ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

マフラーの容量③

2006年06月10日 | マフラーの容量

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相反する要求?

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それでは、何故大きいマフラーが必要とされるか、違う観点から考えてみましょう。

二輪車の騒音規制は、1971年から加速走行騒音と定常走行騒音について規制値が定められ、1986年からは近接排気騒音についても規制値が定められています。

●加速走行騒音

一定速度からフル加速した場合の側面の騒音で、市街地を走行する際に発生する最大の騒音。小型二輪は50km/hからフル加速して10m走った地点で、車両から7.5m離れたところでの音を測定する。 

●定常走行騒音

一定速度で走行している二輪車の側面の騒音。小型二輪は50km/hで走行中に7.5m離れた場所での音を測定する。

●近接排気騒音

停車時にエンジン、排気管から発生する騒音。最高出力時の回転数の75%(最高出力時の回転数が5000回転以上の場合は50%)の回転数で、排気流方向から45度、排気管から0.5m離れた場所の音を測定。

○近接排気騒音測定法が採用された理由は、ドコでもイツでも測れるからで、騒音計とメジャーがあれば絶対値が大きいだけに(暗騒音の影響が少ない)、測定回転数が分かっていれば特別な場所は不要です。

*暗騒音:測定対象以外の環境騒音、一定なら補正できるが変化すると補正できない。

加速と定常走行はタイヤノイズも一緒に測ってしまうため、正確に測定するにはISO路面と静かで広い場所が必要になるし、雨もダメなどなど、非常に日常的ではありません。

こういった理由で近接排気騒音測定方法が定められ、継続車検でも最近行われているのはコレですね。

スグに測定できない加速・定常走行騒音は新車規制といわれ、一旦登録された車両は近接排気騒音のみで規制されています。

車両メーカーが出荷する時には、全部の規制をクリアするマフラーを装備しなくてはならないのは当然です。

1リッタークラスのハイパフォーマンスバイクは最高出力を10000rpm前後で発生するので、測定回転数も5000rpm前後と高い。

負荷が掛かる加速状態では発生音量が大きくなる。

*何度も書くようにマフラーの音は燃焼済みガスが膨張した時に発生するのですから、ガスのボリュームに応じて音量は大きくなります。燃焼ガスのボリュームコントロールはスロットルバルブによって行われますので、負荷の掛かり具合によって異なりますが、アクセルを捻るほど大きな音になるのは皆様経験済みですね。

それに付け加えて高回転の常用が考えられ使用状況はハーレーと随分違い、パフォーマンスも向上しなければならないので、マフラーはどんどんデカクなるのですね。

静かさとハイパフォーマンスの相反する性能が高いレベルで要求されます。

ライダースクラブ タケタヅ氏のブログ(6月6日の記事)ではイギリスのライダーはパフォーマンスの要求の高さに限度がないそうです。

同じブログのシートカウル上部から排出するドゥカティ(6月2日デスモセディチRR)のレポートを読んでみると、マフラーの将来が見えてくるようです。916がデビューしたときには重心が高くなると心配しましたが、それが進化して、まるでスティルス機のようです。

ハーレーでは伝統を何時までも守りそうですけど。


シリンダーフィン

2006年06月09日 | ピストン、シリンダー

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マフラーの記事にはたくさんのご期待をいただきました。ちょっとプレッシャーを感じています。

今日は重圧?から一休みです。

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最近は現行モデルへの縁がないので、今更という感じですが新しい発見です。

これは’04モデルの883です。シリンダーが妙に大きいのに気が付きました。

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これは’03年までのシリンダーですが、フィンが短い!寸法の差以上に小さく見えます。

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周知の事実ですが、883のライナーはこのように分厚いので、ボーリングでボアを広げれば1200にできます。

これだけ厚いと、貫通スタッドによるシリンダーの変形の問題は気にしないで済みますね。

しかし重い!

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TC88のシリンダーは形状の違いにより883より寸法的には小さいのですが、フィン自体は長くなっています。

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この比較はさほど意味がありませんが、シリンダーを前後方向から見た比較です。

TCのシリンダーも結構ビッグフィンですね。

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TCエンジンではベースガスケットを使わないでOリングになっています。

赤矢印ではオイル戻り穴をクランクケース側にOリング溝を設けています。

*ゴク初期のTCエンジンでは、後シリンダーのOリング溝の加工が良くなくて、Oリングが切れてしまいオイル洩れを生じた事があります。

ベースガスケットを何故廃止したかというと、オイル漏れ対策というよりシリンダーの熱を”クランクケースに逃がす”という意味合いのようです。

このように近年のモデルは、空冷エンジンでも何とか生き残る方策がアチコチに見られます。

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これはジッパーズ マグナム117 コンプリートエンジンです。

矢印はシリンダーの固定ボルトです。貫通スタッドでないのが分かります。

ですからこのシリンダーは鋳鉄!それでもフィンの大きさはこんなモノ。

量産車はある意味レースエンジンより苛酷な条件で使われます。

排ガス規制に対応する希薄燃焼はエンジン温度の上昇をもたらしますので、設計時点での充分な考慮がなされないとメーカーの存続問題にまで発展してしまいます。

ジッパーズのエンジン誰か買いませんか?


マフラーの容量②

2006年06月08日 | マフラーの容量

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燃焼室から排出された高温高圧の燃焼済みガスを”消音”するためには、段階的に膨張させます。写真上のカットモデルは2002年頃のハーレー純正マフラーです。6段階くらいの膨張ですね。

下の図は弊社でリリースしているECCTOSマフラーの基本構造です。

エボエンジンからTCエンジンにモデルチェンジした背景は、定期スケジュール的な感もありますが、これとて時代の変化に適合させるもの。

地球環境の悪化が叫ばれている今、建設機械にも排ガス規制が行われます。ハーレーダビッドソンが世界市場を睨んで商品開発を進めれば、社会環境を気にせざるをえません。戦略構想の中には空冷エンジンは欠かせませんから、TCエンジンにおいては一見パワーアップも見え隠れしましたが、昨今の状況を見ると高次元での排ガス規制対策が盛り込まれていたのは間違いありません。

ユーロ3や平成18年規制の厳しい数値を見る限りでは、ワタシは空冷エンジンではクリアすることは不可能だとも思っていましたが、モトグッチなども少なくともユーロ3はクリアしたようです。

ハーレーでもダイナシリーズは全部インジェクションモデルになり、きっとユーロ3をクリアしたのでしょう。

話が逸れましたが、ハーレー純正マフラーの構造では出力の向上には寄与できません。

エボエンジンとTCエンジンの最高出力は発表されていませんけれど、ある資料によると1999年のソフィテルと2001年のFLTでは全く同じと言ってイイほどの82ft-lbs/3500rpmと3600rpmです。せいぜい50馬力ですね。

これはケナシテいるのではなく、「乗って得られる楽しみ」は数値とあまり関係ないという見本みたいなものです。

ハーレーのマフラーは小さ過ぎ?

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次に見本として引っ張り出したのは、写真上がカワサキの4気筒1200で下がハーレービッグツインです。

写真はありませんが、最新のカワサキZZR1400は写真のより大きなマフラーが左右に2本ありますし、ヤマハのウォーリアは巨大なマフラーです。

カワサキは4気筒ですから1気筒あたりは300ccで、ハーレーは720ccくらいですから、本来ならサイズが逆転しなければなりません。

ハーレーの場合は2本のマフラーを連結管でつないで、ほぼ2本を有効に使っていますが、ヤマハのSRでさえコレより大きかったですね。

ハーレーの中でもFLTシリーズのマフラーが一番条件が良くなっています。左右に振り分けたお陰で容量が一番大きなものが使え、音量を絞っても性能の低下が少ないでしょう。

ココで何が問題かというと、最近は某マフラーメーカーが独立パイプをリリースして、歯切れの良いサウンドを謳っていますが、100dbも大きい音を出しても良いのでしたら単気筒が2個みたいなサウンドが楽しめますが、音を抑えようと静かなサイレンサーと組み合わせると最悪です。出口が実質半分になってしまうので”抜け”が悪くなり、燃焼室の残留ガスが多くなってしまい、その影響でIGプラグがすぐにカブってしまいます。

それでは何故マフラーの容量が小さいと具合が悪いのでしょうか?

13/4インチ(45mm)のドラッグパイプにバッフルを入れて、音を絞ろうとした事がある方は分かるかもしれません。

これは極端な例ですが、膨張室がほとんど無いのに無理やり音を絞ろうとすると、抜けを押さえるしかないのです。通過する穴を小さくして出てくるガスのボリュームを制限しないと、音は押さえられなくなってきます。それほど音量を押さえなくても、音質は如何にも苦しそうです。排気管の中は圧力が高いまま推移するので、当然燃焼室には残留ガスが多くなります。

マフラー内部に相当な大きい膨張室を備える事ができれば、段々と圧力を下げれば良いので、そういった弊害を生じないで、最近では300馬力のクルマも市販されるようになり、騒音規制もクリアできますね。クラウンとかセルシオとかはフル加速しても「シュー」としか聞こえません。

大きい容量のマフラーを設置できるスペースのないバイクでは、性能と外観に折り合いを付ける必要があります。

暫らくまえに聞いた話で、「スグ交換されてしまうと思うと、マフラーの設計はやるせない」と某国産メーカーの開発技術者の弁ですが、国産ビッグネイキッド全盛時には確かにマフラーを交換するのが掟のようでした。まあ、ハーレーも同じような(更に?)事情でしたけれど。

続きます。


マフラーの容量

2006年06月07日 | マフラーの容量

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マフラーの容量と言う掲示板の記事を読んでいたら、2003年のJAIさんの書き込みもある記事がリンクしてありました。

あの頃は熱かったんですね!(笑)

思えばワタシもブログランキングの順位をキープするために?毎日重箱の隅を突付く記事を書いていますが、段々と当たり障りの無いような記事になっている気がします。

掲示板に投稿しても良いのですが、折角のブログネタですし・・・・・。

ここでチャレンジをしてみましょうか!墓穴を掘りそうな気もしますが・・・。

マフラーの容量?

それは大きければ大きいに越した事はありません。

マフラーの役目は今や消音だけでなく、環境保全のために有害物質の排出防止も担っています。

それでは消音はどういう風にされているのでしょうか?

エンジンの燃焼室で燃焼されたガスは高温・高圧です。これをイキナリ大気に放出すると、一気に膨張して大きな爆音がいたします。一番最初に騒音規制が始まったのはヤハリこの爆音を轟かせた輩が多数居たからなんですね。ワタシが目撃したのも4気筒のエキパイだけで走っていたのがいましたから。

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話が飛びますが、初期の4サイクルGPレーサーなどはメガフォンマフラーでした。流体の抵抗が少ないのはこのようなテーパー状のパイプです。ピークパワーの追求にはこれが一番効率が良いのでは?

最近のモトGPなどではエキパイもテーパー形状をしているとも聞きます。(コストはバカ高い?)しかしこれでは消音効果は全くなく、むしろエキパイだけよりも大きな音になるでしょうね。

リバースコーンが付くと音も割れないで、その反射波?のお陰で中速も改善されます。ワタシの最初の”シングルレーサー”はこれを手造りしました。リバース部分の大きさが1mm単位の変更で色々変ります。

ボアスルーサイレンサーは4気筒エンジンには広く使われ、近接騒音99db規制にはこれでも対応できます。サイレンサーの長さや径、内部のパンチングの穴の数や大きさを変えることにより様々な設定が可能で、今や騒音規制のあるロードレースでも使われているように、パワーの点でも問題はありません。

パンチング部分で高音を吸収するため低音が出やすく、外観が違ってもハーレーにも同じような構造のものも数多くあります。アイドリングで静かでも、フカスと極端に音が大きくなるのは内径が大きすぎるためですね。ビッグツインは4気筒と違ってピストン径(ボア)が大きいので、特にそういう現象になります。

スーパートラップはボアスルーサイレンサーの後部にディッシュ形状の板を重ね、隙間から排気して消音させる構造ですが、4インチ以上でないと明らかにハーレーでは役不足です。

4インチでも汎用を使った短いものではボアスルー部で消音しきらないので、音を小さくさせようとするとディッシュを減らさなくてはならず、4枚以下では詰まってしまって走れません。

エボビッグツインでは最高出力回転数が5000rpmなので、測定回転数がその75%という規定ですから3750rpmになり99dbでも厳しいですね。

続きます。


ダイアフラムスプリング クラッチ③

2006年06月07日 | クラッチ

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’04’05のデュアルディスクモデルのリコール情報がUS05 1200Rさんのブログに掲載されています。暫らく前からトラブルが多発していたわりには対応に時間が掛かりましたね。軽い症状では大した事はありませんが、中には急に抜けてしまう事もあるようで、事故が起きる前に対処したいものです。

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これは’83年のFLのクラッチです。ご覧のようにコイルスプリングなので矢印のアジャストナットで、スプリングのセット圧を変えることができます。(その代わりプレッシャープレートに掛かる反発力を均一にするのが厄介)

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クラッチレバーの操作力はダイアフラムのように<奥まで握って保持>でも軽くなりません。

その代わり自然なタッチは今でも好む方が多く、ダイアフラムの操作力の観点では理想的な特性は、クラッチをミートさせる時の独特なフィーリングを生じさせ嫌う方もいるようです。

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これは’98年以降のクラッチです。ダイアフラムを固定するリテーナーリングが’90年からスナップリングになってから、スクリューによる固定に復活です。これなら特別なSSTは不要ですね。

矢印は00と刻印してありますが穿った見方をすると、パーツリストにも記載はないのですが、セット高違いのモノも考えられていたのかもしれません。

でも、そうするとフリクションプレートが半永久的に使用可能になってしまうかも。

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チョットばらしてみました。矢印のスクリューはM6です!工具サイズも10mm。

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間が抜けていますが、歴代のフリクションプレートを並べてみました。

それにしても、’84~’89のが幅が狭い。

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スクリーミン イーグルのラベルが付いています。6枚で1セットです。注文する時には気をつけないと「6枚なので注文数を6」とすると6枚でなく6セット来てしまいます。

スクリーミン イーグルというブランドはマフラーとかハイパフォーマンスパーツのイメージがあり、アイテム数も膨大ですけれど、以前は2軍的?要素があり、古い純正部品の市場性があるものを売っていました。

’84年からクラッチは大幅に近代化されたのですが、フリクションプレートが6枚しかなく、しかも幅が狭いときているので、以前は「滑り」に苦労したことがありました。

メーカーも容量不足には対処して、’90年からは8枚に増やされ、更に’98年からは9枚になりました。その度にハブやシェルも変更になっています。


ガスケット②

2006年06月06日 | エンジン

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さる掲示板での質問がこちらに回ってきましたので、ガスケットについてもう一度考察したいと思います。

この掲示板には最新情報も頂いていますが、ココではシリンダーヘッドとロッカーカバーの間のガスケットについて考えてみます。

ペーパーガスケットの寿命

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前述しているように、数年前から各部のガスケットがメタル化しています。

16800-84という品番は'84年に遡って使用できる慣例?ですね。因みに価格は1枚1680円。

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写真上の16779-84Dは、16778-84B(写真には無い)と組み合わさって使用されるペーパーガスケットです。

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古い使用済みガスケットはその都度捨ててしまうので、見本はオイルポンプのガスケットです。

数字の矢印は条件の異なる場所で、それぞれの厚さを測ってみました。

これは’83年モデルのガスケットですから、タブン20数年経っていることになります。パリパリに脆くなっていますね。これは明らかに寿命が尽きています

ガスケットが縮む?

Img_0213

①の場所で21/100mm前後です。

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②は23/100mmです。

Img_0215

③は締結圧力を受けていない部分(未使用と同じ)で28/100mmです。

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図にしてみるとコンナ状況なのではないでしょうか?の部分がガスケットです。

分かりやすいように誇張してありますが、ボルトの締結力により①の付近に一番大きな圧力が掛かりガスケットは座屈して薄くなっています。

の部分は金属の部品としてありますが、ガスケットが薄くなる分変形します。

①と②の差は2/100mmですが明らかに差があります。

つまりペーパーガスケットは締結力の条件の違いにより、沈み量が異なってしまいます。

③-①で7/100mmですからこのガスケットは最大25%の沈み量です。

しかし逆の見方をすると、沈み量の範囲内でキズや変形に対応できる可能性があるということです。

メタルガスケットでは?

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メタルガスケットの厚さは38/100と元々薄く。

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ペーパーガスケットは44/100mmです。更に赤いシリコン系?の物体で補強してあります。

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メタルガスケットは矢印のようにステップ加工がしてありますが・・・・。

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こんな状況ではないでしょうか?

元々薄く、座屈は最小限(10%以下?)なので、①の部品の変形はほとんどないのですが、中央部の圧力は小さくなり、オイル洩れの可能性が出てきます。

更に①②の当り面にキズなどがあると対応できません。

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これはダービーカバーのメタルガスケットですが、オレンジ色の物体で補強してあります。S28_2

つまり補強材が潰れる事により、締結圧力を均一にしようという解決策ですね。

実はワタシにもこの件ではニガイ経験がありまして、メタルガスケット化する前の早いモノでは、数年でオイル洩れが発生するのが周知の事実で、ペーパーガスケットの宿命と諦めていたのですが、メタルガスケットの出現を喜び勇んで使用したところ見事裏切られました。

ペーパーガスケット使用でのリペアでは再修理という事はなかったし、上記の失敗でもペーパーガスケットの使用で何ということはありませんでした。レトロフィットも良し悪しですね。

メーカーがリリースする部品は相当のテストも重ねている筈ですけれど、それも最近はアマリ当てにできません。一番信用できるのは自分の経験に重ねた総合判断です。ワタシの記事はほとんどワタシ自身の経験に基づいていますが状況が同じとは限りません

*hiroさんのトラブルは年式が’04ですし、US05 1200Rさんの情報が該当するのか、メタルガスケットが悪いのか、今現在では情報不足で分かりませんが、少なくともメタルガスケットのレトロフィットは慎重にされたほうが無難です。


ダイアフラムスプリング クラッチ②

2006年06月05日 | クラッチ

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リベラ製クラッチもハーレーダビッドソン純正クラッチも構造的にはホボ同じです。各部の名称はハーレーダビッドソンに準じています。

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正常な働きではコンナ感じで、クラッチレバーを握らない時は左の図のように、ダイアフラムスプリングのテンションで、フリクションプレートとスチールプレートにプレッシャープレートの圧力が掛かり、動力をシェルからハブに伝えます。

クラッチレバーを握るとプッシュロッドが赤矢印のように動き、プレッシャープレートを浮かす動きになり、ダイアフラムスプリングを変形させて、プレッシャープレートに掛かる圧力を取り除いて”クラッチが切れる”状態になります。

尚、書き込まれている数値は’84年のマニュアルのモノです。

それでは何故ダイアフラムスプリングクラッチでは、クラッレバーを保持する状態では反発力が弱くなるのでしょう。

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これは以前は一斗缶(知ってますか?)などの開口部の蓋に良く使われていたものです。

赤矢印を押すと”ペコッ”と音がして開く、あの蓋です。

中央が盛り上がっていて、コレがへこむと下の溝が開きますね。

クラッチのダイアフラムもコレと同じ原理と言えるでしょう。まるきり同じだと、クラッチを切ったまま戻らず困りますけど。

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フリクションプレートが磨耗して図に示すセット高が大きくなってしまいますと、”ペコッの原理”が使えなくなりクラッチレバーの反発力が軽くならない場合が生じます。

’89年までのハーレーダビッドソンのクラッチは、ダイアフラムを押さえている部品の名称がアジャストプレートになっているように、取り付けボルトの穴がABCと3箇所選べるようになっていて、セット高を調整できるようになっています。

タブンこの設定は、プレッシャープレート圧が最大で、”ペコッの原理”が使えるオイシイ「セット高」なのでしょう。

リベラ製ではシムでの調整になっています。

続く。


ダイアフラムスプリング クラッチ

2006年06月04日 | クラッチ

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これはリベラ製のプロクラッチです。プリモ社のベルトドライブと共に幅広いモデル適合性も相まって、その能力は高い評価を得ています。

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写真はこの2つですが、この他にゴールドのコンペテイション オンリーのベリー ストロング ハンデッドのものも用意されています。

ブラックが一番柔らかく、シルバーはチョット強い。

ゴールド ダイアフラムの注釈にはNot for limp-wrists!!と注釈がついています。

ちなみにlimpとは”ぐにゃぐにゃの; しなやかな; しおれた; 力の抜けた; 疲れた; (意志などが)薄弱な”という意味ですね。.

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ブラックとシルバーでは反り方が違います。強いシルバーのほうがコウシテ較べると高さが高くなっていますね。

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むしろ厚さはシルバーの方が2/100mmほど少ないですね。これは公差のうちで、同じ厚さと見ても良いかもしれません。

クラッチレバーの重さを測ってみました。

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レバーに秤を引っ掛けて測ってみます。スケールがあるのはレバーのピボットの中心からの距離で、同じ条件で測定するためです。

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クラッチレバーの引き始めで一番大きい数値です。約10kgですね。これはシルバーのダイアフラムです。

ブラックでは約7kgです。

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これはクラッチレバーをグリップに接する手前まで引いて保持する重さで約5kgです。ブラックでは約3kgと軽くなっています。

握る過程(PULL)と保持(HOLD)では何故このように重さが変化するのでしょうか?ソレはこの後に続きます。

プリモとリベラの関係も調べてみたいですね。


スプロケット

2006年06月03日 | ドライブ系

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スプロケットの磨耗具合の判定について、リクエストがありましたのでココで考察してみます。

チェーンの伸び(11月30日)の記事の補足にもなりますのでコチラもご覧になってください。

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このスプロケットは11月30日にも登場していますが、これなどは既に交換時期を過ぎていますね。矢印の方向に荷重が掛かりますので、特にアルミスプロケットでは危険な状態です。

歯先が尖っている?

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これなどは一見まだまだ使えそうなスプロケットです。

しかし、”日本の常識”では”先端が尖ったら交換”でしたね。これなんかケッコウ尖って見えます。

ところが青矢印は磨耗が始まっていますが、緑矢印の先端は擦られた形跡もありません。

赤矢印の磨耗はアライメントが狂っていたのを物語っています。

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スプロケットとチェーンの噛合いを観察してみると、スプロケットの歯の先端は(この程度の磨耗状態では)チェーンに接触もしません。

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日本製のスプロケットと較べてみると、矢印のところが2mmも長いのです。

ワタシも「ハーレーのスプロケットって尖っているよな~」といつも思っていました。

長ければ、その形状から尖って見えるのは当たり前でした。

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スプロケットが磨耗するとドンナ影響があるのでしょうか?

磨耗しても両矢印の距離は変りませんね。

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11月30日の記事でも紹介しましたが、伸びたチェーンは緑矢印の方向に引っ張ていても、赤矢印のように浮いてしまいます。

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つまり、青両矢印のピッチは変りませんけれど、緑両矢印のピッチは大きくなりますので、赤丸で示す荷重の大きさが均等に掛からず集中してしまいます。

この事により、伸びたチェーンの使用はスプロケットの歯の磨耗が加速度的に大きくなるのです。

結論

アメリカ製のハーレーのスプロケットは最初から尖っているものが多いので、”日本の常識”は必ずしも当てはまらない。

スプロケットの磨耗はチェーンの磨耗ほど互いに与える影響は少ない。

スプロケットを交換する場合は伸びたチェーンは必ず交換したほうが良い。

*今日の記事でも「ココまで減ったら交換」というような明確な答は出ませんでしたが、新しい事実も発見できました。今後とも宜しくお願いします。


補助前照灯

2006年06月02日 | 電気系

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ツーリング系のモデルにはヘッドライトの横に”フォグライト”が付いています。これもハーレーの伝統的スタイルですが、ライトに詳しい方にはこれがフォグライトとは疑問があるかもしれませんね。

バルブの耐用時間は?

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'98年から採用になっているこのライトは、レンズのカットから見てもとてもフォグライトとは言えませんが、メーカーのパーツカタログにもそう記載されているし、保安基準ハンドブックにも補助前照灯は前部霧灯にくくられています。

今現在は既に改良されているのか分かりませんが、少なくとも2年前まで出荷されたこの部品の評判はスコブル悪いのですね。とにかくスグ切れてしまいます。耐用時間は数十時間ですか?

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バルブはバー&シールドで封印されています。 これが約9000円!ズット使えれば高い買い物ではありませんけれど・・・・。

中々凝った作りでした。

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封印を外してみると、普通に見慣れたソケットになっています。

でも良く見ると矢印の部分はスポンジ状のゴムです。この凝った作りは何故?

メーカーはバルブが良く切れるのを承知している?

これでも良く切れるのは何故?

解明?

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バルブを外して良く見てみると、フィラメントが転がっていました。

これでは点灯するはずがありませんね。

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純正品にはAu-Liteと刻印がありますが、原産国の表示はありません。

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これは同じ規格のH3ハロゲン球。タブン日本全国どこでも1000円前後で入手できると思います。

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①は純正品でフィラメントは矢印で示すように長く細いで支えられています。

②はスタンレー製です。矢印で示すようには補強されています。

この差が決定的に違いますね。

長時間でのテストで検証したわけではないので、結果については明言できませんが、少なくとも9000円払って同じ危険を犯すより1000円のバルブだけ交換したほうが、財布にヤサシイのは明らかです。

推測するとスポンジ状のゴムで浮かすことにより、緩衝効果を狙っているのでしょうけれど、結果は惨憺たるものです。バルブ自体の質量から鑑みて、スポンジ状のゴムの硬さは妥当なのでしょうか?

どうもバルブが軽いので相対的にゴムが硬い気がしますね。でも根本的にはスタンレーのバルブを最初から使っていればコンナ事は起きなかった?