EUのアウトサイダー

2004-08-17 15:52:59 | 市民A
32806641.jpg報道の瑣末な誤りを指摘して騒ぎ立てる趣味はないが、少し気になる間違いからの連想である。

数日前、五輪の柔道をテレビ観戦していたところ、地元ギリシア選手の紹介の中で、「人口1億人で柔道人口はわずか5000人・・・」とあった。
柔道人口は知る由もないが、総人口1億とは、「あれっ、そんなにいたかな?」ということになる。手元のジェトロの資料集をみると、1050万人。ケタの違いである。
スポーツ担当者に国際感覚が不足しているのだろう。

なぜ、人口が気になったかと言えば、今、欧州で大問題となっている問題がある。ギリシアの宿敵、トルコのEU加盟の是非である。

相対的に安い労働力のトルコは、実質的な関税フリー化になるEU加盟を強烈に希望しているのである。が、EU側は冷たい。
一つの問題は、キプロス問題で対決しているギリシアの反対であるが、もう一つはやはり「トルコは欧州か?」という根源的問題である。さらに人口問題。現在のEU加盟国の中で最大人口はドイツで約8000万人。一方トルコは7000万人であるが、人口増加率が大きく、10数年後にはドイツを追い抜くと予想されている。
また、巨大なイスラム国家であり、髪や目の色が違うことで、欧州各地での移民が差別されているのも実態。
しかし、欧州各国からすれば、トルコは重要な「中東とのバルブ」である(パイプではない)。あまりむげに扱い、イラン、イラク、トルコ同盟ができたら大変なことになる。
政治的には取り込みたいが、社会的には抵抗があるし、経済的にはトルコばかり儲かるようになると困るのである。
また、将来ユーロ導入などになれば、ユーロはEU後発参加国中心の弱い通貨になる可能性もある。
一方、トルコは軍事的にはNATOに属したり、サッカーは欧州選手権に入ったりして、着々と欧州化を狙っている。

欧州側から見た歴史上では、トルコは野蛮な邪教国家である。数々の戦闘だけではなく、海賊が美女を略奪して、スルタンのハレムに売り飛ばす国として悪名が高い。実際、ナポレオン王妃ジョセフィーヌの従姉妹、エメ・ドュブク・ド・リビュリも海賊の手で当時59才のスルタンのハレムに売られてしまったりしていて、フランス人は今でも忘れない。
ついでに、もう一つフランス人が忘れないのは、ジャンヌ・ダルクを火あぶりにしたイギリス人たちのことであるが。(もっとも、海賊はアルジェリア人だったし、ジャンヌ・ダルクを捕まえた後、1万フランでイギリス軍に売り渡したのは、ブルゴーニュ軍なのだが・・・)

トルコ加盟問題の次はロシアである。こちらは日本にも若干の影響がある。