雇用統計(04年7月分)に見る二つの50%

2004-08-19 15:49:26 | MBAの意見
毎月、月初に発表される米国雇用統計はスリリングである。発表日が近づくと相場も細くなっていき、思いがけない数字となればエネルギーが噴き出す。

8月6日がそうであった。エコノミストの事前予測からまったく異なる低い雇用者数の伸びであったため、ビッグサプライズとなった。エコノミスト予想では、非農業部門就業者の増加を24.7万人と推定していたが、実際は3.2万人と大はずれだ。

一方、失業率は5.5%と予測の5.6%より低くなっている。少し矛盾した数字であるが、「よくあること」だそうである。おそらく、母数である労働人口の読みが誤っていたのかもしれない。7月というとハイスクールの卒業生が統計に加わるのであるが、何しろ10代の失業率は17.6%に達している。
統計は多岐にわたるのであるが、その中で新規雇用者の約50%が派遣会社という数字がある。また新規就業者の約50%は時給10ドル以下である。この二つの50%が同じグループかどうかは分らないが、随分なものである。10ドルというのは1100円。日本ではほとんどアルバイトである。年間1800時間働いても年収200万円以下。森永先生の名著(年収350万円で暮らす本)の改訂版が必要である。

これらの数値を見ると、確かに就業者数の増減は、かなり正確に企業業績の限界的指標であるということがわかる。しかし、この低賃金をみれば、米国の繁栄の裏側で所得の二極化が進んでいることもうかがわれる。手元の資料だけでは判らないのだが、いわゆる人口メディアン値の所得が下がっているとも、よくいわれている。

次の(8月統計)発表は9月3日8時30分(金)(東部時間)である。