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言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

延、誕、涎、蜒

2009年08月07日 08時26分36秒 | 日記・エッセイ・コラム

 表題に挙げた漢字「延、誕、涎、蜒」はいづれも同じ作りでできた漢字である。「延」といふ字が共通の字であるが、白川静の語源解釈によれば、「正」と似た字は「死者が手足を折り曲げてゐる形」であり、「廴」は「細長い道」といふ意味である。合はせて「死者を埋葬した玄室につづく長い道」といふことになる。そこから「延」は「のびる、のばす、つらなる」といふ意味になつた。「涎(よだれ)」も「蜒(ゲジゲジ)」も会意文字である。誕生日の「誕」の字は、形声文字であるから、ゴンベンと延との意味を合はせたものではない。

 さて、なぜこんなことを書いたのかと言へば、漢字好きの生徒から「延長」の「延は、「正」といふ字と同じで、5画であるのに、「蜒」の字は、最後の4画と5画とがひと筆で書かれて、4画の字になつてゐるのはなぜかと問はれて調べたからである。

 結論的には、常用漢字は「正」のやうに書いたが、それに入らなかつた字の方は、元の4画のままであるといふこと。再び、白川静の辞書で調べると、すべて4画になつてゐた。戦後の漢字改革の弊害がこんなところにもあつたのだ。

 同じやうな過ちとして、「仏、沸」がある。「佛像」は「仏像」になつたが、「沸点」はそのままである。漢字の性質を知らない愚策であつた。

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