きわめて奇妙なUFJ事件高裁判断の解釈は

2004-08-16 15:54:55 | 企業抗争
914e8003.jpgいったん東京地裁から交渉差し止めを求められたUFJ-三菱間の統合交渉が逆転し、交渉可能との判断が先週末に下された。一部の新聞社の誤報もあったが、当然ながら最高裁に抗告となった。

高裁判断には極めて不可解な部分も多い。
「住友信託とUFJの信頼関係は破壊され最終合意に向けた協議はすでに不可能」と断定し、UFJ-三菱交渉を優先させた点も、理解できない。「違法であるが元に戻らない」のだから以前の契約は無効である。というのもおかしいし、あえていえば、商法上の判断は裁判所の埒外であるといっているように聞こえる。民法上の損害賠償なら取り扱うということだろうか。

しかし、それでは一般企業は困ることがある。企業間の契約書に携ったことがあればわかるだろうが、ほとんどの契約書には、契約違反の時のことが書いてあり、実害について賠償するというのが多い。また裁判地を決めてある場合もある。裁判所以外にジャッジメントする場所は無いのである。であるから、違反であるが、復元性がないから有効なんていうのはおかしい。これが、工場や建物を既に作ってしまったというならともかく、交渉しているのは人間であるし、まして交渉する気がなくなったのは当事者の片方だけだからである。

本件でもともとの住信とUFJの協定書が日本的なあいまいさがあり不備なのではないかという指摘もあてはまらないと考えられる。ずっと将来に、予期できぬ事態で契約不履行になった場合のためには、こと細かく違反事例を書き連ねる必要もあったかもしれないが、交渉相手を僅か2ヶ月で変えるというのは初めから二枚舌であったというに過ぎない。
最高裁の判断がどうなるか判らないが、このままであるとすると、商法は扱わないということを宣言するようなものである。

別件であるが、A新聞では、高裁判断が示された直後の夕刊に、「住信側は抗告断念」というような記事を書いていたが、そんなことはあり得ないのがなぜわからないのだろうか?経済部の記者も高校野球の応援に出かけてしまって手薄なのだろうか。野球といえばA新聞とB新聞が高校野球で育成したプロ野球選手を使って儲けているC新聞。奇妙な関係である。