樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

鬼子母神とザクロ

2006年11月07日 | 木と宗教
10月22日、奈良のツリーウォッチングの会に参加した帰り、東大寺に寄って、以前bulbulさんに教えていただいた二月堂のザクロを見てきました。

      

お水取りで知られる二月堂の下に、鬼子母神を祀った小さなお堂があり、その前にザクロが15本くらい植えてあります。東京では台東区入谷(いりや)の鬼子母神が有名で、「おそれいりやの鬼子母神」というダジャレの決まり文句があるくらいです。

      

鬼子母神は子供と安産の守り神で、その像は懐に子供を抱き、手にザクロの実を持っています。その由来は、仏典に記された以下の話にあります。
鬼子母神は自らが500人もの子を持つ母親でありながら、他人の子を捕らえて食べてしまうため、お釈迦様が彼女の最愛の末っ子を隠して、子を失う母親の苦しみを悟らせました。そして、「子供が食べたくなったら、代わりにザクロの実を食べるように」と諭しました。それ以降、鬼子母神は仏教に帰依して子供と安産の守り神になったという話です。

      

9月13日の記事でも紹介しましたが、ザクロにはたくさんの赤い実が成ることから、中国では子宝のシンボルになっています。トルコにも、結婚式で新郎がザクロを地面に投げつけると、こぼれ出た実の粒だけ子どもが授かるという言い伝えがあるそうです。
二月堂のザクロは、私が訪れたときはまだ開いていませんでしたが、今頃はたくさんの赤い粒が顔を覗かせているでしょう。
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