樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

昔のタンスにゴン

2006年11月24日 | 木と医薬
クスノキの英名はCamphor Tree(カンフルツリー)。カンフル剤のCamphorです。私たちはこの言葉を「局所的に使う刺激薬」という意味で使っていますが、もともとは樟脳(しょうのう)を意味します。

      
      (クスノキの葉。ちぎって匂いを嗅ぐと樟脳の匂いがします。)

若い人はご存知ないでしょうが、樟脳は昔の「タンスにゴン」です。防虫剤といえばこれしかなく、タバコと同じように、今はなき専売公社の扱い品でした。クスノキはクスシキ(薬師木)に由来するとも言われ、防虫剤以外にも、痛み止めや下痢止め、痛風、強心などの薬の原料になります。
各地に巨木があり、すべての樹種を含めた日本一の巨樹は鹿児島県の「蒲生(がもう)の大クス」(幹周り24m)です。ところが、ある学者はクスノキは日本の自生種ではないのではないかと疑問を投げかけています。

         
    (自宅近くにもクスノキの巨木があります。推定樹齢150年)

根拠は、天然更新が見られないから。つまり、クスノキの実が落ちて発芽し、樹木に成長するという事例がないんだそうです。低木段階で在来種に負けてしまって、成長しないらしいです。
そういえば、鎮守の森やお寺の境内など人工的な環境で大木をよく見ますが、クスノキの天然林というのは聞いたことがないですね。
コメント (2)
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