樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

おそろしげなるもの

2006年11月13日 | 樹木
ドングリとクリの実を比べると、同じ仲間(ブナ科)とは思えません。でも、その間にクヌギの実を置くと、何となくつながりが見えてきます。

      

写真のように、クヌギの実は一見ドングリですが、クリのようなイガイガの殻に包まれています。しかも、葉っぱもクリによく似ていて、すぐには見分けられません。私は信じていませんが、クヌギの名は「栗似木(クリニギ)」が転訛したものという説もあるほど。

         

クヌギの幹はコルク質が発達していて、写真のように深い割れ目があり、その中が赤くなっています。クヌギの弟分のアベマキも似たような樹皮で、戦争中はコルクの代用品に使われました。
クヌギは、子どもたちにはクワガタなどの虫が集まる樹として、また茶道をたしなむ人には優良な炭の原材として知られています。また、古代の日本では、この実を染料にして染めた濃い灰色は最下級の色とされ、庶民の日常着に使われたそうです。
当ブログでお馴染みの樹木評論家・清少納言さんにもひと言コメントをいただきましょう。「おそろしげなるもの つるばみ(クヌギの実)のかさ(殻)」。イガイガがお気に召さなかったようですね。
コメント (6)
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