樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

二ノ瀬の火祭り

2006年11月14日 | 木と宗教
日曜日の夜、友人の紹介で「二ノ瀬の火祭り」に参加してきました。京都には有名な「鞍馬の火祭り」がありますが、二ノ瀬は鞍馬の隣の集落。聞けば、鞍馬から京都市街までの地域にはあちこちに「火祭り」が残っていて、もう一人の友人が育った岩倉地区でも催されるとか。
7時前に現地に着くと、すでに広場の中央に大きな木が何本も燃えています。京都市の北部なので寒いと思って厚着して出かけましたが、火の勢いで暑いくらい。しばらくすると松明(タイマツ)を渡され、地元の人々と一緒に神社まで歩きました。暗闇の中を太鼓の音と共に50~60本の松明が練り歩く光景は、まさに幻想的。

      

松明はアカマツを細く割ったものをツヅラフジのツルで縛ったもので、思ったよりも長く、1.3mくらいありました。
「松の明かり」と書くように、タイマツには昔からマツが使われてきました。地元の人の話では、昔はアカマツの根を掘り起こして材料にしたそうで、油がたっぷり含まれているので、燃え方もゆったりしていて長持ちしたということです。
そう言えば、戦争中はマツの根から採った松根油(しょうこんゆ)をガソリンの代用にしたという話を聞いたことがあります。

      
      (私が持った松明。ズッシリと重い。)

松明を縛るツヅラフジは、樹に巻きついたものは硬くて使えないので、地面を這っているものを使うとか。私はツル性の木本は敬遠しているので全く知識がありませんが、改めて図鑑を見ると、ツヅラフジ科の植物でツルを籠などに使うほか、根や木部を煎じて利尿剤や神経痛の薬にしたと書いてあります。
神社では厳かに神事が行われ、拝殿では巫女さんの神楽が舞われました。地元のみなさんに混じって、私もお祓いをしていただきました。

      

二ノ瀬の駅にはイロハモミジの大木があって、ところどころ赤く色づいていました。叡山電鉄にはモミジのトンネルがあり、この時期はライトアップされて電車が通る時は車内の照明も消されるのですが、紅葉が遅い今年はまだその効果が出ていませんでした。
火祭りにかけて、「燃えるような紅葉でした」と締めくくるつもりでしたが、残念(笑)。

コメント (4)
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