誰もそれを証明したことはないはずだ。誕生したばかりの金融商品をくらべてリスクやリターンを論ずるのは最初の100メートルでマラソンの勝者を予言するようなものである。かつての変額保険の結末は知っての通りである。

現在の不動産投信の旗艦ビルも多くは何らかの問題(キャッシュフローまたは決算対策)で本来の所有者から移転されたものが多く、収益性だってそれぞれ違うのであるから、一律に4%程度の安定的配当を続けることは無理な場合もあるはずだ。

バブルというほどにもなっていないものを騒ぐという精神構造は、十数年前、ある社会主義国家の国営放送局が、局員の多くが官舎住まいなのをいいことに、土地私有制反対風の特番をテレビ放映してバブル破裂の引き金を引いたという説を思い起こしてしまう。