ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

マフラーの容量⑦

2006年06月20日 | マフラーの容量

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期待の大きさも感じていますが、まだ本題に近づけません! 

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これは初期のエボエンジンの燃焼室です。矢印の部分がスキッシュエリアというか、ピストンヘッドの山の部分の替わりに設けたと言うべきか、ヘミヘッドの変形?それともバスタブの変形?

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バルブ挟み角はショベルエンジンとほぼ同じ(データがないので実測)ですが、スキッシュエリアとフラットトップのピストンのお陰で大分近代化されました。火炎伝播距離も多少短くなり、スキッシュ効果との相乗効果で燃焼速度が速くなったような排気音に感じられます。

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TCエンジンのヘッド現物はないので想像図になりますけれど、大体コンナ感じだと思います。

バルブはやや立って挟み角が小さくなり、よりコンパクトになって、スキッシュエリアが両サイドが設けられて、縦型スワールの発生さえ期待させてくれます。’06ダイナモデルの排ガスデータを見る限りでは相当に優秀な燃焼室とも言えます(乗り味は別として)。

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TCエンジンでも、スクリーミンイーグルからリリースされているシリンダーヘッドは、排ガス規制を気にしなくてよいのですから、かなりのハイパフォーマンスを狙って設計されています。

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4バルブではないのでペントルーフとはいきませんが、2バルブとしては究極の形かもしれません。

矢印の部分の突起が気になりますが、ピストンヘッドと平行なスキッシュエリアがないのも気になります。

エンジンのレースチューニングでは、高回転でのパワーの邪魔になる量産ヘッドのスキッシュ除去もしばしば行われていますので、この半球型とバスタブ型のハイブリッドのような燃焼室形状は、排ガス規制対策によるリーンな空燃比による燃焼速度の低下や中速トルクの痩せなどは気にしなくて済むということです。

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インレットポートは機械加工されて・・・・。

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エキゾーストポートは更にDポートになっています。バルブガイドも先細りの形状ですね。

このヘッドセットどなたか10万円で買っていただけないでしょうか?勿論税込みで。

あ!売りたくて紹介したわけではありません!

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今の所一番進化した燃焼室です。5バルブもありますけれど複雑なわりにバルブ面積がそれほど大きくならないので、4バルブが一番でしょう。

慣性過給の効果もあるストレートポートは如何にも充填効率が良さそうですし、DOHCならではのセンタープラグも今や当たり前ですが、ハーレーだって伊達にDプラグにしたわけではありません。少しでもセンターに近づけたい努力は買ってやってください。

しかし、排ガス規制と騒音規制をクリアしてリッター150馬力ですから、バイクのエンジンとして4気筒は理に適っています。

続きます。


マフラーの容量⑥

2006年06月19日 | マフラーの容量

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まだまだ本題に近づけませんけれど、今日は燃焼室について考察してみましょう。

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これはショベルヘッドの燃焼室です。径が80mm深さ40mmと半球型(ヘミヘッド)の見本のようですね。

球の体積は 4πr3乗/3 ですから約268になり、その半分として容積は約134ccです。

80cu.inの行程容積は88.8mm×108mmで668.5ccですから、圧縮比は(ピストンがフラットヘッドであると)668.5÷134+1=5.98になってしまい、かなりのローコンプです。

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それでは出力も限られてしまいますので、山形ピストンが使われています。

因みに資料によると’80年以前は8、’81年以降は7.4という圧縮比になっています。

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つまり、半球型燃焼室は充填効率の向上のために大口径バルブを使いたいため、バルブの角度(バルブ挟み角)を大きくしています。それ故燃焼室が大きくなってしまい弊害も生じています。

弊害の一つは、図の赤矢印が示す火炎伝播距離が長くなってしまうので燃焼時間が長くなり、メカニカルオクタン価が低くなってしまいます。それで、

  • ノッキングしやすいので高圧縮比にできない。
  • さほど高くない圧縮比でもハイオクガソリンが必要。
  • 高回転でのパワーを出しにくい。

更に、

  • ピストンの山が邪魔になり有効なスワール(渦流は燃焼スピードの向上にも有効)ができにくい。
  • 同じ理由でバルブオーバーラップ付近でのガス交換の効率が悪い。

と何か悪い事だらけのようですけれど、以前はアメリカン マッスルカーの代名詞のようで、現在もクライスラー300CはHEMIを標榜して人気を博しているようです。ワタシも300Cにはチョッピリときめいています。

現在のように、燃費や排ガスのことに気を使わなくて良かった古きよき時代にはピッタシのHEMIは、最新の大排気量車がヒューンと吹け上がってしまう味気なさに較べ、燃焼時間が長いというだけに大排気量と組み合わされば重厚なフィーリングを醸し出し、今もファンが多いのも頷けます。

ハーレーにおいてもショベルエンジンを愛好する方は、”3拍子”や外観だけでなく、この重厚さに魅了されている事だと思います。

続きます。


シゲちゃん!

2006年06月18日 | CafeRacer

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「小林ゆきさんのブログ」に突然ワタシの名前が出てきてビックリ!

本当にワタシなのかは分かりませんが、思い当たるフシがあるのでバトンを受け取りましょう。

バトンについては良く理解できていないのですが、とりあえず・・・・。

①回してくれた方の印象をどうぞ

ガンバっているな~。(昔から頑張り屋さんだったかな?)(空回りしそうと余計な心配をしてみる。)

②周りから見た自分はどんな子だと思われていますか?5つ述べてください。

1、オジサン

→亡き小野さんを引き合いにだすのは誠に失礼ですが、小野さんを初めてお見かけした時はオジサンに見えたけど、その時の小野さんより今のワタシのほうが歳が上なのは確実。

2、へんなオッサン

→あるウエブサイトの編集者にギャグをトバすと、世界一寒いと言われる。

3、ブロガー

→たまにブログの読者の方が店に訪ねていただき「毎日読んでます」と言われたりと、コメントで褒められたり、感心されて妙に嬉しくなります。あのような内容でブログランキング1位なのは怪挙?

4、やっぱり変なオッサン

→一応ショップの経営者で社長ということになりますが、最近はお客さんの応対は余りしないので、知らないお客さんには「このオッサン誰?」みたいな視線を感じます。

5、?

歳をとることは悲しいことでもあり、素晴らしいことでもあります。悲しいのは体力がなくなることと、素晴らしい人生の残りが少なくなった実感を感じる事。素晴らしいのは、今まで理解できなかったり見えなかった事が、理解できたり見えるような気がすること

③自分の好きな人間性について5つ述べてください。

人の目に見える行動や考え方の多くは、その人が置かれている立場や事情(果ては利害関係によるもの)によるもので、その理由を考えると好き嫌いを言ってられない。と純粋ではないなと反省。
   
1 美しいものを美しいと感じる人→素晴らしい
2 本質まで見極められる人→素晴らしい
3 穏やかな人→? 自分を表現できない人は・・・。
4 暴力を否定する人→暴力は人間の本性とも。しかし現代では他に解決方法をもてない人が・・・。
5 タバコを吸わない人→ワタシは止められない・・・・。

と思いつかないので、小林さんのをイジってみました。

④では反対に嫌いなタイプは?

③と同じで「自分にイヤなことをする人=嫌い」では人の本質をみられないと、大人のフリをしてみる。

  
⑤自分がこうなりたいと思う理想像とかありますか?

いつまでも夢を持っていたい。
 
⑥自分の事を慕ってくれる人に叫んでください。

居るのかな? 夢は持つが幻想は抱かない。

⑦そんな大好きな人にバトンタッチ5名!(一言つき)

シゲちゃん、お父さんやってますか?

ターミー、他にいないので・・・。

迷惑を掛けられないのでこの辺りで。

⑧ タイトルに回す人の名前を入れてびっくりさせて

呼びかけてみました。


ブレーキパッドにご用心

2006年06月17日 | ブレーキ系

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動かすのに重く感じるほどリアブレーキが引き摺っていましたので、パッドを外してみたら斜めに磨耗していました。

パッドは何処のメーカーか分かりませんが、明らかに社外品ですね。

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左の純正品にはアンチスクイークシムなのか、薄い板が付いています。アンチスクイークシムはローターの回転方向に角度をつけるものなので遮熱板というべきか、タダのスペーサーなのか。

左の社外パッドの赤矢印は、ドコカに強く当っていた痕跡があります。

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キャリパーを良く見てみると、赤矢印の部分にヤハリ強く何かが当っていた痕跡があります。

つまり、パッドとキャリパーが部分的に干渉していたのでした。

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パッドが平行に磨耗しなかったのは、左の図のように①が干渉してパッドが斜めになってしまい、次第にそれなりに減ってしまったのでしょう。

パッドが完全に今の形状になる前(パッドが新しい時)は、キャリパーピストンに不均衡な力が掛かり、結果としてはブレーキの戻りが悪くなります。

実は以前からこの車両のパッドが斜めに磨耗していたのは判明していたので、干渉していた部分を研磨して応急処置をほどこしたのですが、コレが更にまずい結果を招いてしまいました。

つまり、右の図のようになってしまい左の図と逆になりますが、結果は同じブレーキの引き摺りです。

パッドのバックプレートの形状は純正品も社外品もほぼ同形状ですから、純正品のアンチスクイークシムのような黒い板は”スペーサーとしてなくてはならないもの”でした。

ワタシは昔からオイルフィルターは純正派で、社外品は決して使いません。ブレーキパッドは社外メーカーの方が性能が良いものも中にはありますけれど、実績(自身において)のないものを使う場合は、カナリの注意が必要です。


マフラーの容量⑤

2006年06月16日 | マフラーの容量

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タイトルからは大分かけ離れた内容になってきましたが、この際エンジンの奥深いところまで訪ねてみましょう。

S61 クリックすると拡大します。

図のエンジンのバルブタイミングはエボエンジンに近いモデルと考えてください。6000rpmくらいまでは可能ですが、図では3600rpm付近と仮定します。

前項のエンジンのバルブタイミングはピストンの動きに連れたものですから、この図の①にあるようにバルブのオーバーラップ(両方が開いている)は有りませんでした。

*吸入行程

  • オーバーラップが有ると吸気上死点で、既に新しいガスの導入が見られます。
  • 上死点を過ぎてから排気バルブが閉じます。
  • 下死点を過ぎたのでピストンは上昇に転じますが、新ガスの勢いが残っているので、まだ吸気バルブは開いていてバルブが閉じるまで吸気が行われます。
  • 3600rpm付近が最大トルクが発生する回転域なのは、新ガスの充填効率が最大になるので仕事が一番大きくなるということです。

*圧縮行程

  • 吸気バルブが閉じて吸入したガスが圧縮されます。
  • 圧縮比(行程容積/燃焼室容積+1)は高ければ高いほどパワーが大きくなりますけれど、ノッキングの問題と運転温度(耐久性も含む)や乗りやすさ、それに最近では排ガス規制などの理由でエボエンジンは8.5となっています。

*点火

  • 点火時期は回転数、燃焼スピード、火炎伝播距離によって異なります。
  • 3600rpmでは60回転/秒です。
  • 1回転は1/60秒。
  • クランク角1度は1/360×60で1/21600秒ですから、0.000046秒です。
  • 燃焼スピードを仮に30m/sとし、火炎伝播距離を40mmとすると、40mm/30000mmで所要時間は0.0013秒です。
  • 燃焼時間をクランク角に換算すると、0.0013/0.000046で28.26度になります。
  • つまり上死点前20度において点火が行われると、上死点後8度で燃焼が完了ということです。
  • 回転数が高いほどクランク角速度が速くなるので、点火時期が早くなる。
  • 燃焼スピードが速ければ点火時期は遅くなり、その反対は早くなります。
  • 燃焼スピードは空燃比によっても変化します。

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ここまではどうでしょうか?続きます。


オイルシールも?

2006年06月15日 | プライマリードライブ

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ココはプライマリードライブをソックリ外した、トランスミッションのメインシャフト付近です。

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大きいオイルシールの品番末尾がBになっています。末尾アルファベット無し,A,に続きBですから3代目の部品ということになります。

逆向きも?

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矢印が付いた方が新しいオイルシールですが、ラビリンス様(ヨウ)のオイルガイドが追加されています。

シャフトの回転は緑矢印の方向ですから、通常は赤矢印の向きのガイドでオイルをシールの内側に導くのですが、良く見ると青矢印の部分は逆向きになっています。

これは何故?

推測すると、シャフト側の当り面が磨耗するから?

シャフト側のシール当り面は普通は光っている程度ですが、マイレージが大きく進んでいる場合では磨耗していることがあります。ゴムで鉄を削ることは信じられませんけれど、長年掛かると水滴が石をへこましてしまいますから、ソレもありなのでしょう。

そう考えると、内側と外側のシールリップの間のオイル量をコントロールして、シャフト側の磨耗を防ぐのでしょうか。

今までには他に例を見ないモノです。

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これはフライホイールの左側シャフトのスペーサーですが、矢印のシール当り面が爪が引っ掛かるほどに磨耗しています。

ココのオイルシールは熱で硬化することも多いのですが、オイル洩れが生じてもプライマリーハウジング内の”内出血”なので気付かれにくいですね。

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メインシャフトのプライマリーハウジング側シールです。

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プライマリーハウジングは内圧がさほど上がるわけではないので、オイル洩れの対策というより、外側のダストシール能力が強化してあります。

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これはスタータージャックシャフトのシールです。

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これもダストシール能力がアップしています。

この辺りはエボもTCも共通な部分が多く、代替部品の恩恵に授かれます。ガスケットの記事ではメタルガスケットは必ずしもレトロフィットが歓迎できるものではないと書きましたが、オイルシールの改良は大歓迎です。

ハーレーダビッドソンは日本製のバイクと違い、プライマリードライブとかトランスミッションが別体になって、それぞれがガスケットやオイルシールにより密封される構造になっています。それ故オイル洩れの可能性が高いので、その部分に関して評価が悪かったのですが、こうした努力の姿を見ると決して手をこまねいている訳ではないようです。


マフラーの容量④

2006年06月14日 | マフラーの容量

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今では,地球温暖化の原因とされる炭酸ガスの発生源として矢面に立たされる自動車用エンジンの燃料たるガソリンに、エタノールが混合される方針がとうとう日本でも環境省より発表になっています。

砂糖きびを原料にエタノールを生産して使用する試みは、宮古島において既に始まっています。

京都議定書における炭酸ガスの削減目標を達成させる方策だけでなく、原油価格の急上昇も後押しになっているのでしょう。

最近の日本の悪天候も温暖化の影響とも言われますが、日本では温暖化を余り危機と感じている風には見えません。日本のまわりは海ですから、海水温度が上昇すると発生水蒸気によってできる雨雲は増え、降水量も当然増えます。

「温暖化」の言葉から受けるイメージがどうも優しすぎます。

日本のほとんどが冬は寒い季節ですから、「温暖化」を心の底では歓迎しているのではないかとさえ疑ってしまいます。

その悪者になりつつあるエンジンは、勿論生活の基にもなっていますが、趣味の対象となっているばかりか、バイクに搭載されると人生の良き伴侶となる事もあります。

バイクに搭載されたエンジンは、「加速のフィーリングがもたらす快感」が乗る人を特に魅了いたしますが、これは幅広い回転域で性能を発揮できる事にほかなりません。

これは先人たちが永きに渡り性能の向上に勤しんでくれたお陰ですが、進化を遂げた過程の中には吸排気の解明と発明があるのは間違いありません。

S31_6

この図はバルブタイミングがピストンの上下運動に同期していると仮定したものです。

つまり、オーバーラップがゼロです。

  • ②の図では吸入行程が始まってからインテークバルブが開き
  • ③の図では下死点でバルブは閉じ
  • ④は圧縮
  • ⑤で点火
  • ⑦の下死点を過ぎてから排気行程になります。

黎明期のエンジンではインテークバルブが吸入負圧で開くものも多くあり、図のようなOHVでは無いにしろ、コレに近い状況であったのでしょう。

先ずこのエンジンでは何がマズイかというと、⑨の図が示すように燃焼室には燃焼済みガスが残ってしまいます。これが邪魔になり、新気の吸入があっても容積効率は大きく落ちてしまい、燃焼済みガスは次の燃焼の阻害にもなります。

この項目の構想はできたのですが、図の制作に時間が掛かり今日はコレまでです。

続きます。


オーバーヒートにご用心

2006年06月13日 | エンジン

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マフラーの記事がまとまらないので”ご用心シリーズ”第2弾です。

一般的にはオーバーヒートに関しては様々な記述や解説がありますが、ココでは余り出回っていない事例を紹介しましょう。

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エボエンジンではシリンダーベースガスケットの”寿命”があり、ある程度の条件で必ずオイル洩れを発生します。この写真でもガスケットが硬化して、用を為さない様子は窺えると思います。

赤矢印に注目していただくと、ピストンリングが強く当った痕跡が見えます。隣の白っぽい部分はガス抜けの痕跡と思われます。

この事例ではオイル洩れの修理ですから、ベースガスケットを張り替えればサクサクと終了の筈でしたが、シリンダーを抜く事により「ピストンリングの当り」が変ってしまい、さほど調子が悪くなかったエンジンが修理後にはトテモ調子が悪くなってしまったのです。

シリンダーをボーリングしてオーバーサイズのピストンに入れ替える事により、勿論蘇ったので、原因はシリンダーのガス抜けであったのは明白です。

蘇ったのはオイル洩れ修理前ではなく、「新車に近い状態」というのを付け加えておきましょう。

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貫通スタッドボルトによるシリンダーの変形は常識になっており、ボーリング加工をする場合には写真のようなトルクプレートを必ず使い、エンジンに組み込まれたのと同じ状態にして行います。

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シリンダーの変形としては、シリンダーヘッドを介して矢印のような圧力が掛かると、書き加えた赤線のようになる事も考えられます。

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ところが一番上の写真の状況では、この図のような変形ですね。小さい丸はスタッドボルトの貫通穴です。

トルクプレートを使っても、シリンダーの変形が影響するのは完全に防げないのは、メーカーも承知しているようで、

”シリンダーには、スタッド穴の近くにボア上下方向全体にわたって4箇所にかすかな光沢がみられる。これらの光沢は、通常はその幅が9.525mmで、エンジンの累積運転時間が多くなると現れる。これは正常な現象である。”とマニュアルに記載されています。

ムムッ!程度にもよるけど、ホントウに正常?

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手元にあるシリンダーはTC88のモノですが、20℃での長さを測ってみました。

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100℃程度に加熱して測った見ると、熱膨張による差は0.5mmです。

たかが0.5mmですが、ヘッドボルトのピッチは16山のネジですから約1.5mm。

1.5mmに対して0.5mmは3分の1回転にあたります。

ヘッドボルトの指定締結トルクは16~19Nmで締めてから1/4回転更に締めます。

それからみると100℃の1/3回転分のシリンダーの伸びはかなり大きいと思われます。鉄製のボルトの熱膨張も考慮しなくてはなりませんけれど、オーバーヒート時のシリンダーは100℃よりもっと高いでしょう。

結論

シリンダーの熱膨張が想定外に大きくなると、ヘッドボルトのオーバートルクや、トルクプレートを使わないボーリング加工による結果と同じようになり、シリンダーのガス抜けを招く可能性があります。

簡単な実験による検証ですから、深刻になられても困ります。ただ、オーバーヒートをあまり楽観的に見ても深刻な事態に発展することもありますので、これからの季節は注意していただきたいものです。

シリンダーの変形によるガス抜けが生じると、場合によってはクランケース内に高温のガスが入り込むので、より事態がヒドクなることもありえます。

TCエンジンのシリンダーは剛性が高いのですが、特に薄いガスを燃やしている’06モデルのダイナは要注意ですね。


プーリーにご用心

2006年06月12日 | ドライブ系

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”マフラーの容量”の続きにご期待の方も多くいらっしゃると思いますが、正直言って苦しんでいます。どこまで掘り下げたら分かりやすい記事になるか、下書きまでしているのですが、中々見えてきませんね。

という訳で、今日はピンチヒッターの登場です。

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ベルトのテンションの必要は12月1日の記事に書いてありますが、この車両はベルトのテンションがその都度変ってしまいます。

そこでアチコチ確認していたら、矢印のドライブプーリーに気が付きました。この写真はストロボを使ったので良く撮れていますが、普通の目視ではコンナに良くみる事はできません。

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プライマリーハウジングを外してみると、見事に減っています。

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赤矢印の示すミッションケースにはベルトに擦られた痕跡があります。

ベルトがプーリーの外側に寄って、磨耗している部分に乗っていると・・・・。

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テンションゲージで押すとカナリ緩くなっています。

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ベルトをプーリーの内側に寄せると・・・・。

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同じテンション掛けても、こんなに張ってしまいます。

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青矢印は磨耗していない部分、赤矢印は磨耗している部分、緑矢印は回転方向の裏側になりますから磨耗していませんね。

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ベルトもこの通り磨耗しています。

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磨耗したベルトをプーリーに嵌めてみると、矢印のように隙間ができてしまいます。

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未使用に近いモノですが、矢印のように隙間はありません。

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左が磨耗したプーリーで、矢印のように鉄ハブが鋳込まれたアルミ製なんですね。右は純正の鉄製のプーリーです。

アルミープーリーは33TでタブンBDL社の製品です。純正プーリーは32Tですから、これは初代オーナー?がファイナル減速比を高速に振るために交換したものと思われます。

最初の発見で磨耗を認めたときに、鉄製と思い込んでしましたから、こんなに磨耗する原因を考え始めてパニックになるところでした。ゴムのベルトで鉄がこんなに減る筈がありませんから。

アルミ製のドライブプーリーをご使用の方はお気を付けてください。

T関連でつまらない話をひとつ。

よくT字路は丁字路(テイジロ)が本当だと言いますが、それではスプロケットなどの歯数を32チョウという方がいます。32チョウは32丁の事だと思います。

これは正しいのか?

丁は「丁か半か」という使い方をするように、偶数の意味合いがあります。そうなると32丁は良いが33丁には具合が悪くなります。これはTOOTHのTが正しいのではないでしょうか。

十字路は英語ではcrossroadsで良いと思いますが、丁字路は何というのでしょうか?教えていただくと疑問が一つなくなります。

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もう一つ老婆心で・・・・。

目の前にあるハーレーのドライブプーリーを覗きまくっていたら、一つ新たな発見をいたしました。

’04モデルのスポーツスターのプーリーが見た印象ではアルミ製と思われます。

いまのところ確認までする気はありませんが、ご存知の方がいらっしゃたらコレも教えてください。


インチネジ

2006年06月11日 | ネジ

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HDN掲示板の”語ショベ”で、IGコイルのターミナルのナットについて質問があり、解決はしたようですが、ワタシはチョット気になったのでブログネタにして検証してみました。

写真のように両方のナットは問題なくねじ込む事はできますが、M5のほうはチョット緩い感じがします。

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ところが両方のナットを写真のようにキャップスクリューにネジ込んでみると、M5ナットは勿論問題なく入りますが、純正ナットのほうは一山入るだけで、それ以上はダメですね。明らかにネジ山は違います。

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コイルの雄ネジをピッチゲージで測ってみると、32山が一致します。

誠に現代のインターネットは便利で、検索したら「ユニファイ(インチネジ)とメートル並目ネジとの比較表」が見つかりました。

これによるとコイルのターミナルスクリューはNo,10の細目(ファインスレッド)と分かります。

ここにはナント「M5のナットが入る」と書いてあるではないですか!

ボルトサイズを表現するのに、径を分数で表すのは1/4までで、それ以下は番手で表すというのも勉強になりますね。

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オイルプレッシャースイッチのターミナルも同じです。

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純正ナットはMADE IN TAIWANの表記がありますが、1個50円です。

不思議というか当たり前と言うべきか、大抵のコイルを買ってもこのナットは付属していません。ですから、コイルを交換してもナットは使いまわしということになり、余るという事態にはなりにくいようです。

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工具サイズはM5が8mm、純正ナットが3/8です。

結論で言うと、No,10細目にM5のナットを使うのは、緊急時やトルクが掛からないトコロに使うのは間違いではないが、強く締めたりすると雄ネジを痛める心配があります。特にコイルのターミナルスクリューはブラス製なので注意が必要です。